エコファーマーとみどり認定の違いは?廃止後の移行とメリット

エコファーマー廃止に伴うみどり認定への移行や違いを解説。税制優遇や融資、申請のメリットとは?新しい法律に基づいた認定制度の全貌と、農業経営に役立つ活用法を詳しく知りたいですか?
エコファーマーとみどり認定の違い
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制度の基盤が変化

エコファーマーは廃止され、より広範な環境対策を含む「みどり認定」へ移行

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強力なメリット追加

税制優遇や無利子融資など、経営に直結する支援措置が大幅に拡充

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申請の柔軟性アップ

個人だけでなく団体申請が可能になり、既存の取り組みでも認定対象に

エコファーマーとみどり認定の違い

エコファーマーとみどり認定の違い
2022年(令和4年)7月に「持続農業法」が廃止されたことに伴い、長年親しまれてきた「エコファーマー認定制度」は新規の認定受付を終了しました。これに代わって登場したのが、「みどりの食料システム法」に基づく新しい認定制度、通称「みどり認定」です。多くの農業者が気になっているのは「名前が変わっただけなのか?」「具体的に何が違うのか?」という点でしょう。

 

参考)エコファーマーに代わる「みどり認定制度」とは。エコファーマー…

結論から言えば、「みどり認定」はエコファーマーの上位互換とも言える強力な制度へと進化しています。最大の違いは、その目的の広さと支援の手厚さにあります。

 

エコファーマーが「土づくり」「化学肥料低減」「化学農薬低減」の3点セットを必須としていたのに対し、みどり認定ではこれらに加えて「温室効果ガスの削減」や「生物多様性の保全」など、より現代的な環境課題への取り組みも評価対象となりました。さらに、制度の柔軟性が増しており、これまでは「新しい技術の導入」が認定の条件でしたが、みどり認定では「すでに取り組んでいる活動の継続」でも認定が受けられるようになっています。

 

参考)「いばらきみどり認定」を受けるとメリット措置を活用できます

以下に、新旧制度の決定的な違いを比較表にまとめました。

 

比較項目 旧:エコファーマー認定 新:みどり認定
根拠法律 持続農業法(廃止) みどりの食料システム法
対象の取り組み 土づくり+化学肥料低減+化学農薬低減 土づくり、肥料・農薬低減に加え、温室効果ガス削減、プラスチック削減など
技術導入 新技術の導入が必須 現行の取り組み継続でもOK
申請主体 個人のみ 個人、法人、団体(部会・JAなど)
主なメリット 資金の償還期間延長、マーク使用 税制優遇(特例償却)、無利子融資、補助金採択の優先枠・加点

参考リンク:農林水産省「みどりの食料システム法について」 - 制度の全体像と法律の概要、最新の認定状況が確認できます。
特に注目すべきは、「団体申請」が可能になった点です。これまでは個々の農家が書類を作成する必要がありましたが、みどり認定では産地や部会単位でまとめて申請ができるため、事務負担が劇的に軽減される可能性があります。これは、地域全体でブランド化を目指す産地にとっては非常に大きな追い風となるでしょう。

 

参考)https://www.maff.go.jp/chushi/sesaku/kihon/attach/pdf/midori-21.pdf

メリット みどり認定で得られる強力な支援措置

 

エコファーマーからみどり認定へ移行する最大の動機となるのが、大幅に拡充されたメリット(支援措置)です。単なる「環境に配慮している」というPR効果だけでなく、農業経営のキャッシュフローに直結する実利的な優遇措置が用意されています。

 

主なメリットは以下の3つの柱で構成されています。

 

  • 税制優遇(みどり投資促進税制)

    認定を受けた計画に基づいて、環境負荷低減に資する特定の機械や設備を導入した場合、導入当初の減価償却費を上乗せできる「特別償却」(令和8年3月31日まで)が適用されます。これは、高額な農業機械を導入する際の初年度の税負担を大幅に軽減し、投資回収を早める効果があります。対象となる機械には、可変施肥田植機やラジコン草刈機などが含まれており、スマート農業への投資を考えている経営者には見逃せない制度です。

  • 金融支援の拡充(実質無利子化など)

    日本政策金融公庫の「農業改良資金」などの償還期間が延長されるほか、認定農業者が行う設備投資に対して実質無利子での融資が受けられる場合があります。金利上昇局面において、無利子融資のメリットは計り知れません。資金繰りを安定させながら、環境対応型の設備投資を行うチャンスと言えます。

