ダブルスコップはコメリにある?支柱の下穴や杭打ちの穴掘りも楽に

農作業の重労働である穴掘りを劇的に変えるダブルスコップ。コメリで手に入るこの道具は、支柱や杭打ちの垂直な下穴作成に最適です。複式ショベルとも呼ばれるこの道具の、身体に負担をかけない正しい使い方や選び方とは?
ダブルスコップ×コメリ活用術
🛠️
垂直穴掘りの決定版

通常のスコップでは難しい深く狭い縦穴も、複式ショベルなら崩さずきれいに掘削可能。

🏪
コメリでの選び方

金象印など信頼性の高いブランドを確認。刃の長さや柄の材質で作業効率が変わります。

💪
身体を守る使い方

腕力だけでなく体重移動を使う「古武術的」操作で、翌日の腰痛リスクを大幅に軽減。

ダブルスコップとコメリ

ダブルスコップの基本的な使い方と穴掘りのコツ

 

農業や土木作業の現場において、地面に深く狭い穴を掘る作業は、想像以上に過酷で技術を要するものです。通常の剣スコップで深い穴を掘ろうとすると、どうしても掘り口がすり鉢状に広がってしまい、必要以上に土を動かすことになります。ここで活躍するのが、コメリなどのホームセンターで入手可能な「ダブルスコップ」です。

 

ダブルスコップは、正式名称を「複式ショベル」や「抱きスコップ」とも呼び、二枚のスコップ向かい合わせに組み合わせたような特異な形状をしています。この道具の最大の特徴は、「立ったままの姿勢で、直径の小さい縦穴を深く掘り進めることができる」点にあります。

 

基本的な使い方の手順:

  1. 突き刺す

    まず、ハンドル(柄)を閉じた状態で、狙った地面に対して垂直に刃を突き刺します。この時、腕の力だけで押し込もうとせず、自分の体重を乗せるようにして、勢いよく「ズドン」と落とすのがコツです。土が硬い場合は、数回同じ場所に突き刺して刃を食い込ませます。

     

  2. 広げる(土を掴む)

    刃が土に十分刺さったら、今度は閉じていたハンドルを左右に「グッ」と広げます。この動作により、地中の二枚の刃が閉じ、土を挟み込む形になります。この「挟む力」が弱いと、引き上げる際に土がこぼれ落ちてしまうため、しっかりとハンドルを開ききることが重要です。

     

  3. 引き上げる

    ハンドルを開いたまま(土を挟んだまま)、垂直に引き上げます。穴の外でハンドルを閉じれば、刃が開き、中の土が排出されます。

     

穴掘りのコツと注意点:

  • 少しずつ掘る:一度に欲張って大量の土を挟もうとすると、重くて引き上げられなかったり、ハンドルに過度な負荷がかかり破損の原因になります。「少し刺しては出す」をリズミカルに繰り返す方が、結果的に早く深く掘れます。
  • 石に当たった場合:ダブルスコップは石やコンクリート片には弱いです。無理にこじると刃が曲がったり、支点となるリベット部分が破損します。石に当たった感触があったら、一度作業を止め、「金テコ(バール)」などを使って石を砕くか取り除いてから作業を再開するのが鉄則です。
  • 土質の判断粘土質の土壌では、土が刃にへばりついて離れにくいことがあります。その場合は、あらかじめ刃にシリコンスプレーを吹いておくか、こまめに水を張ったバケツで泥を落としながら作業すると効率が落ちません。

金象印 Wらせん穴掘り SD-45 の通販 - コメリ
参考)金象印 Wらせん穴掘り SD−45 の通販

参考リンク:コメリで取り扱われている穴掘り道具の一つ。ダブルスコップと同様に下穴あけに使われる「らせん穴掘り」の詳細スペックが確認でき、道具の使い分けの参考になります。

 

