フェニックスを「農業資材」として検索すると、実態としては殺虫剤(農薬)としての情報が中心に出てきます。特に「フェニックス顆粒水和剤」は農林水産省登録番号が第21917号で、有効成分はフルベンジアミド 20.0%と明記されています。
この製剤の性状は「褐色水和性細粒」で、毒性は「普通物(毒劇物に該当しないものを指していう通称)」とされています。
さらに、包装形態(100g・250g・500gなど)や、有効年限が5年である点も、現場の在庫管理・購入単位・年度内消化計画に直結するので、資材選定の早い段階で確認しておくと後のトラブルを減らせます。
ここで大事なのは、「フェニックス」という名前が複数の分野で使われる点です(商社名、プロジェクト名、農薬名など)。検索時に混線しやすいので、農薬としてのフェニックスを扱う場合は、必ず「登録番号」「有効成分」「剤型(顆粒水和剤など)」までセットで確認し、発注・指示書・防除暦に同じ粒度で記載するのが実務的です。
参考)https://www.nippon-soda.co.jp/nougyo/product/4075
フェニックス顆粒水和剤は、作物・害虫ごとに希釈倍数や散布液量、収穫前日までの使用可否が細かく設定されています。例えば、レタスのウワバ類では「無人航空機による散布」の欄に16倍〜32倍、散布量0.8〜3.2L/10aといった体系が提示され、通常散布では2000〜4000倍、100〜300L/10aのように別枠で示されています。
この「ドローン散布枠」と「地上散布枠」が同じ作物でも併記される点は、資材としての扱い(散布機材・水量・作業時間・薬液調製)を左右するので、現場の運用に合わせた枠を選ぶ必要があります。
また、使用時期が「収穫前日まで」なのか「収穫7日前まで」なのかは、出荷計画・収穫ローテーション・防除の最終タイミングに直結します。
資材コストだけで見ると「希釈倍数が大きい=得」になりがちですが、実際は散布水量・葉面積・かけ残しリスクを含めて最適化するのが現実的です。特に葉菜は葉裏まで届くかどうかで残効感が変わり、結果として「追加散布の発生=実質コスト増」になりやすいので、希釈倍率の数字だけで決めないことが重要です。
製品情報には「植物体への浸透移行性による効果は弱いので、かけ残しのないように葉の表裏に十分散布」と注意事項が明記されています。
この一文は、フェニックスを「効く農薬」としてではなく「効かせ方が決まっている資材」として扱うべき、という実務上の核心です。
つまり、ノズル選定(霧の細かさ)や走行速度、葉が込み合う時期の散布ルート、散布圧の設定など、散布設計そのものが資材の一部になります。
現場で起きがちな失敗は「同じ倍率・同じ量で撒いたのに、効き方がほ場でムラになる」パターンです。浸透移行性が弱いタイプでは、葉面被覆が不足した場所に“逃げ場”が残り、そこから密度回復が起きやすいので、散布を1回増やすより「1回の被覆率を上げる」方向で改善すると、総作業時間が減るケースもあります。
フェニックス顆粒水和剤は無人航空機による散布について、機種の散布基準に従うこと、適合した散布装置を使うこと、散布配管や装置の点検を行い漏れを防ぐことなど、具体的な注意事項が列挙されています。
さらに、散布薬液の飛散で「自動車やカラートタンの塗装等」に被害を生じるおそれがある点、散布終了後は散布装置を十分洗浄し、タンク洗浄廃液を安全な場所に処理する点も明記されています。
ドローン防除が一般化するほど、農薬の性能だけでなく「洗浄・廃液・飛散クレーム対策」まで含めて資材選定する必要が出てきます。
意外と見落とされるのは、散布の前後に発生する“段取りのコスト”です。ドローンは散布そのものは速い一方、薬液調製、機体点検、洗浄、飛散管理(風速・周辺物件確認)を雑にすると、結局は作業が止まる原因になります。
そのため、フェニックスを採用するかどうかは「ドローンで使える登録がある」だけでなく、ほ場周辺環境と洗浄・廃液処理動線まで含めて決めると、現場のストレスが減ります。
検索上位記事が触れにくい“細かい注意書き”こそ、実務で効いてきます。フェニックス顆粒水和剤の注意事項には、ぶどうで幼果期から果粒肥大期に使用する場合「果粉の溶脱が生じるおそれ」があることが示されています。
また、西洋なしの品種「ル レクチエ」では特定の時期の散布で「リング状の薬斑が生じるおそれ」があるため使用を避けるよう書かれています。
さらに、みずかけな(水掛菜)等では「ほ場内に水がない状態で使用」「使用後14日間は入水しない」、蚕への影響があるため「周辺の桑葉にかからない」など、地域・作型・周辺産業まで関係する条件が明記されています。
この手の注意事項は、薬効とは別軸の“品質事故”を防ぐチェックリストになります。ぶどうの果粉は外観品質に直結しやすく、薬斑も市場評価を落とす要因になり得るため、防除担当者がラベルの注意を栽培担当・収穫担当と共有しておく価値があります。
また、水掛管理が必要な作物では、フェニックスの散布日を「入水計画」や「水管理当番の予定」と同期させないと、散布そのものができない(あるいはやってはいけない)日が出るため、資材としての運用計画が重要になります。
防除の基本とラベルの考え方(農薬の基礎知識の参考)
https://www.nichino.co.jp/products/