温水機(温湯ボイラー)を使う温湯暖房は、ボイラーで加熱した温湯を施設内へ循環させ、配管や放熱器で熱を放出して作物・空気・床面をじわっと温める方式です。宮城県の園芸施設資料では、温湯暖房は「ボイラーで暖めた温湯(70~80℃)を施設内に循環させ暖める方法」と整理されています。温風暖房と違い、熱の運び方が「空気」ではなく「水」なので、温度の立ち上がりは急ではない一方、熱が安定しやすいのが特徴です。
また、温湯は配管やタンクという“熱の塊”を持つため、循環が止まっても環境が急落しにくいという説明も同資料にあります。現場感としては、夜明け前の外気が一番落ちる時間帯に、ハウス内が「一気に冷える」ことを嫌う作型ほど、温湯暖房の性格が合いやすいです(ただし最終判断は断熱・規模・作物で変わります)。
ここで押さえたいのは、温水機は単体で完結しない点です。温湯をどう放熱させるか(配管・放熱器・送風の有無)までを一つの暖房システムとして見ないと、同じ能力の温水機でも体感が変わります。
温湯暖房は「温湯を作る」より「温湯の熱をハウス内で狙って捨てる」設計が肝です。施設園芸向けの解説では、温湯昇温用の暖房機で80~90℃の湯を沸かし、熱交換器・ポンプ圧送で、温湯用の鉄管(例:φ50~φ75)やエロフィンチューブ放熱管に送って加温する仕組みが紹介されています。つまり、配管は単なる輸送路ではなく、放熱器そのものとして働きます。
放熱の考え方は大きく2つあります。ひとつは「配管を増やして面で放熱する」発想、もうひとつは「ラジエーター+ファンで温風に変換して放熱する」発想です。農研機構のバイオマスボイラー温室暖房マニュアルでは、温水をラジエーターに通しファン送風で温風に熱交換して暖房する放熱装置が説明され、水温60~80℃で1台あたり20~25kW程度の暖房能力の目安も示されています。
意外と見落とされがちなのが、配管・放熱器の“配置”がハウスの温度ムラに直結する点です。温風暖房は空気を混ぜて平均化しやすい一方、温湯配管は「近いところが強く温まる」性格があるので、循環扇などで空気を回す設計とセットで考えると失敗しにくくなります。
温湯暖房で貯湯タンク(蓄熱)を組み合わせると、温水機の燃焼を“必要な瞬間だけ”に寄せず、効率が良い時間帯や運転しやすい時間帯へ平準化できます。ゼロアグリの解説では、温湯ボイラーで沸かした温湯を熱交換器や貯湯タンクを介してハウス内の金属配管へ循環させる構成が説明されており、タンクはシステムの重要部品として扱われています。
さらに同解説では、CO2施用のためにボイラーを日中に稼働させる場合など、余熱が発生するので蓄熱する働きがある点にも触れています。ここが農業ならではの“温水機の使いどころ”で、夜間の暖房だけでなく、日中の運転理由(CO2、生育ステージ、作業動線)まで含めて熱を無駄なく回収できると、結果的に燃料を削りやすくなります。
あまり知られていない盲点としては、貯湯タンクを入れたのに「配管の断熱が甘くて、タンクからハウスまでの往復で熱を落としている」ケースです。タンク容量や温水機能力の議論より前に、まず“熱を捨てない経路”が作れているかを点検すると、同じ投資でも改善幅が大きくなります。
温水機の熱源は、重油・LPGなどの化石燃料だけでなく、木質チップなどのバイオマスを燃やして温水を作る方式も現実的な選択肢です。農研機構のマニュアルでは、木質チップなどを燃料にしてお湯を沸かすボイラー部と、温風へ変換して暖房する放熱部でシステムが構成されることが示されています。燃料の入手性、灰処理、保守の手間は増えやすい一方、燃料価格の変動リスクを下げられる可能性があります。
また、農林水産省関係の研究成果資料では、木質バイオマスの燃焼温度が800~1,000℃程度になりうること、温水熱交換器・温水タンク・ラジエーター式放熱器を組み合わせた暖房システムを構築したことが記載されています。ここから分かるのは、バイオマスは「燃えれば終わり」ではなく、温水系(熱交換・貯湯・放熱)と相性が良いという点です。
運用面での実務ポイントは、燃料の種類よりも「温水機を止める判断」を曖昧にしないことです。夜間の最低気温対策で回しっぱなしにすると、燃料も増えますし、過乾燥・過加温で作物の徒長や病害リスク側に触れることもあります。温度設定・ゾーン管理・循環量の調整(可能なら段階制御)まで含めて“熱の出し方”を設計すると、燃料単価の差以上に効いてきます。
温湯暖房は、停電や故障で温湯循環が止まっても施設内の気温が急激に低下しない、という整理が公的資料にあります。これは「温湯が配管内に残る」「水と金属が熱容量を持つ」という、物理的な“粘り”が働くからです。温風暖房のように送風が止まった瞬間から熱供給がゼロになりやすい方式に比べると、短時間のトラブル耐性を設計で取りに行けるのが温水機系の強みになります。
ただし、ここで誤解しやすいのは「停電でも安心」という雑な安心感です。循環ポンプが止まれば、配管の熱は出ますが“次の熱”が回りませんし、条件によっては局所的に冷えます。そこで独自視点として提案したいのが、温水機そのものより「止まったときの被害を小さくする設計」を先に決める考え方です。
例えば、以下のように“リスク分散”の設計ができます(設備更新の規模に合わせて選択)。
✅ できるだけ低コストで効く対策
・温湯配管の断熱強化(熱をハウス内で捨てる)
・循環扇の導入で温度ムラを減らす(同じ熱量でも効きを上げる)
・最低限の非常用電源を「循環ポンプと制御」へ優先配分する(燃焼機器を全部動かすより現実的)
✅ 設備投資を伴うが効果が大きい対策
・貯湯タンクを“バッファ”として使い、ピーク時間の燃焼負荷を下げる
・熱源を複線化(例:主は温水機、補助は既存温風機)で、最悪の夜だけ逃がす
夜明け前の暖房ピークに全振りしない設計は、燃料費の面でも精神衛生の面でも効きます。温水機は「暖める機械」ですが、実際には“トラブル時の温度低下速度まで含めて買う設備”だと捉えると、選定の軸がぶれません。
公的資料:温湯暖房(70~80℃)の説明・停電時の温度低下が急激でない点(仕組みの根拠)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/miyagi_yasai18_24.pdf
農研機構:バイオマスボイラー温室暖房(温水→ラジエーター→温風、能力目安など放熱側の考え方)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/greenhouseheatingsystemmanual20200326.pdf
実務解説:温湯昇温(80~90℃)・鉄管やエロフィンチューブ放熱管など現場に近い構成要素(配管・放熱の具体像)
https://inochio.co.jp/column/44/
実務解説:温湯暖房+貯湯タンク、CO2施用と余熱の蓄熱(運用の考え方)
https://www.zero-agri.jp/guide/heating-in-greenhouses-2/

投げ込みヒーター 電気浸漬給湯器ロッド プールヒーター 1500w 自動電源オフ 浴槽用給湯器 インフレータブルプール 家庭 アウトドア 学校に適しています(ワイヤーたわしと日本語マニュアル付き)