竹は「一度切れば終わり」になりにくい作物外植物の代表格で、地下茎が生きている限り再生します。森林総合研究所の整理でも、2〜3度の伐採では新竹の発生が無くならないことが示されています。特に放置竹林では密度が高く、伐採後の再生竹がさらに多くなることもあるため、初年度の労力見積りを軽くしないことが重要です。
伐採で攻める場合の考え方は単純で、「光合成させない期間を長く作り、地下茎の貯蔵を削る」です。実際に皆伐後、年2回の刈り払いを7年間継続した現場では、ほとんどの現場で竹を駆除できたと報告されています。逆に刈り払いを省略すると、木竹混交林へ戻る事例も示され、途中で手を止めることが最大のリスクになります。
農業従事者の実務としては、次のような「現場で回る運用」に落とし込むのが現実的です。
ここで意外に効く発見ポイントは「伐った竹の置き場が、翌年以降の作業難度を決める」という点です。伐採そのものより、伐採後の“現場の通り道”と“再刈りのしやすさ”が、継続できるかどうかを左右します。
短期間で効果を出したい現場では、登録のある除草剤を「竹稈注入」で使う方法が強力です。森林総合研究所の資料では、グリホサート系除草剤を竹稈1本あたり5〜15ccの原液で注入し、作業は「穴開け→薬剤注入→穴塞ぎ」、時期は夏〜秋、半年程度で枯死と整理されています。
さらに、山形県の「森林侵入竹対応マニュアル(山形県版)」では、注入位置を地上30〜100cmに設定し、節の少し下に穴を開け、原液10mL注入して穴を塞ぐ手順が具体的に示されています。注入後は徐々に変色し、翌年に枯死する流れで、夏注入は効果が出る目安が約3か月、秋注入は約6か月という時間感覚も提示されています。現場で「いつ効くのか」を共有できるだけでも、作業計画が組みやすくなります。
農地周辺での実務上の注意点は、効果よりも“取り扱いと後処理”です。資料では、枯死した稈は景観悪化だけでなく雪や風で倒れる危険があるため早めに伐採する必要がある、と明記されています。つまり、薬剤注入はゴールではなく「倒伏前の回収・伐倒計画」とセットで初めて安全に完了します。
参考:薬剤注入の手順、時期、効き始めの目安(夏3か月・秋6か月)、枯死稈の早期伐採の注意点
https://www.pref.yamagata.jp/documents/23170/takemanyuaru.pdf
「注入の手間を変えたい」「竹稈が多くて液剤注入が回りにくい」現場では、塩素酸系除草剤という選択肢があります。森林総合研究所の資料では、塩素酸系除草剤を竹稈1本あたり10〜20g投入し、時期は生育期(春〜秋)、半年程度で枯死、作業は「穴開け→薬剤投入→穴塞ぎ」と整理されています。液剤と同じく“地下茎まで効かせる”狙いですが、形状が粒剤中心で、投入の道具立てが変わります。
同資料には、塩素酸系除草剤の土壌散布(10aあたり45〜60kg、生育期、半年程度で枯死)も載っています。散布は「土壌散布だけ」で速い一方、環境影響が気になる人が多いことも前提として触れられており、使い分けが必要です。農地や水路が近い圃場では、散布のしやすさだけで判断せず、作業区画・流亡リスク・周辺作物との距離を含めて、方法そのものを選ぶのが無難です。
また、除草剤の周辺影響について、同資料は塩素酸系除草剤の事例として、土壌残留成分が速やかに分解して消失し、河川水には検出されなかった、1か月もすれば影響は無くなると思われる、という調査結果を示しています。現場ではこの種の情報が「使う/使わない」論争に直結しやすいので、根拠として押さえておくと上司や近隣説明に役立ちます。
参考:塩素酸系(10〜20g/本の投入、45〜60kg/10aの土壌散布)、周辺環境への残留・流出の調査結果
https://www.ffpri.go.jp/fsm/research/pubs/documents/leftbambooforest.pdf
竹対策の本体は地下茎で、ここを弱らせるか、伸長そのものを止めるかの二択です。森林総合研究所の資料では、遮蔽物を埋設して地下茎の侵入を防ぐ方法が紹介され、資材としてコンクリート板、トタン、ポリカ波板、畦板などが挙げられています。埋設深さは50cm程度で効果があるとも言われるが、土層が深い場合はより深く伸びることもあるため現地状況で規格を選ぶ、とされ、地表面からの侵入もあるため上端部を地面から10cm程度出して埋設する点が実務的です。
ただし、同資料は「完全な侵入防止は難しい」ことも率直に書いています。地下茎の先端は尖っており、継ぎ目や底辺部の隙間から侵入しやすいので、継ぎ目を密着させ、溝底を締め固める必要があり、施工後も見回りや刈払いが必要、とされています。つまり物理遮断は、施工で終わりではなく“保守管理が前提の設備投資”です。
農地で特に効く使い方は、竹林全体を相手にするのではなく「侵入ラインだけを止める」設計です。たとえば、畑の上側斜面に竹林があり地下茎が入り込むケースでは、遮蔽物で侵入を止めつつ、畑側に出た再生竹だけを年数回の刈り払いで叩くと、労力が急に読みやすくなります。
検索上位でも話題になりがちな「塩を撒く」「石灰を入れる」「1mで切る」といった手法は、現場で“効いた気がする”体験談が先行しやすい一方で、再現性が低いのが問題です。森林総合研究所の資料では、食塩や石灰の施用は効果がないと明記されており、切株への注入や生立竹への飽和食塩水注入でも変色や落葉が見られず、食塩散布では竹に変化がない一方で下層植生がほとんど無くなった例が示されています。つまり「竹が枯れないのに、周りが先に死ぬ」方向に倒れやすく、農地の管理上むしろ痛手になり得ます。
また、1m伐採についても、森林総合研究所の資料では高切りでも再生竹は発生し、メリットは膝をつかずに伐採できる点だが再生する、と整理されています。山形県マニュアルでも、冬の「1m伐採」について試験したが稈の再生状況は通常伐採と大きな差はない、とし、作業や景観の支障も検討するよう勧めています。
ここでの独自視点として、農業現場での“誤解の原因”を分解します。塩や石灰、1m伐採は「やった直後の見た目」が変わりやすく、達成感が出ます。しかし竹の勝負は翌年以降の地下茎で決まるため、短期の見た目で判断すると負けやすいのです。効果の判定は、最低でも翌春〜初夏の新竹発生を確認し、さらに「侵入方向の先端が伸びていないか」を見回って初めて“効いた”と言えます。