ラベンダー畑富良野時期!7月見頃と開花の種類やスポット

富良野のラベンダー畑はいつ訪れるのがベストなのでしょうか?見頃の7月や開花状況、品種による違いを農家の視点で徹底解説します。服装や天気、そして刈り取りのタイミングまで。最高の紫の絨毯に出会う旅に出かけませんか?

ラベンダー畑の富良野の時期

富良野ラベンダー完全ガイド
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ベストシーズン

7月中旬~下旬が最盛期

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主要品種

濃紫早咲・おかむらさき

🚜
刈り取り

8月上旬から本格化

富良野ラベンダー畑の見頃は7月がピークで開花状況

 

北海道富良野の夏の風物詩であるラベンダー畑。農業従事者や園芸愛好家にとって、その開花状況を正確に把握することは、単なる観光以上の意味を持ちます。一般的な観光ガイドでは「7月が見頃」と一括りにされがちですが、実際には気候変動やその年の積雪量、春先の気温推移によって開花時期は微妙に変動します。

 

まず、大まかな季節のフローを理解しましょう。富良野盆地におけるラベンダーのライフサイクルは、非常に短い夏に凝縮されています。

 

  • 6月下旬: 早咲き品種が色づき始めます。まだ全体的には緑が目立ちますが、早咲きエリアでは鮮やかな紫のコントラストが楽しめます。
  • 7月上旬: 早咲きが見頃を迎え、遅咲きの品種も蕾が膨らみ始めます。観光客が増え始めるのもこの時期です。
  • 7月中旬〜下旬: 【絶対的なピーク】です。早咲き種と遅咲き種の両方が色づき、富良野盆地全体が紫色の香りに包まれます。特に「おかむらさき」などの主力品種が満開になり、最も美しい景観を作り出します。
  • 8月上旬: 観光用の保存畑を除き、オイル抽出やドライフラワー用の「刈り取り」が始まります。この時期を過ぎると、畑は急速に緑色へと戻っていきます。

農業的な視点で見ると、ラベンダーの開花は「積算温度」に強く影響を受けます。6月の気温が平年より高い年は、開花が1週間程度早まる傾向があります。逆に冷夏の場合は、7月下旬までピークがずれ込むこともあります。プロの視点で訪問時期を決めるなら、単にカレンダーを見るだけでなく、北海道の春からの気温推移をチェックするのが賢明です。

 

また、雨の影響も無視できません。ラベンダーは高温多湿を嫌う作物です。開花時期に長雨が続くと、花穂が重くなり倒伏したり、色がくすんだりすることがあります。晴天が続いた後の数日間が、花色が最も鮮やかで、香りの揮発も強くなるベストタイミングと言えるでしょう。

 

参考リンク:ファーム富田の開花情報(品種ごとの詳細な開花状況が確認できます)

ラベンダー畑の種類と特徴を知り早咲きと遅咲きを楽しむ

「ラベンダー」と一言で言っても、富良野で栽培されているものには明確な品種の違いがあります。これを理解していると、畑を見たときの解像度が格段に上がります。特に農業に携わる方であれば、それぞれの品種が持つ「特性」や「用途」の違いに興味が湧くはずです。主に栽培されている4つの品種について深掘りします。

 

1. 濃紫早咲(のうしはやざき)

  • 系統: イングリッシュラベンダー系
  • 時期: 6月下旬〜7月中旬
  • 特徴: その名の通り、蕾の時期から非常に濃い紫色をしているのが特徴です。花穂(かすい)が短く、コンパクトにまとまっています。観賞用として非常に人気があり、写真映えするため、観光農園の前列によく植えられています。早咲きのため、7月の早い段階で満開を迎えます。

2. おかむらさき

  • 系統: イングリッシュラベンダー系
  • 時期: 7月中旬〜7月下旬
  • 特徴: 富良野のラベンダーを代表する品種です。花穂が長く、淡く上品な紫色をしています。最大の特徴は「香りの良さ」。香料分析の評価が高く、かつては香料採取の主力品種でした。風に揺れる姿が美しく、最も「ラベンダーらしい」風景を作ります。昭和39年に北海道の優良品種に指定されています。

3. はなもいわ

  • 系統: イングリッシュラベンダー系
  • 時期: 7月中旬〜8月上旬
  • 特徴: 昭和42年に優良品種となり、かつてはオイル採取の主力でした。少し白みがかった淡い紫色の花をつけます。現在では主にアロマオイルの原料用として栽培されており、観光用の花畑で見かけることは少なくなりましたが、その優しい色合いは玄人好みです。

4. ようてい

  • 系統: イングリッシュラベンダー系
  • 時期: 7月上旬〜7月下旬
  • 特徴: 赤みを帯びた紫色が特徴的な品種です。他の品種と並べて植えられると、その色の違い(赤紫)が際立ち、グラデーションを作り出します。化粧品香料としても優秀です。