穴掘りを上手に行う掘削方法と雪かきでも疲れないスコップの使い方
参考)スコップを使った雪かきや穴掘り作業で疲れにくくする方法

参考リンク:現場のプロが教えるスコップの使い方が解説されています。複式ショベル(ダブルスコップ)の別名や、具体的な体の使い方が学べます。

 

ダブルスコップで支柱や杭打ちの下穴を垂直に掘る

農業において、ビニールハウスのパイプ立て、果樹の支柱設置、あるいは獣害対策の電気柵の設置など、「杭打ち」の作業は頻繁に発生します。これらの支柱を強固に固定するためには、地面に対して正確に「垂直」な下穴をあけることが不可欠です。ダブルスコップは、この垂直な下穴掘りにおいて最強のパフォーマンスを発揮します。

 

垂直精度を高めるテクニック:

  • 水準器の活用

    目視だけに頼ると、どうしても穴は斜めになりがちです。最初の数回、刃を入れる段階で、簡易的な水平器を柄に当てて垂直を確認するか、二人一組で作業し、もう一人に離れた位置から垂直かどうかを見てもらうと確実です。最初の10cmが垂直であれば、あとはその穴がガイドとなり、自然と真っ直ぐ掘り進めることができます。

     

  • ガイド穴の作成

    いきなりダブルスコップを使うのではなく、細い鉄筋棒などをハンマーで打ち込み、小さな「誘導穴」を最初に作っておくのもプロの技です。この小さな穴を中心にしてダブルスコップを突き立てることで、芯がブレることなく掘削を開始できます。

     

  • 杭打ちとの連携

    杭打ち機(カケヤやエンジンドライバー)で杭を打ち込む際、下穴が浅すぎると杭が途中で止まり、深すぎると支持力が弱まります。ダブルスコップで掘るべき深さは、埋設する杭の長さの2/3から半分程度が目安です。残りの部分は、土の摩擦力を利用して固定するために、実際に杭を打ち込んで沈めます。

     

下穴作業の効率化:
コメリなどのホームセンターでは、杭の太さに合わせた様々なサイズの穴掘り道具が売られていますが、ダブルスコップは直径10cm〜15cm程度の穴に適しています。これより細い支柱(例えば20mm程度のイボ竹など)の場合は、ダブルスコップでは穴が大きすぎてグラついてしまうため、「らせん穴掘り器」や単なる「下穴あけ棒」の方が適しています。逆に、太い木の杭や単管パイプ(48.6mm)の基礎を作る場合には、ダブルスコップで少し大きめに穴を掘り、杭を立てた後に周囲に土と砂利を混ぜて突き固める「水締め」を行うと、コンクリートを使わなくてもガチガチに固定することができます。

 

金象印 穴掘り| 製品情報 | 浅香工業株式会社
参考)
金象印 穴掘り

参考リンク:コメリでも取り扱いのある「金象印」の複式ショベルの公式情報です。S45C(炭素鋼)を使用した焼き入れ・焼き戻し処理など、プロ仕様の耐久性について詳しく記載されています。

 

ダブルスコップと複式ショベルの違いや園芸での活用法

「ダブルスコップ」と「複式ショベル」という言葉は、実は同じ道具を指しています。一般的には「ダブルスコップ(ダブスコ)」という通称で親しまれていますが、JIS規格やメーカーのカタログ(例えば浅香工業など)では「複式ショベル」や「穴掘り器」という名称で分類されていることが多いです。コメリの売り場では、園芸用品コーナーや土木資材コーナーに置かれています。

 

園芸における意外な活用法:
ダブルスコップは、単に杭を立てるだけでなく、家庭菜園ガーデニング(園芸)においても非常に便利な使い道があります。

 

  1. 深植え野菜の収穫(ナガイモ・ゴボウ)

    通常、ナガイモやゴボウなどの根菜類を収穫するには、横に大きな溝を掘らなければならず、大変な重労働です。しかし、ダブルスコップを使えば、野菜の真横にピンポイントで深い縦穴を掘ることができます。野菜の周囲の土を取り除くことで、折ることなくきれいに引き抜くことが可能になります。北海道などのナガイモ産地では、これに特化したさらに長い専用スコップも存在しますが、家庭菜園レベルであれば一般的なダブルスコップで十分代用可能です。

