機械収穫は、手刈り中心だった収穫作業を省力化し、人手不足・高齢化の影響を受けにくい体系へ寄せるために進んできました。鹿児島の熊毛・大島地域では、以前は手刈りだった収穫が機械化され、機械収穫の割合が約9割に達したとされています。
一方で、機械収穫が当たり前になるほど「収穫した年」よりも「次作(株出し栽培)の立ち上がり」が経営に効いてきます。機械収穫後の株出し栽培で単収が減少することが課題として挙げられており、導入後に効いてくる“見えにくい損失”を最初から想定しておく必要があります。
現場で起きやすい変化を、作業の前後で整理します。
さとうきび収穫機(ケーンハーベスタ)の要点は、「刈る」だけでなく、一定の品質で“次工程へ渡せる形に整える”ところにあります。研究事例として、刈り取ったサトウキビをチョッピングカッタで把持しながら掻き込み裁断する機構を備えた小型ケーンハーベスターが紹介されています。
この小型機は、高バイオマス量で茎数の多いサトウキビのように、通常の収穫機で高能率収穫が難しい条件を想定して開発された点が特徴です。
また、同事例では毎時7.1tの収穫が可能とされ、単純な速度だけでなく「裁断処理性能」を上げることで能率を確保する設計思想が読み取れます。
導入検討時は、カタログ上の能力値だけで判断せず、次の観点で現場条件と突き合わせるのが安全です。
参考)https://www.affrc.maff.go.jp/docs/hyouka/bunkakai/jisseki_hyouka/h20/pdf/h20_nias_hokoku_1.pdf
機械収穫が進んだ地域では、株出し栽培が主要な作型になりやすく、熊毛・大島地域でも株出し栽培が約7割を占めるとされています。
そのうえで課題になるのが、機械収穫後の株出し栽培で単収が減少する点です。
対策は大きく「品種」と「作業」の両輪になり、品種では収穫後の萌芽性に優れ、株出しでも原料茎数を確保しやすい特性が強みになります。
現場向けに、対策を“収穫機を変えずにできる順”で並べます。
(参考:標準作業手順書の掲載先が案内されています)
品種・地域・体系が合うなら、こうした手順書をベースに、自分の圃場条件(石、倒伏、土壌水分、枕地)を上乗せしていくのが実装の近道です。
収穫機のトラブルは「機械が壊れる」だけでなく、収穫物の品質や工場側の受け入れにも波及します。実際に製糖工場の工程説明では、原料にハーベスタの部品や鎌・鍬、ジュース缶などの金属片が混入することがあり、金属片を検出・除去して圧搾機を保護する装置が必要だと説明されています。
つまり、異物混入は“工場で除去できるからOK”ではなく、混入頻度が上がれば停止・手戻り・信用コストとして現場に返ってきます。
圃場側でできる予防としては、収穫前の見回りで金属系の落下物を拾い切る、石の多い区画を把握して刈り高さを無理に下げない、といった「やらない判断」も含めた運用が現実的です。
安全面・品質面をまとめて点検しやすいチェック項目を置きます。
参考)製品ができるまで
参考リンク(機械刈収穫の方法の違い、工場での異物除去や圧搾工程の概要が分かる)。
製品ができるまで
参考リンク(機械収穫の普及状況、機械収穫後の株出し栽培の課題、萌芽性に優れる品種と標準作業手順書の案内)。
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/karc/151342.html
検索上位の説明は「機械の紹介」「導入メリット」に寄りがちですが、実務で効くのは“収穫後に出る損失”を先回りして潰す運用設計です。機械収穫後の株出し栽培で単収が減少することが課題として明記されている以上、収穫当日の能率だけをKPIにすると、翌年に静かに負けます。
そこで、さとうきび収穫機の導入・運用を「株出し栽培の成績を守る計測システム」として捉えると、改善の打ち手が増えます。萌芽性・茎数確保が鍵だと示されているため、萌芽と茎数を“収穫条件と紐づけて”記録するだけでも、次年のロスが見える化します。
おすすめの記録項目(紙でもスマホでも可、まずは3項目から始める)。
この3点が揃うと、「石が多い区画→高刈り→萌芽の揃い悪化→翌年減収」という因果が見えやすくなり、圃場整備・更新・作業速度の最適化など、投資判断が“感覚”から“根拠”に変わります。strata+1
結果として、さとうきび収穫機を入れたのに利益が増えない、という典型的な落とし穴(翌年の単収低下)を、現場の言葉と数字で抑え込めます。