テアニンは茶の旨味に直結する遊離アミノ酸で、茶葉の遊離アミノ酸の中でも比率が高い成分として扱われます。
栽培面での重要ポイントは「テアニンが根で合成され、葉に蓄積する」という流れを前提に、葉での減少(変化)をどう抑えるかです。
特に日光を受けるとテアニンが渋味成分のカテキンへ変化しやすいので、旨味を狙うなら“日射の設計”が品質設計の中心になります。
・(参考リンク:テアニンの合成部位、日光でカテキンへ変化、被覆で抑制、温度との関係がまとまっている)
https://www.pref.kyoto.jp/chaken/teanin.html
被覆(遮光)は、日光によるテアニン→カテキンへの変化を抑え、旨味が多く渋味の少ない品質に寄せるための技術です。
現場での具体例として、二葉期から遮光を開始し「85%遮光10日間+98%遮光5日間」のように遮光率と期間を段階設計する方法が提示されています。
遮光開始後は短期間(数日)でテアニン増加が大きくなる局面があり、遮光“開始タイミング”が成分設計のレバーになり得ます。
・(参考リンク:遮光率・遮光期間・遮光開始時期(二葉期など)とテアニン含有量の関係が図で整理されている)
https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/001188740.pdf
テアニンを増やす設計では、被覆技術だけでなく品種選定が最初の分岐点になります。
「せいめい」はテアニンを多く含む品種として紹介され、さらに被覆適性が高いという位置づけで、遮光と組み合わせた設計が想定されています。
病害抵抗性(例:輪斑病抵抗性が強い等)の情報も併記されているため、テアニン目的の品質設計と、圃場の安定運用(防除回数・リスク)を同時に見直す余地があります。
施肥では、秋肥の窒素量を増やすことでテアニン含有量が高まる傾向が示されています。
ただし、成分量は茶樹が受ける光の量に左右され、日照などの気象条件で最適条件が変わるため、施肥だけを固定しても狙い通りにならない年が出ます。
実装では「遮光(光環境)×施肥(窒素)×摘採(部位)」をセットで点検し、うま味を押し上げつつ収量の落ち込みをどこまで許容するか、経営側の基準を先に決めるのが安全です。
意外に見落とされやすい視点として、テアニン含有量は部位で差があり、参考データでは茎の含有量が高いことが示されています。
つまり「遮光や施肥で葉のテアニンを上げる」だけでなく、「どの部位をどの高さで摘むか」という摘採設計そのものが、荒茶のテアニン設計に直結します。
低めに摘採する(摘採位置を下げる)運用が提示されており、同じ圃場でも“摘採面の設計”で品質方向性を作り分けられるため、仕向け(かぶせ茶/上位グレード等)ごとに摘採基準を変える設計が現実的です。