     

    参考)みどり認定制度(旧:エコファーマー認定制度)のご案内:静岡市…

  • 補助金採択における優遇(加点措置)

    国や都道府県が実施する各種補助事業において、みどり認定を受けていることが採択審査での「加点要素」や「優先採択要件」となります。例えば、「強い農業づくり総合支援交付金」や「産地生産基盤パワーアップ事業」などの大型補助金において、認定の有無が合否を分けるケースも増えています。

     

    参考)https://www.pref.chiba.lg.jp/annou/keikaku/documents/midorichirashi2.pdf

参考リンク:農林水産省PDF「環境にやさしい農業に取り組んで - みどり認定」 - 税制優遇や融資メリットの具体的な一覧が掲載されています。
これらのメリットは、単に「環境を守る」だけでなく、「環境を守りながら稼ぐ」農業経営を後押しするために設計されています。特に税制優遇は、タイミングを逃すと利用できない期限付きの措置(令和8年度末まで等)も多いため、機械更新の予定がある方は早めの申請検討が必要です。

移行 エコファーマー廃止後の手続きと経過措置

「すでにエコファーマーの認定を受けている場合、すぐに無効になってしまうのか?」という不安を持つ方も多いですが、ここには十分な経過措置が設けられています。

 

まず、旧制度で認定されたエコファーマーの計画は、その認定期間(通常5年間)が満了するまでは有効です。明日すぐに認定が取り消されるわけではないので、慌てる必要はありません。認定期間中は、これまで通り「エコファーマーマーク」を農産物や資材に表示して販売することができます。

 

参考)エコファーマー制度について

しかし、認定期間が終了した後の「更新」はできません。エコファーマー制度自体が廃止されたため、期間満了後に引き続き環境保全型農業の認定を受けたい場合は、新たに「みどり認定」を申請し直す必要があります。

 

参考)エコファーマーに代わる制度「みどり認定制度」が始まっています…

移行に関する重要なポイントをまとめました。

 

  • 自動移行ではない

    エコファーマーからみどり認定へは自動的に切り替わりません。必ず新規の申請手続きが必要です。

     

  • マークの継続使用

    みどり認定を受けた後でも、その取り組み内容が「土づくり+化学肥料低減+化学農薬低減」の3点を含んでいる場合、引き続き「エコファーマーマーク」を使用することが可能です。みどり認定独自の新しいマークもありますが、長年認知されてきたエコファーマーマークを使い続けられるのは、既存の販路を持つ農家にとって安心材料です。

  • 二重認定の回避

    エコファーマーの期間が残っている状態で、先行してみどり認定を受けることも可能です。この場合、制度上の重複を整理するため、エコファーマーの認定取り消し手続きが必要になる自治体もあります(例:茨城県など)。管轄の普及センターや自治体の窓口で確認しましょう。

     

    参考)エコファーマー認定の廃止といばらきみどり認定の開始/茨城県

移行期においては、自身の認定期間がいつ切れるのかを確認し、その半年〜1年前からみどり認定への準備を始めるのがスムーズです。特に土壌診断などは時間がかかるため、期限ギリギリでの申請は避けるべきです。

 

申請 認定を受けるための基準と計画作成のコツ

みどり認定を受けるためには、都道府県知事に対して「環境負荷低減事業活動実施計画」を提出し、認定を受ける必要があります。名前は難しそうですが、基本的には「今後5年間でどのような環境にやさしい農業を行うか」を宣言する計画書です。

 

参考)https://www.pref.chiba.lg.jp/annou/keikaku/documents/midorichirashi.pdf

申請に必要な主なステップと基準は以下の通りです。

 

  1. 現状の把握と項目の選択

    まず、自分の経営で取り組むメニューを選びます。エコファーマーと同様の「土づくり・化学肥料低減・化学農薬低減」のセットに加え、みどり認定では「温室効果ガス削減(例:水田の中干し期間延長、加温機の省エネ化)」や「プラスチック削減(例:生分解性マルチの利用)」なども選択肢に入ります。これらの中から、自分の地域で指定された指針に沿った活動を選びます。

