ラクサー乳剤の「倍率」は、ラベルに「〇〇倍」と明記されるタイプよりも、適用表にある「薬量(mL/10a)」と「希釈水量(L/10a)」から現場で換算して使う場面が多い薬剤です。
農林水産省の農薬登録情報では、だいず・えだまめの薬量が400~800mL/10a、希釈水量が100L/10a、使用方法が全面土壌散布、使用時期がは種後出芽前(雑草発生前)と示されています。
この表記を「倍率」に置き換えるなら、100Lに対して原液400mLは250倍、800mLは125倍に相当します(100,000mL ÷ 400mL = 250、100,000mL ÷ 800mL = 125)。
つまり、だいず・えだまめではおおむね125~250倍相当の範囲で運用するイメージになり、圃場の雑草発生状況や土壌条件に合わせて薬量レンジ内で調整していく設計です。
ただし、ここで注意したいのは「倍率が高い=薄い」「倍率が低い=濃い」という感覚だけで管理すると、10a当たりの原液量を外してしまう事故が起こりやすい点です。
参考)日産ラクサー乳剤
ラクサー乳剤の適用は10a当たり薬量で規定されているため、散布水量を変えた場合は“倍率”も連動して変わり、同じ倍率を固定すると薬量がズレます。
例えば「100L/10aを70L/10aに減らしたい」など散布水量を変えるなら、10a当たりの原液が400~800mLの範囲に収まるよう、先に原液量を決めてから希釈水量を合わせるのが安全です。
だいず・えだまめにおけるラクサー乳剤は、使用時期が「は種後出芽前(雑草発生前)」、使用方法が「全面土壌散布」、本剤の使用回数が「1回」と登録されています。
また、有効成分の総使用回数として、アラクロールを含む農薬は1回、リニュロンを含む農薬は2回以内(ただし全面土壌散布は1回以内、雑草茎葉兼土壌散布は1回以内)という制限が併記されます。
この“総使用回数”の縛りは、同じ成分を含む別剤を組み合わせる地域・体系防除では特に見落としやすく、倍率だけ合わせても回数制限でアウトになるケースがあるため、散布計画の段階でチェックが必要です。
倍率の観点では、同じ「希釈水量100L/10a」でも、薬量を400mLに寄せるか800mLに寄せるかで、換算倍率(約250倍~125倍)が大きく変わります。
土壌処理剤は、散布ムラがあると「効きすぎ帯(薬害リスク)」と「効き不足帯(残草)」が同時に出やすいので、倍率よりも“10a当たり原液量が適用レンジ内で、かつ均一に撒けているか”を現場の管理指標にすると失敗が減ります。
具体的には、ブームスプレーヤの走行速度と吐出量を一定にし、10aを撒き切った時にタンクの減りが狙いの100L(または設定水量)になっているかを毎回確認すると、倍率のブレも自然に抑えられます。
ばれいしょに対するラクサー乳剤は、使用時期が「植付後萌芽前(雑草発生前)」、薬量が400~600mL/10a、希釈水量が100L/10a、使用方法が全面土壌散布、本剤の使用回数が1回と示されています。
この条件を倍率換算すると、100Lに対し原液400mLは250倍、600mLは約167倍(100,000mL ÷ 600mL)に相当し、だいず・えだまめ(最大800mL/10a)よりも“濃くし過ぎる側”の上限が低い設計です。
同じ「ラクサー乳剤 倍率」で検索して情報を拾う際に、だいずの上限800mL/10aの感覚でばれいしょも設計してしまうと、登録条件から外れる可能性があるため、作物別に必ず適用表へ戻る必要があります。
また、ばれいしょは「植付後」「萌芽前」というタイミングの幅があるため、圃場の温度・降雨・萌芽速度で散布適期が短くなりやすいのが実務上のポイントです。
“倍率を決めて安心”ではなく、雑草発生前に散布が完了しているか、散布後に大雨が予報されていないか、といった運用条件が結果(効果とリスク)を左右します。
独自視点として、ラクサー乳剤の倍率運用で現場トラブルになりやすいのは「倍率そのもの」よりも「計量単位の取り違え」と「10a換算のミス」です。
適用表はmL/10aとL/10aで与えられるため、タンクが500L・800Lなど大きいほど“何十a分を一度に作ったか”が曖昧になり、原液の入れ忘れ・二度入れが起きやすくなります。
対策として、作業前に次の3点を紙に書いてスプレーヤに貼るだけで事故が減ります(意味のある手順に限定します)。
「倍率」で管理したい場合も、最後に倍率を“結果として”確認する程度に留め、基本は10a当たり原液量を中心に組み立てる方が登録条件との整合が取りやすいです。
加えて、ラクサー乳剤は有効成分としてアラクロール30.0%とリニュロン12.0%を含む登録であるため、混用・体系の中で総使用回数制限に触れないよう、散布履歴(いつ、どの成分を、何回)を簡単なメモでも残すと後で助かります。
参考:適用作物・薬量(mL/10a)・希釈水量(L/10a)・使用回数・成分含有率まで一次情報で確認できる(本文の倍率換算の根拠)
農林水産省 農薬登録情報提供システム(日産ラクサー乳剤)