太白ごま油の原料は「ごまの種子」で、香りを立てる焙煎を行わずに搾る前提のため、原料段階のにおい・夾雑物・劣化がそのまま出やすい油種です。
そのため製造現場では、まず「ごまを厳重に選別し、ゴミと砂を取り除く」工程が品質の起点になります。
農業従事者の立場で見ると、ここで重要なのは「収穫後の混入リスクを前提にした設計」です。
例えば、同じ“異物”でも、土砂・小石は物理的な問題だけでなく、保管中に微細粉が油のろ過負荷を上げ、静置回数や歩留まりに影響します。
また、乾燥が甘く種子が高水分だと、油脂の劣化(酸化の進行)だけでなく、保管中のにおい変化を誘発しやすく、太白の「クリアさ」が出にくくなります。
ここで、現場の実務として押さえたいチェック項目を整理します。
太白ごま油は香りが弱いぶん、原料の“わずかな異臭”が相対的に目立つので、原料ごまの衛生と保管は「差別化の武器」になります。
太白ごま油は、ごまを焙煎せずに搾ることで「香りがなく透明な生搾りのごま油」ができる、と説明されています。
また、圧搾(圧力だけで搾る)製法が紹介されており、化学溶剤を用いない点も明示されています。
この“焙煎しない”という条件が、農産物としてのごまの価値の見え方を変えます。焙煎ごま油であれば、焙煎香がある程度ばらつきを覆いますが、太白は覆いません。
圧搾製法は、現場の言葉で言えば「原料の欠点が出やすいが、原料の良さも出やすい」方式です。
参考)マルホン胡麻油ができるまで
だからこそ、契約栽培やロット管理が効きます。
油屋側の工程が高度でも、原料ロットが不安定だと、太白の「クセのなさ」を作るために後工程(脱色・脱臭)の負荷が増え、コストや歩留まりに跳ね返ります。
太白ごま油では、焙煎しない圧搾の後に「アクやエグミ、青臭さなどの成分を取り除くため、脱色・脱臭を行う」工程が重要だとされています。
さらに「不純物を取り除くため、約2週間をかけてじっくりと丁寧にろ過・静置を3回繰り返す」といった、時間をかけた管理も紹介されています。
この説明から読み取れるのは、太白の価値が“搾って終わり”ではなく、「におい・雑味・見た目」を整える工程に支えられている点です。
農業側の改善が効きやすいのは、実はこの後工程を“軽くする”方向です。
例えば、原料ごまの保管臭(倉庫臭、袋臭、カビ臭の手前のこもり臭)が少ないロットは、脱臭で削る量が減り、油の「旨み」を残しやすくなります。
また、夾雑物や微粉が少ないロットは、ろ過・静置の負担が減り、クリアな味の再現性が上がります。
つまり、太白ごま油向け原料の出荷基準は「見た目の等級」だけでなく、においと保管履歴が実質的な規格になり得ます。
現場でできる運用例は次の通りです。
太白の「透明・無臭」は、油屋の技術だけでなく、原料側の段取りでかなり守れます。
ごまは、脂質が約50%、たんぱく質が約20%を占めるなど、栄養価が高い食材として説明されています。
また、ごま特有の機能性成分として「ゴマリグナン」がごまに約1%含まれ、代表例にセサミン等があると整理されています。
農業従事者向けに言い換えると、油原料としてのごまは「油分が多い」だけでなく、「微量成分(リグナン類)が価値の説明材料になりやすい」作物です。
ここで意外に見落とされがちな点は、太白ごま油が“焙煎しない”ため、焙煎香(いわゆる香ばしさ)に頼らず、素材の持つコクや後味の設計が必要になることです。
したがって、原料ごまの品質説明も「香りが強い」ではなく、次の観点が刺さりやすいです。
油の売り場では“健康イメージ”が語られがちですが、業務用や加工用途では「クセがない」「素材の邪魔をしない」が評価軸になり、そこに原料管理の話を紐づけると説得力が増します。
太白ごま油は「焙煎せずに搾ることで、香りがなく透明」になりやすいとされますが、これは農業側にとって“欠点が目立つ商品仕様”でもあります。
つまり、加工で香りを作り込めない分、「原料ごまの履歴」が商品価値の中心に寄っていきます。
ここで独自視点として提案したいのは、太白ごま油向け原料ごまを「においリスクの低い原料」として設計し、取引先に“工程が見えるデータ”で渡すことです。
例えば、次のような簡易データでも、油屋・食品加工側には実務上かなり役立ちます。
太白は「香りを足さない油」なので、原料段階の“余計なにおいを足さない”ことが、最も強い差別化になります。
さらに、製造側では脱色・脱臭や、ろ過・静置を繰り返す工程があると説明されています。
農業側が原料品質を上げれば、この後工程の負担が下がり、結果として「旨みを残しやすい」「雑味が出にくい」方向に効く可能性があります。
太白ごま油は家庭用途だけでなく、菓子・パンなど香りを邪魔したくない加工用途でも語られており、原料ごまの“安定供給”は販路設計と相性が良いです。
参考)太白胡麻油とは?
製造工程の全体像(選別→圧搾→脱色・脱臭→ろ過・静置→充填)を把握すると、農業側がどこで貢献できるかが見えます。
参考:製造工程(選別、圧搾、脱色・脱臭、ろ過・静置)の流れと、焙煎しない生搾りの特徴
マルホン胡麻油ができるまで