ロックウール断熱材デメリットと施工注意点や価格比較

ロックウール断熱材は優れた性能を持つ一方で、価格や吸湿性、施工の難しさなどのデメリットも存在します。農業施設や住宅で使用する際にどんな点に注意すべきでしょうか?

ロックウール断熱材のデメリット

ロックウール断熱材の主なデメリット
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高い価格設定

グラスウールと比較して製造コストが高く、㎡あたり400円~1,000円程度と施工費用が増加する傾向があります

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吸湿による性能低下

水分を吸収すると繊維の性質が変化し、微細な空隙が失われて断熱性能が大きく低下してしまいます

⚖️
重量による脱落リスク

材料自体が重いため、適切に固定しないと壁の下部に固まってしまい、断熱効果が失われる可能性があります

ロックウール断熱材の価格とコスト面のデメリット

 

ロックウール断熱材の最大のデメリットは、グラスウールなど他の繊維系断熱材と比較して価格が高いことです。グラスウールが㎡あたり400円程度から施工できるのに対し、ロックウールは同じ繊維系でも製造コストが高く、材料費だけで割高になる傾向があります。

 

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製造工程では玄武岩や高炉スラグなどの鉱物を1,500度以上の高温で溶融させて繊維化する必要があり、エネルギーコストがかかります。また、運搬時の重量による輸送費の増加や、施工時の労力が大きい点もコスト増の要因です。建物全体の断熱工事では、価格差が数十万円規模になることもあるため、予算計画の段階で注意が必要です。

 

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ただし、耐火性や耐熱性といった性能面を考慮すれば、コストパフォーマンスは決して悪くありません。長期的な耐久性や火災時の安全性を重視する場合、初期投資の高さを補って余りある価値があると言えます。

 

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ロックウール断熱材の吸湿性と性能低下リスク

ロックウールは繊維質であるため、湿気に弱いという重大なデメリットがあります。繊維自体には耐水性があるものの、水分を吸収すると繊維の性質が変わり、断熱性能を支える微細な空隙が水で塞がれてしまいます。

 

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特に問題となるのは、壁体内で発生する結露です。冬季には室内の暖かい湿気が壁内に侵入し、外気側で冷やされて露点に達すると、ロックウール内部で結露が発生します。夏季には逆に、外部の高温多湿な空気が室内の冷房で冷やされて結露を起こすケースもあります。一度水分を保持すると、繊維の間にとどまったまま乾きにくく、断熱性能が大きく低下した状態が続きます。

 

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対策としては、防湿フィルムや透湿防水シートと組み合わせて、壁体内への水分侵入を徹底的にブロックする必要があります。気密性の高い住宅構造と相性が良く、適切な防水・防湿処理が必須となります。

 

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ロックウール断熱材の重量と脱落しやすさ

ロックウールは他の断熱材と比較して重量があるため、施工後に脱落しやすいという欠点があります。脱落とは、壁内で断熱材が自重により下方向に移動し、壁の下部に固まってしまう現象です。これが起こると、上部に隙間ができて断熱性能が大幅に低下します。

 

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特に充填断熱工法では、柱や間柱の間にロックウールを設置するため、固定が不十分だと経年変化により徐々に下がってきます。施工時には「耳」と呼ばれる部分を柱の見付面にしっかりと留める正式な施工方法を守る必要があり、側面に留めるなどの不適切な施工では脱落のリスクが高まります。

 

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脱落を防ぐには、高い技術力を持つ施工業者に依頼することが重要です。適切な固定方法、隙間やたるみのない丁寧な充填、防湿フィルムの破れやはがれの確認など、施工品質が断熱性能に直結する材料と言えます。

 

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ロックウール断熱材の施工方法と注意点

ロックウールの施工では、充填タイプと吹き付けタイプの2種類があり、それぞれ異なる注意点があります。充填タイプでは、材料をつぶさない程度に押し込み、面で支えるイメージで施工することが重要です。押しすぎると密度が偏り、吸音・断熱性能が低下します。

 

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施工前の準備として、材料は雨濡れ厳禁で、現場搬入後は直射日光や湿気を避けて保管する必要があります。保管場所はパレットや木材で床から浮かせ、湿気対策を徹底します。作業時には防じんマスク、手袋、長袖、保護メガネの着用が必須です。

 

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配線・配管の貫通部では、ロックウールを割り欠いてぴったり合わせ、隙間ができる場合は端材で充填します。サービスゾーンを設けて断熱層を貫通させない設計が理想的です。また、10mm程度大きめにカットして四周に隙間を作らないことが、性能を最大限発揮させる秘訣です。

ロックウール断熱材を農業施設で使う際の独自課題

農業施設、特にビニールハウスなどの園芸施設でロックウールを断熱材として使用する場合、一般住宅とは異なる課題が存在します。農業用ロックウールは主に栽培培地として広く使われており、トマトやイチゴの養液栽培では根を支え、水・酸素・肥料の吸収を助ける役割を果たします。

 

参考)ロックウール工業会 - 製品紹介 / 農業用

しかし、断熱材として施設の壁や屋根に使用する場合、ハウス内の高湿度環境が最大の課題となります。農作物の蒸散により湿度が常に高く、結露が発生しやすい条件下では、ロックウールの吸湿による性能低下リスクが一般住宅以上に高まります。加温設備を使用する冬季栽培では、内外の温度差が大きく、壁体内結露のリスクが特に高くなります。

 

また、農業施設では頻繁に水を使用するため、施工時の防水・防湿対策がより重要になります。さらに、ロックウールは廃棄時に腐らず分解されないため、リサイクルや廃棄の手間とコストが農家にとって負担となる可能性があります。これらの点を考慮し、農業施設では他の断熱材との比較検討や、換気システムとの組み合わせなど、総合的な設計が求められます。

 

参考)ロックウールの特徴

ロックウール工業会の充填断熱施工マニュアル(施工手順の詳細な写真とイラスト付き解説)
JFEロックファイバーのロックウール湿気特性解説(耐水性と耐久性に関する技術情報)
ニチアス技術レポート「農業で使われるロックウール製品」(農業用途での特性と利用方法)

 

 


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