これらの品種の違いを見分けるコツは、「花穂の長さ」と「色の濃淡」です。濃くて短いのが「濃紫早咲」、長くて優雅なのが「おかむらさき」と覚えておけば、現地での観察がより楽しくなります。また、観賞用だけでなく、それぞれの品種が「オイル用」「ドライフラワー用」「切り花用」など、どのような適性を持って選抜されてきたのかという育種の歴史に思いを馳せるのも、農業関係者ならではの楽しみ方です。

 

参考リンク:中富良野町ラベンダー情報(各品種の詳細な特徴や見分け方がPDFで解説されています)

富良野ラベンダー畑のファーム富田など人気スポットと穴場

富良野エリアには大小様々なラベンダー畑が点在していますが、それぞれに「栽培規模」「地形」「植栽デザイン」の特徴があります。効率よく、かつ深く楽しむためのスポットを厳選して紹介します。

 

【王道】ファーム富田(中富良野町)
言わずと知れた聖地です。しかし、単なる観光地として見るのはもったいない場所です。ここは日本でラベンダー栽培が衰退した時期に、観光という新たな価値を見出して生き残った歴史的な場所です。

 

  • トラディショナルラベンダー畑: 日本で最も歴史のあるラベンダー畑の一つ。急斜面に植えられており、紫の絨毯の背景に富良野盆地と十勝岳連峰が広がる構図は圧巻です。
  • 彩りの畑: ラベンダーだけでなく、ポピーやカスミソウなどが虹のように植え分けられています。これは輪作や混植の美しさを極めたランドスケープデザインの傑作です。

【大規模】ラベンダーイースト(上富良野町)
ファーム富田が運営する、日本最大級のラベンダー畑です。ここは「香料生産」を主目的とした畑であり、観光農園というよりは「生産現場」の雰囲気が色濃く残っています。

 

  • 特徴: 約9万株ものラベンダーが平地に広がり、そのスケール感は圧倒的です。収穫機(ラベンダーバス)が走る様子が見られることもあり、農業機械に興味がある方にはたまらないスポットです。7月のみの限定開園なので注意が必要です。

【穴場・絶景】日の出公園ラベンダー園(上富良野町)
小高い丘全体がラベンダー畑になっており、展望台からの眺めが素晴らしい場所です。

 

  • 特徴: 比較的混雑が緩やかで、ゆっくりと写真撮影や観察ができます。西向きの斜面があるため、夕暮れ時のラベンダー畑(サンセットラベンダー)が非常に美しいことで知られています。

【リフト鑑賞】北星山ラベンダー園(中富良野町)
冬はスキー場として使われている斜面を利用したラベンダー園です。

 

  • 特徴: 観光リフトに乗って、空からラベンダー畑を見下ろすことができます。歩かずに斜面の上まで行けるため、足腰に不安がある方にもおすすめですが、農業的な視点で見ると「急傾斜地での土地利用」の良い事例として観察できます。

スポット選びのポイント
混雑を避けたい場合は、早朝(6時〜7時台)の行動が鉄則です。特にファーム富田は8時を過ぎると観光バスが到着し始め、非常に混雑します。早朝のラベンダーは朝露を含んでおり、香りも最も強く感じられます。静寂の中で植物と向き合いたいなら、早起きをして日の出とともに畑に向かうことを強くおすすめします。

 

参考リンク:ラベンダーイースト(日本最大級の生産用ラベンダー畑の詳細情報)

ラベンダー畑の富良野へ行く服装と天気の注意点

富良野への訪問を計画する際、農業やフィールドワークの経験がある方なら「現地の環境」が気になるはずです。北海道の7月は本州とは全く異なる気候特性を持っています。快適に、そして安全に視察・観光するための装備と気象情報をまとめます。

 

気候特性:内陸性気候の寒暖差
富良野は典型的な盆地気候です。

 

  • 日中: 7月の最高気温は30℃近くになることもあり、日差しは強烈です。湿度が低いためカラッとしていますが、直射日光による体力の消耗には注意が必要です。
  • 朝晩: ここが重要です。日が落ちると気温が急激に下がり、20℃を下回ることも珍しくありません。日中との寒暖差が10℃以上になることもザラです。

服装のベストプラクティス

  • トップス: 基本は半袖ですが、必ず「羽織るもの(薄手のパーカーやウィンドブレーカー)」を持参してください。早朝の撮影や夕方の散策では、半袖一枚では肌寒く感じます。
  • ボトムス: 虫刺されや日焼け防止の観点から、薄手の長ズボンが推奨されます。農業用の作業パンツや、通気性の良いトレッキングパンツが最適です。
  • 足元: ヒールやサンダルは絶対にNGです。多くのラベンダー畑は土の地面やウッドチップが敷かれた通路です。また、朝露で濡れていることも多いため、撥水性のあるスニーカーやウォーキングシューズがベストです。汚れても良い靴を選びましょう。

