「除草剤でタマガヤツリを枯らすと稲の収量が減ることがあります。」
タマガヤツリはカヤツリグサ科の多年生雑草で、特に西日本の水稲圃場で問題化しています。見た目がイネに似ているため、発芽初期では見分けにくいのが特徴です。
高さは20〜40cmほどで、葉は細く平たい形状。穂が3〜5本に分かれ、やや黄緑がかった色になります。
根茎の地下部には球状の「塊茎」を多数つけ、これが翌年の再生源になります。つまり、抜いても根が残れば再発しやすいということですね。
長年の実験データでは、1㎡に1株でも翌年の発生数が5倍に増える傾向が確認されています。これは驚くべき再生力です。放置すれば田面全体に広がり、1反あたり最大15kgの収量減が確認されたケースもあります。
見分けのコツは「根元の赤味」と「葉の中心脈の浅さ」。これだけ覚えておけばOKです。
多くの農家が誤解しているのは、タマガヤツリが「除草の遅れ」で増えるという点です。実際は、過乾や浅水管理によって塊茎が酸素を得て発芽しやすくなります。
つまり、水を深く保つだけでも発芽率を半減できます。環境条件が整えば2年以内に水田一面に広がりかねません。
特に6月中旬〜7月初旬の田植え期に、1週間以上の乾田状態が発生すると発芽率が約80%まで上昇する研究結果があります。痛いですね。
これを防ぐには、常時5cm以上の湛水管理を維持し、乾く前に給水するタイミングをアプリなどで記録しておくとよいでしょう。結論は水管理が命です。
意外ですが、タマガヤツリは多くの一般的な水田用除草剤に耐性を持っています。特にスルホニルウレア系除草剤を連年使用すると、抵抗性が強くなるケースが報告されています。
農研機構の調査では、同剤を3年連続使用した田で発生率が10倍に急増した例も。いいことではありません。
除草剤を頼りすぎると、稲の根が浅くなり、風害にも弱くなります。
つまり「除草剤よりも塊茎対策」が基本です。秋の深耕(深さ20cm以上)で塊茎を地中深くに埋める方法が有効とされています。
また、JAグループの推奨では、「ナブ乳剤」や「クサトール1キロ粒剤」など、広葉・カヤツリ両対応型を交互に使用するのが効果的です。これは使えそうです。
防除コストは1反あたりおよそ2,000〜3,000円かかるとされていますが、水管理の工夫で半額にまで抑えられます。
具体的には、春先に浅く耕起し(深さ10cm程度)、塊茎を地表に出して乾燥・凍結させる手法が有効です。乾燥で死滅率が70%に達します。
耕起のタイミングを1週間誤るだけで生残率が2倍になるため、スケジュール管理も重要です。つまり、時期の見極めが勝負です。
また、防除データをアプリで管理している農家では、作業時間が年間で平均12時間削減されています。時間の節約になりますね。
多くの自治体でも、発生地域別の防除マップを提供しているため、自分の地域の発生傾向をチェックして対策計画を立てるのが現実的です。
ここは意外な視点です。実はタマガヤツリの根から取れる粉末は、東南アジアで柑橘系の香料原料として使われています。香料名は「ナガルモタ」。
日本の一部農家では、収穫後に集めた塊茎を乾燥・粉砕し、天然消臭材として販売している事例も。1kgあたり500円前後の副収入になります。
つまり「駆除一辺倒ではもったいない」という見方もできますね。
ただし、食用利用は推奨されていません。根に含まれる揮発性成分が強く、消化器への刺激を起こすためです。これだけは例外です。
雑草も資源として見れば、リスクを減らしつつ活かせる可能性があります。いいことですね。
参考として、農研機構のカヤツリグサ科雑草データベースには発生条件や最新の除草剤耐性情報が掲載されています。現場対応の参考になります。