酸化亜鉛日焼け止め効果と農業作業での紫外線対策

農業従事者にとって屋外での長時間作業は避けられません。酸化亜鉛配合の日焼け止めはUV-AとUV-Bを広範囲にブロックし、肌への負担も少ないとされていますが、実際の効果はどの程度なのでしょうか?

酸化亜鉛日焼け止め効果

酸化亜鉛の紫外線防御効果
🛡️
広範囲のUVカット

UV-AとUV-Bの両方に対応し、特にロングUVA(290nm~400nm)まで防御可能

💧
低刺激性

紫外線散乱剤として肌表面で反射・散乱させるため化学変化が少なく敏感肌にも使いやすい

高い透明性

酸化チタンと比べて白浮きしにくく、少量で高いUVカット効果を実現

酸化亜鉛の紫外線散乱メカニズムと防御範囲

 

酸化亜鉛は紫外線散乱剤として日焼け止めに広く使用される成分で、その仕組みは肌表面で紫外線を物理的に反射・散乱させることにあります。酸化亜鉛のバンドギャップは3.2eVで、これにより380nm以下の光を吸収し、電子の励起が起こります。この特性により、UV-B(280~320nm)はもちろん、肌の真皮まで到達して光老化の原因となるUV-A(320~400nm)まで広範囲に防御できるのが大きな特徴です。

 

参考)【皮膚科専門医が解説】SNSで話題の「酸化亜鉛は肌に良くない…

紫外線全体量の75%を占めるロングUVAは、コラーゲンやエラスチン、線維芽細胞にダメージを与え、シワやたるみの原因となります。酸化亜鉛は対応波長が290nm~400nmと広く、酸化チタンの290nm~350nmと比較して、このロングUVAにも対応できる点が日焼け止めとしての高い効果につながっています。さらに、酸化亜鉛は酸化ストレスを誘導するブルーライトまでしっかりブロックする能力も持ち合わせており、多様な光ダメージから肌を守ります。

 

参考)紫外線散乱剤に含まれている酸化亜鉛・酸化チタンの安全性は?日…

紫外線吸収剤が化学反応によって紫外線を熱や赤外線に変換するのに対し、酸化亜鉛は物質自体が変化せず、光エネルギーによる構造変化も生じないため、安全性が高く肌への負担が少ないとされています。

 

参考)なぜ日焼け止めは、紫外線をブロックできる? 原理をわかりやす…

酸化亜鉛と酸化チタンの効果比較

酸化亜鉛と酸化チタンは、どちらも紫外線散乱剤として日焼け止めに使用される代表的な成分ですが、それぞれ異なる特性を持っています。以下の表で主な違いを比較します。

 

参考)日焼け止めの2大成分「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」につい…

特徴 酸化亜鉛 酸化チタン
紫外線防御範囲 UV-A & UV-B(290~400nm) 主にUV-B(290~350nm)
白浮きのしやすさ しづらい(透明性が高い) 白浮きしやすい
必要な配合量 少量で高いUVカット効果 酸化亜鉛より多く必要
SPF値への貢献 中程度 高い(UVB防御に優れる)
PA値への貢献 高い(UVA防御に優れる) 中程度

酸化チタンは光を屈折させる作用に優れており、SPF値を引き上げるという点では酸化亜鉛以上に有効です。一方、PA値はUVAを遮蔽する目安であるため、酸化亜鉛の使用がPA値を高める点で効果的とされています。酸化亜鉛は酸化チタンよりも透明性が高く、少ない量で高いUVカット効果が得られるため、白浮きしにくいという利点があります。

 

参考)https://www.soc.co.jp/sys/wp-content/themes/soc/assets/pdf/csr/ultraviolet.pdf

また、酸化亜鉛には微弱な収れん効果(肌の引き締め)があり、皮脂を吸着して化粧崩れを防ぐ効果も期待できるため、ファンデーションや化粧下地などにも配合されています。多くの日焼け止め製品では、酸化チタンと酸化亜鉛を併用することで、UV-BとUV-Aの両方に対する高い防御性能を実現しています。

 

参考)【初心者向け】酸化亜鉛|化粧品としての効果は?

