『罠ガール』は2017年から2024年まで『電撃マオウ』で連載されていた、わな猟免許を持つ女子高生を主人公とした本格的な狩猟漫画です。2024年6月に全9巻で完結しましたが、残念ながらアニメ化には至りませんでした。SNS上では「罠ガールをアニメ化にまで行かせられなかったのは我々読者の責任でもある」という嘆きの声も上がっています。
参考)https://x.com/pesta888/status/1856670933924434362
累計発行部数は38万部を突破し、狩猟や農業メディアから大きな反響を得ていた作品です。Yahoo!知恵袋には「罠ガールが将来的にアニメとなる可能性は高いですか?」という質問もありましたが、「人気が出ればあるかもしれません」という回答にとどまっています。アニメ化されなかった理由としては、獣害対策や解体といったニッチなテーマ性や、描写のリアルさがテレビアニメ化のハードルとなった可能性が考えられます。
参考)罠ガール - Wikipedia
完結後も根強いファンが多く、特製レザーキーホルダーなどの記念グッズも発売されました。今後、配信プラットフォームでの独自アニメ化や、OVAとしての展開の可能性は完全には否定できません。
参考)https://dengekionline.com/article/202406/7317
『罠ガール』の主人公は、実家が農家の女子高生・朝比奈千代丸です。彼女は18歳でわな猟免許を取得し、畑を荒らすイノシシ、シカ、アライグマ、タヌキなどの野生動物を捕獲する「罠ガール」として活動しています。幼馴染の昼間レモンや生徒会長の夜空つむじ、若手猟師の清水夏芽らと共に、箱罠やくくり罠を使った害獣駆除に取り組む日常が描かれています。
参考)罠ガール|カドコミ (コミックウォーカー)
作品の大きな特徴は、そのリアリティの高さです。作者の緑山のぶひろ氏自身が福岡県で農業を営みながら、わな猟免許を持つ現役の兼業農家であり、実際の経験に基づいて作品を描いています。イノシシやシカの捕獲方法、トレイルカメラを使った動物のモニタリング、捕獲後の解体作業、ジビエ料理の調理法まで、詳細に描写されています。
参考)”わな猟”で農地を守る高校生が主人公!? 話題のマンガ『罠ガ…
物語は単なる狩猟技術の紹介にとどまらず、動物を駆除することへの批判や抗議活動、人間社会と自然保護の両立といった深いテーマも扱っています。最終9巻では千代丸がツキノワグマに遭遇するエピソードも収録され、野生動物との共生について考えさせられる内容となっています。
参考)「罠ガール」最終9巻で、千代丸がツキノワグマに遭遇 完結記念…
コミックウォーカーで試し読み可能
本作の雰囲気を知りたい方は、こちらで冒頭部分を無料で読むことができます。
漫画の設定では18歳の女子高生が狩猟免許を持っていますが、これは実際に可能なのでしょうか。結論から言えば、完全に現実的な設定です。日本では、わな猟免許や網猟免許は満18歳から取得可能であり、銃猟以外の狩猟は高校生でも合法的に行うことができます。
参考)わなシェアメンバーより高校生猟師が誕生しました。
実際に、盛岡中央高等学校の徳田陽与さんや福岡のわなシェアメンバーのみとさんなど、現役高校生でわな猟免許を取得した事例が報告されています。みとさんは「漫画『罠ガール』をはじめ狩猟のメディア露出が増え、みとさん世代で狩猟免許取得を考えている方も多い」とインタビューで述べています。テスト慣れしている学生のうちに受験した方が有利という意見もあり、若年層の狩猟免許取得のハードルは意外と低いことがわかります。
参考)現役高校生が「わな猟」免許試験に合格! - 盛岡中央高等学校
山梨県ではわな猟免許の女性取得者が10年前の10倍に増加しており、その背景にはジビエブームと共に『罠ガール』などの狩猟を題材にしたコミックの登場があると分析されています。『罠ガール』は「若年者のわな猟免許取得者増加につながっている」との声もあり、社会的な影響力を持った作品と言えます。
参考)話題:狩猟女子急増 山梨でわな猟免許10年前の10倍に 背景…
『罠ガール』が注目された最大の理由は、日本全国で深刻化している農作物への鳥獣被害問題をリアルに描いた点にあります。作者の緑山氏は「山間地の鳥獣被害や有害鳥獣捕獲の現状を知ってもらいたい」という思いから、コメディ路線ではなく「現実をありのままに描く」方針で連載をスタートさせました。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000014895.000007006.html
農業メディア「AGRI JOURNAL」では「鳥獣から畑を守る高校生!? いま話題のマンガ『罠ガール』って?」という特集が組まれ、「リアリティも高く勉強になる」と評価されました。また、大日本猟友会の公式サイトでも作品が紹介されるなど、狩猟業界からの支持も厚かったことが伺えます。
参考)[日猟トピック]コミック『罠ガール』第9巻が発売になります|…
作品内では電気柵の設置、囲い罠を使った群れごとの捕獲、行政との連携など、実践的な獣害対策が詳しく描かれています。さらに、捕獲した動物を「美味しくいただくこと」の重要性も強調されており、ジビエ利用の啓発にも貢献しました。環境省や農林水産省が推進する鳥獣被害対策において、こうした知識の普及は非常に重要な意味を持ちます。
参考)<画像8/14>『罠ガール』第6巻が3月27日発売! 女子高…
AGRI JOURNALの特集記事
農業専門メディアによる『罠ガール』の詳細な紹介記事で、作品の社会的意義について深く考察されています。
2024年6月に発売された第9巻をもって、『罠ガール』は7年間の連載に幕を閉じました。最終巻ではレザークラフト編とツキノワグマとの遭遇が描かれ、千代丸の成長物語が完結します。「さまざまな経験を通じて仲間も増えていった高校生罠師・千代丸の成長物語」として、多くの読者に感動を与えました。
参考)「罠ガール(9)」緑山のぶひろ [電撃コミックスNEXT] …
完結記念として、電撃コミックスNEXTでは特製レザーキーホルダー付きの限定版も発売され、ファンから高い評価を得ています。また、コミックナタリーでは完結記念のPV動画も公開され、作品の総括が行われました。
アニメ化こそ実現しませんでしたが、『罠ガール』は狩猟・農業業界に確かな足跡を残しました。若者の狩猟免許取得者増加という実際の社会変化をもたらし、鳥獣被害対策への関心を高めた功績は大きいと言えます。今後、実写ドラマ化や舞台化など、別の形での映像化の可能性も期待されます。電子書籍や中古市場でも人気が高く、完結後も新たな読者を獲得し続けている作品です。
参考)狩猟・農業界からも大反響! 20万部突破のコミック「罠ガール…
取材裏話を綴ったnote記事
ジビエ関係者による取材裏話が掲載されており、作品制作の舞台裏を知ることができます。