つる性の雑草は、葉の形だけで当てにいくと外しやすいので、最初に「どうやって登っているか」を観察すると精度が上がります。
代表的には、①つるで巻きつく、②巻きひげで支える、③逆刺(とげ)でひっかける、④葉柄を伸ばしてからむ、⑤吸盤や気根でくっつく、というタイプに分けられます。
たとえば、ヤブガラシは「巻きひげで支える」タイプとして挙げられており、同じつる性でもヒルガオ類(つるで巻きつく)とは“登り方”が違います。
参考)絶滅危惧種オオルリシジミの幼児向け環境教育教材の開発
この分類は現場でかなり使えます。理由は、つる植物は他物に依存して光を取りにいくため、種類ごとに「絡み方の癖」が安定して出やすいからです。
加えて意外と効くのが「巻き方(右巻き・左巻き)」です。ヒルガオ・コヒルガオ・クズ・マメアサガオなどは右巻き、ヘクソカズラ・スイカズラ・フジ・カナムグラなどは左巻きの例が示されています。
圃場で数株だけ見つかった段階でも、支柱や畦畔草に絡む向きを見れば、似た葉の別種を除外できることがあります。
ヒルガオ類は、見た目が“アサガオっぽい花”でひとくくりにされがちですが、現場では「多年生で地下茎があるか」が防除の分かれ目です。
資料では、ヒルガオはアサガオと違って種ができにくい性質があり、コヒルガオと同様に多くは地下茎による繁殖になる、と説明されています。
つまり、地上部を刈って一時的に静かになっても、地下茎が生きていると“しれっと復活”しやすいタイプです。
このタイプに対して「葉に効いたように見えたのに、すぐ戻る」という相談は珍しくなく、つる性雑草の相談事例でも、多年生ヒルガオ科の可能性が示唆されています。
参考)満州国都邑計画法再考
一方、セイヨウヒルガオはヨーロッパ原産の帰化植物として、港付近や貨物線路周辺から広がった経緯が記録されている、とされています。
圃場周辺が物流動線(道路、資材置き場、河川敷)に近い場合、「どこから入ったか」を推定するヒントにもなります。
現場での見分けは、花色や大きさだけに頼るより、①地下茎らしき白い走出枝がないか、②畦畔の同じ場所から毎年出ていないか、③つるの巻き方(右巻き)などをセットで確認するとブレにくいです。
抜き取りの際に地下部がちぎれると翌年以降の持ち越し要因になるため、機械や手作業の計画も「多年生前提」で組むのが安全です。
ヤブガラシは、寄りかかれるものがあれば水平・垂直どちらにも広がる、とされ、刈り跡や生垣・植え込み周りで目立ちやすいタイプです。
見分けの決め手として、葉は大小5枚で鳥足状の複葉になり、ほかのつる植物との区別は簡単、と説明されています。
ここが実務的に大事で、ヤブガラシは「葉の形だけで当たりを取りやすい」数少ないつる雑草です。
また、花に多種類の昆虫やクモがやってくる、という記述があり、放置すると圃場周辺の生物相(良い面も悪い面も)に影響を与えうる点が示唆されます。
ヘクソカズラはフェンスなどに絡んだまま越冬し、春に新芽を吹く様子が書かれており、つる性の多年草(藤本)として扱われています。
つまり、冬に“枯れたように見える”からといって安心すると、翌春に同じ場所から再スタートしやすい相手です。
さらに意外な観察ネタとして、ヘクソカズラの実をヒヨドリがついばんでいるのを見た、という記述もあり、鳥散布の可能性が現場の再侵入要因になり得ます。
圃場の縁・防風垣・フェンス沿いで毎年同じように出る場合は、畦畔側の“供給源”を絶つ設計(刈り取り頻度、資材置き場の整理)も一緒に考えると手戻りが減ります。
つる性雑草は草種で侵入経路や生理生態が異なるため、まず対象草種を特定してから防除方法を考えるべきだ、という指摘があります。
相談事例では、つる性雑草として多年生(ヒルガオ、コヒルガオ、セイヨウヒルガオ、ヤブガラシ、ガガイモ、ヘクソカズラなど)と一年生(アレチウリ、マメアサガオ、ホシアサガオなど)が挙げられています。
種子で増えるタイプに関しては、農研機構の「帰化アサガオ類まん延防止技術マニュアル」で、地域全体へのまん延を防ぐには“種子を作らせないことが重要”で、畦畔や農道脇などで見かけたら開花・結実前に防除することが重要、と明記されています。
参考)https://www.affrc.maff.go.jp/docs/pdf/publication_narc_kika_asagao_00.pdf
さらに、刈り取りによる防除の注意点として、再生防止のため地際から刈り取る/抜き取ること、刈り取った株を放置しないこと(種子の後熟防止のため)も示されています。
除草剤に関しても、同マニュアル内で「グルホシネート液剤(バスタ液剤)等が有効」「先端だけでなく株元まで十分かかるよう散布」「周りの作物にかからないよう散布」といった注意点が挙げられています。
一方で、つる性雑草の相談記事では、使用薬剤の状況から多年生ヒルガオ科の可能性を想像しつつ、現時点で選択的に防除する方法はない、という厳しい見立ても述べられています。
つまり現場の落とし穴は、「帰化アサガオ(種子型)のセオリー」を多年生地下茎型にそのまま当てはめることです。
実務では、畦畔・農道・圃場周辺で“最初の1株”を見つけた時点で、①多年生か一年生か、②種子を付けそうか、③地下茎の有無、を確認し、作業計画(刈り取り間隔、抜根の徹底、薬剤散布の当て方)を変えるのが合理的です。
独自視点として、アレチウリのような侵略的外来種は、行政・河川管理・地域住民が連携して防除を行う事例が示されており、「自分の圃場だけ頑張る」より“流域・地域で止める”発想が効く場面があります。
参考)https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/koudou/koudou1/ref04_1.pdf
また、アレチウリ対策ではドローン空撮の判読で雑草群落内から分布地点を検知し、必要なエリアを可視化して効率防除につなげる技術開発も紹介されており、面積が大きい圃場や河川敷近接地では「探すコスト」を下げる選択肢になります。
参考)侵略的外来種の防除技術の開発:農林水産技術会議
ほ場の現場運用としては、次の流れが失敗しにくいです。
ほ場周辺管理の参考リンク(開花・結実前の防除、刈り株放置NG、薬剤散布の注意点)
農研機構「帰化アサガオ類まん延防止技術マニュアル」PDF