     

  2. 樹木の施肥(寒肥)

    庭木や果樹に肥料を与える際、木の根元深くに肥料を届ける必要があります。表面に撒くだけでは効果が薄いためです。ダブルスコップを使って、樹冠(枝が広がっている範囲)の真下あたりに深さ30cm〜40cmほどの穴を数箇所掘ります。そこに有機肥料を埋め込むことで、土壌深層の根に直接養分を届けることができ、樹勢の回復に役立ちます。

     

  3. 水はけの改善(簡易浸透マスの設置)

    庭の一部分だけ水たまりができやすい場合、その場所にダブルスコップで深さ60cm〜80cmほどの穴を掘ります。その穴に砂利や軽石、パーライトなどを詰め込むことで、簡易的な「縦穴排水(浸透マス)」を作ることができます。大掛かりな暗渠排水工事をしなくても、この方法だけで表層の水はけが劇的に改善することがあります。

     

回転式(スクリュー)との違い:
コメリでは「Wらせん穴掘り」のような回転式の道具も売られています。回転式は、ドリルのように回して掘るため、きれいな円形の穴が開きますが、小石が多い土壌では刃が噛んでしまい回らなくなる弱点があります。一方、ダブルスコップは「挟んで取り出す」構造なので、多少の小石(拳サイズ程度まで)なら一緒に挟んで取り出すことができ、土質を選ばずに使える汎用性の高さが魅力です。

 

ポストホールディガー(穴掘り)の特長 【通販モノタロウ】
参考)ポストホールディガー(穴掘り)の特長 【通販モノタロウ】

参考リンク:複式ショベル(ポストホールディガー)の構造的特徴や、すり鉢状にならずに掘れるメリットが図解や解説で分かりやすくまとめられています。

 

ダブルスコップ作業が楽になる身体の使い方とメンテナンス

ダブルスコップを使った作業は、通常のスコップとは違う筋肉を使うため、慣れていないと翌日に激しい筋肉痛、特に背中と腰へのダメージに見舞われます。しかし、身体の使い方(ボディメカニクス)を少し工夫するだけで、作業は驚くほど「楽」になります。

 

作業負担を減らす身体操作のコツ:

  • 「突き刺し」は脱力で

    腕の力で地面に叩きつけようとすると、衝撃が肩と首にダイレクトに伝わります。道具の重さを利用し、持ち上げる時だけ力を入れ、落とす時は脱力します。膝を柔らかく使い、道具が地面に当たる瞬間に膝のクッションを使うことで、身体への衝撃を逃がします。

     

  • スクワット動作で引き上げる

    土を挟んで引き上げる際、絶対に腰を曲げて持ち上げてはいけません。腰痛の最大の原因です。背筋は伸ばしたまま、膝を曲げて腰を落とし、太ももの筋肉(大腿四頭筋)を使って立ち上がる力でスコップを引き抜きます。「腕で抜く」のではなく「足で抜く」イメージです。

     

  • グリップの握り方

    ハンドルを強く握りしめすぎると、前腕がすぐに疲労して握力がなくなります。親指をかけない「サムレスグリップ」や、指の付け根で引っ掛けるように持つことで、無駄な力みを防ぐことができます。

     

道具を長持ちさせるメンテナンス:
コメリで販売されている金象印などのダブルスコップは頑丈ですが、可動部があるためメンテナンスが必要です。

 

  1. リベット(支点)部分の泥詰まり

    二枚の刃が交差する支点部分は、最も泥が詰まりやすい場所です。ここに泥が詰まったまま乾燥すると、次に使う時にハンドルが開かなくなったり、無理に開こうとしてリベットが破損したりします。使用後は必ず高圧洗浄機やブラシでこの隙間の泥を完全に洗い流してください。