酸化亜鉛日焼け止めのSPF・PA数値と選び方

日焼け止めを選ぶ際に重要な指標となるのがSPFとPAの数値です。SPF(Sun Protection Factor)はUV-Bに対する防御能を示し、数値が大きいほど効果が高く、最高値はSPF50+です。一方、PA(Protection Grade of UVA)はUV-Aへのケア効果を示し、PA+からPA++++までの4段階で表されます。

 

参考)https://kazukk.jp/column/2025/08/27/132

日常的な買い物や通勤など短時間の外出であれば、SPF20~30、PA++~+++程度で十分な紫外線ケアが可能です。しかし、農業従事者のような長時間屋外で作業を行う場合は、より高い防御力が必要となります。日本皮膚科学会では、屋外作業者にはSPF50+を推奨しており、特に紫外線が強い時期には最高値の製品を選ぶことが重要です。

 

参考)外仕事向け日焼け止めの選び方と使い方|おすすめ製品を徹底比較…

酸化亜鉛は低濃度でも高いSPF、PAを出すことができ、特にロングUVAも防げるほど対応波長が広いという特徴があります。そのため、農業従事者の方は酸化亜鉛配合でSPF50+・PA++++の日焼け止めを選ぶことで、広範囲の紫外線から効果的に肌を守ることができます。ただし、SPFやPAの数値は単独製品での効果を示す指標であり、複数の製品を重ねても足し算できるわけではないため注意が必要です。

 

参考)あおい皮膚科クリニック

環境省「紫外線環境保健マニュアル」- 農業、漁業従事者など戸外活動時間が長い人の紫外線対策に関する詳細な情報

農業作業における酸化亜鉛日焼け止めの実用性

農業従事者は広大な畑や田んぼで長時間直射日光を浴びるため、一般的な日常生活と比べて紫外線リスクが非常に高い環境にあります。WHO(世界保健機関)によると、白内障の約20%は紫外線が原因だとされており、屋外作業者は特に紫外線による悪影響を受けやすいことが分かっています。

 

参考)エポカル製品で守る健康な作業環境/農業編-1 - 株式会社ピ…

農業作業では汗をかきやすく、土や植物との接触も多いため、日焼け止めには汗や水に強いウォータープルーフタイプが適しています。酸化亜鉛配合の日焼け止めの中には、UV耐水性という新基準に対応した製品もあり、従来のウォータープルーフよりも高い耐水性を実現しています。摩擦に強いフリクションプルーフタイプを選べば、作業着との擦れにも強く、効果が持続しやすくなります。

 

参考)全て酸化亜鉛フリー!ウォータープルーフの日焼け止め12選【U…

酸化亜鉛は抗炎症剤としての効果も期待でき、皮膚を保護する役割も果たします。また、酸化亜鉛が紫外線を浴びると活性酸素を生み出し、これが病原菌を強力に分解するという特性もあり、農作業で土壌に触れる機会が多い方にとって、肌の清潔さを保つ面でも有益です。ただし、こまめな塗り直しは欠かせず、2~3時間おきに再塗布することで、安定した紫外線防御効果を維持できます。

 

参考)殺菌効果 病害抵抗性 石灰 もも|ICジンク 農薬・肥料 井…

酸化亜鉛日焼け止めの意外な副次効果と注意点

酸化亜鉛には日焼け止め効果以外にも、意外な副次効果があります。その一つが皮脂吸着による化粧崩れ防止効果です。この特性により、酸化亜鉛配合の日焼け止めはテカリを抑え、長時間さらっとした使用感を保つことができるため、汗をかきやすい農作業中でも快適に使用できます。

 

参考)酸化亜鉛フリーのメリット・デメリットとは?効果や似た成分も解…

一方で、注意すべき点もあります。化粧品の製造過程において熱処理をする際に酸化しきれなかった亜鉛が混ざることがあり、その量が多いと汗などの水分によって金属イオンが流出し、金属アレルギーを発症させる可能性があります。また、皮脂を吸着して固める効果があるため、毛穴詰まりを起こす可能性も指摘されています。

 

参考)酸化亜鉛は毛穴に詰まる!?化粧品開発者から見た「酸化亜鉛」の…

ただし、これらのリスクは製品の品質や個人の肌質によって大きく異なります。敏感肌の方や金属アレルギーの傾向がある方は、パッチテストを行ってから使用することが推奨されます。また、作業後は石けんや洗顔料でしっかりと落とすことで、毛穴詰まりのリスクを減らすことができます。酸化亜鉛フリーの製品も増えてきていますが、酸化亜鉛は紫外線防御剤として非常に優秀な成分であり、多くの農業従事者にとって有効な選択肢となります。

 

参考)https://www.amubelle.jp/blog/4018.html

銀座ケイスキンクリニック - 皮膚科専門医による酸化亜鉛の安全性と効果に関する医学的見解

 

 


&SH 酸化亜鉛 30g 油溶性/フリーパウダー に ミネラルファンデーション 手作り化粧品