農業現場としての注意点:ハチの存在
ラベンダー畑は、ミツバチやマルハナバチにとっての巨大な餌場です。畑の中を歩いていると、無数のハチが飛び交っています。

 

  • 黒い服を避ける: ハチは黒い色に反応して攻撃的になる習性があります。全身黒ずくめの服装は避け、白やパステルカラーなどの明るい色の服を選ぶのが無難です。
  • 香水は控える: 香水や香りの強い整髪料は、ハチを刺激する可能性があります。ラベンダー本来の香りを楽しむためにも、人工的な香りは纏わないのがマナーです。
  • 刺激しない: ミツバチたちは花の蜜を集めるのに夢中で、こちらから手を出したり騒いだりしなければ、基本的に刺してくることはありません。農作物の受粉を助ける益虫として、温かく見守りましょう。

天気予報を見る際は、「富良野市」だけでなく、ピンポイントの天気を確認してください。山の天気は変わりやすく、突然の通り雨(夕立)もしばしば発生します。折りたたみ傘やレインウェアを携帯しておくと安心です。

 

参考リンク:上富良野町観光協会(現地の気候やアクセス情報がまとまっています)

ラベンダー畑の刈り取り時期とオイル抽出の活用法

多くの観光客にとって、ラベンダー畑は「見るもの」ですが、農業従事者にとっては「収穫するもの」です。このセクションでは、検索上位の記事にはあまり書かれていない、生産現場としての「刈り取り」と「オイル抽出」に焦点を当てます。

 

刈り取りのタイミング:花の命をオイルに変える
ラベンダーの刈り取りは、花が満開を迎え、枯れ始める直前のわずかな期間に行われます。品種やその年の気候によりますが、7月下旬から8月上旬がメインの収穫期です。

 

  • なぜこの時期か? 花に含まれる精油成分(酢酸リナリルなど)の含有量が最も高くなり、香りの質が良くなるタイミングを見計らっているからです。早すぎると香りが青臭くなり、遅すぎると香りが飛んでしまいます。
  • 収穫の光景: 観光用の畑は手作業で丁寧に刈り取られることもありますが、大規模な生産畑(ラベンダーイーストなど)では、ラベンダー収穫機が稼働します。茶畑の収穫機に似た形状で、畝(うね)をまたいで効率よく花穂をカットしていく様は圧巻です。この「収穫シーン」を見られるのは、シーズンの終わり際の数日間だけの特権です。

水蒸気蒸留法によるオイル抽出
刈り取られた大量のラベンダーは、すぐに「蒸留所」へと運ばれます。ファーム富田など一部の施設では、蒸留の様子をガラス越しに見学できる場所があります。

 

  1. 蒸留釜へ投入: 数百キロ単位のラベンダーを巨大な釜に詰め込みます。
  2. 蒸気を通す: 釜の下から高温の水蒸気を送り込みます。すると、植物の細胞にある油胞(ゆほう)が破れ、精油成分が気化して水蒸気と共に立ち上ります。
  3. 冷却・分離: 気化した成分を冷却管で冷やして液体に戻します。すると、水と油の比重の違いにより、上澄みに「エッセンシャルオイル」、下に「フローラルウォーター(芳香蒸留水)」が分離します。

富良野ラベンダー産業の歴史的背景
実は、昭和40年代後半、安価な輸入香料の台頭により、富良野のラベンダー栽培は一度壊滅の危機に瀕しました。農家が次々とラベンダー畑を潰して他の作物へ転作する中、写真家の写真によって観光資源としての価値が再発見され、奇跡的に復活を遂げたのです。

 

現在、富良野で抽出されるラベンダーオイルは、その希少性と品質の高さから、非常に高価なブランドとして確立されています。お土産として売られている小瓶のオイル一つ一つに、農家の苦難の歴史と、適切な時期に適切な加工を行う農業技術が詰まっています。

 

もし8月上旬に訪れるなら、ぜひ「蒸留の舎(いえ)」などで、抽出されたばかりのフレッシュなオイルの香りを体験してみてください。熟成されたオイルとは違う、植物の生命力を感じる荒々しくも爽快な香りは、この時期、この場所でしか味わえません。

 

参考リンク:ラベンダーオイルのできるまで(蒸留工程の詳細な図解と解説)

 

 


【日本の風景ポストカードのAIR】北海道 富良野のラベンダー畑のはがきハガキ葉書2 撮影/YOSHIO IWASAWA