     

  2. 注油

    洗浄して乾燥させた後、可動部に「CRC5-56」などの潤滑油を吹き付けておくと、スムーズな動きが維持でき、サビ防止にもなります。

     

  3. 刃研ぎ

    先端の刃が丸くなると、土への食い込みが悪くなり、余計な力が必要になります。定期的にディスクグラインダーや鉄工ヤスリを使って刃先を鋭く研磨することで、驚くほどサクサクと土に刺さるようになります。これは作業の「楽」さに直結する重要なポイントです。

     

モクバ スコップSDSプラス 50×300 B-83 - コメリ
参考)モクバ スコップSDSプラス 50×300 B−83 の通販…

参考リンク:もし手作業での穴掘りが限界だと感じた場合、コメリで買える電動ハンマードリル用のアタッチメントスコップという選択肢があることも知っておくと便利です。

 

ダブルスコップの深さは?コメリで選ぶ際のポイント

コメリでダブルスコップを購入する際、どの商品を選べばよいのか迷うかもしれません。スペック表を見る際のポイントは「深さ」「重量」「材質」の3点です。

 

1. 掘れる「深さ」の限界
一般的なダブルスコップの全長は140cm〜150cm程度です。構造上、ハンドルが地面に接触するまで掘り進めることはできません。物理的に掘れる深さの限界は、ハンドルの長さの半分〜6割程度、つまり約50cm〜60cm程度が実用的な限界深度となります。

 

これ以上深く掘ろうとすると、穴の中でハンドルを広げるスペースがなくなり、土を挟めなくなります。もし1メートル近い深さの穴を掘る必要がある場合は、ダブルスコップで掘れるところまで掘った後、延長パイプ付きのオーガー(らせん穴掘り)に切り替えるか、穴の入り口を広げて作業スペースを確保する「段掘り」という工夫が必要になります。

 

2. 材質と重量のバランス

  • スチール(鉄)製

    最も一般的で、コメリでもよく見かけるタイプ(金象印など)。重量は4kg前後と重いですが、その重さが「突き刺す力」に変わるため、硬い土壌や砂利混じりの地面には最適です。耐久性も抜群です。

     

  • グラスファイバー柄

    柄の部分が樹脂やグラスファイバーでできている軽量タイプ。持ち運びは楽ですが、自重が軽いため、突き刺す際に自分の力で押し込む必要があります。柔らかい畑の土や、数をこなす作業には向いていますが、硬い地盤には不向きです。

     

3. コメリでの購入アドバイス
コメリの店舗では、PB(プライベートブランド)商品や、プロ御用達の「金象印(浅香工業)」、リーズナブルな海外製などが並んでいます。

 

長く使う予定があるなら、間違いなく「金象印」などの国産メーカー品をおすすめします。焼き入れ処理がしっかりしており、刃の硬度が違うため、石に当たっても刃こぼれしにくいです。また、リベットの強度も高く、ハードな使用に耐えられます。

 

一方、年に一度の杭打ち程度であれば、リーズナブルなモデルでも十分機能します。購入時は、実際に売り場で持ってみて、ハンドルを開閉し、自分の手の大きさに合っているか、重すぎないかを確認してください。

 

また、コメリのオンラインサイト(コメリドットコム)では、店舗に在庫がない「ロングタイプ」や「特殊サイズ」の取り寄せも可能です。近くの店舗で受け取れば送料がかからないため、急ぎでなければネットでスペックを比較して注文し、店舗受け取りにするのが賢い買い方です。

 

金象印 Wらせん穴掘り SD-45 の通販 - コメリ
参考リンク:穴の深さを重視する場合、ダブルスコップよりもこちらの「らせん穴掘り」の方が深く掘りやすい場合があります。掘りたい穴の直径と深さに合わせて道具を選びましょう。

 

 


福井 【 OWL/オウル 】 穴掘り 複式ショベル