  2. 5年間の実施計画作成

    選んだ項目について、具体的な数値目標を含む5年間の計画を立てます。例えば、「化学肥料の使用量を慣行栽培から〇〇%削減する」「堆肥を10aあたり〇〇トン投入する」といった具体的な記述が求められます。「現状維持」での申請が可能な場合でも、その現状が地域の「導入指針」の基準を満たしていることを示す必要があります。

  3. 土壌診断の実施

    土づくりに関する申請を行う場合、直近の土壌診断結果(処方箋)の添付が必須となるケースがほとんどです。これはエコファーマー時代と同様ですが、診断結果に基づいて適切な施肥設計を行っているかが審査されます。分析には数週間かかることもあるため、申請のボトルネックになりやすいポイントです。

     

    参考)みどり認定(ぐんまエコファーマー) - 群馬県ホームページ(…

  4. 団体申請の活用(コツ)

    JAや生産部会などの「特定区域」での活動として申請する場合、個々の農家が詳細な計画書を書く代わりに、団体が一括して作成した計画に参加する同意書を出すだけで済む場合があります。これが最も事務負担を減らすコツです。「自分の地域で団体申請の動きがないか」をまずはJAや役場に問い合わせてみましょう。

     

参考リンク:茨城県「いばらきみどり認定」 - 自治体ごとの具体的な申請様式やマニュアルの例として参考になります。
書類作成は確かに手間ですが、一度認定されれば5年間有効です。また、多くの自治体では普及指導員が計画策定のサポートを行っています。一人で抱え込まず、早めに相談することが認定への近道です。

 

機械 税制優遇の対象となる意外な設備と注意点

みどり認定の「隠れた目玉」とも言えるのが、認定に基づいた機械導入に対する税制優遇(みどり投資促進税制)です。しかし、すべての機械が対象になるわけではなく、ここには知っておくべき「意外な盲点」があります。

 

まず、対象となる機械は「環境負荷低減に著しく寄与する」として国が指定したものに限られます。単に「新しいトラクター」というだけでは対象になりません。しかし、そのリストを見てみると、意外と身近で導入効果の高い機械が含まれていることに驚くかもしれません。

 

▼ 税制優遇の対象となる意外な機械の例
参考)みどり投資促進税制の対象機械リスト:東海農政局

  • ラジコン草刈機・ロボット草刈機

    重労働である草刈りを省力化しつつ、除草剤の使用を減らす効果が認められれば対象になります。急傾斜地での作業負担軽減にもつながるため、人気の高い設備です。

     

  • 色彩選別機

    カメムシ被害粒などを取り除くことで、農薬使用量を減らしても品質を維持できるとして対象になる場合があります。高額な設備なので、即時償却や特別償却のメリットは絶大です。

     

  • 可変施肥田植機

    生育状況や土壌肥沃度に合わせて肥料の量を自動調整する田植機。過剰な施肥を抑えることでコスト削減と環境保全を両立します。

     

  • 温湯種子消毒機(例:湯芽工房など)

    農薬を使わずに種子消毒を行う機械。エコファーマー的な視点(農薬削減)と合致します。

     

    参考)連続式温湯処理装置が「みどり投資促進税制」の対象機種に認定さ…

  • ドローン(可変施肥・散布対応)

    精密農業を行うための農業用ドローンも、施肥量削減に寄与する機種は対象となります。

     

▼ ここが注意点(盲点)
最大の注意点は、「機械を買う前に」認定を受けておかなければならないという点です。

 

参考)基盤確立事業実施計画の認定状況及びみどり投資促進税制の対象機…

「先に機械を買ってしまったが、後からみどり認定を取ったので税制優遇を受けたい」という申請は認められません。

 

必ず、「計画申請」→「認定取得」→「機械の発注・納入」という順序を守る必要があります。

 

年度末の決算対策で急いで機械を買う場合など、この順序が逆になりがちなので、くれぐれも注意してください。

 

また、対象機械はメーカーや型式番号レベルで細かく指定されています。カタログに「みどり投資促進税制対応」と書かれていても、必ず最新の農林水産省のリストと照らし合わせるか、販売店に「型式認定番号」を確認してもらうのが確実です。

この税制優遇は、高騰する農業機械の導入コストを吸収するまたとないチャンスです。「自分の欲しい機械がリストに入っていないか?」を一度チェックしてみる価値は十分にあります。

 

 


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