農業用水 施設 入札 公共工事と発注者支援の実務

農業用水施設の公共工事入札で安定して受注するために、入札制度の基本から発注者支援機関との関わり方まで実務目線で整理するとどうなるか?

農業用水 施設 入札 実務と制度

農業用水施設入札の全体像
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農業用水施設入札の基本

公共工事としての農業用水施設入札の位置づけと、一般競争入札・指名競争入札など基本的な枠組みを整理します。

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総合評価とストックマネジメント

単なる価格競争にとどまらない総合評価落札方式やストックマネジメント調査案件への対応ポイントを解説します。

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発注者支援機関との付き合い方

農業農村整備事業発注者支援機関の役割や、事業者側がうまく連携することで評価・受注にどうつなげられるかを見ていきます。

農業用水施設入札の基本枠組みと公共工事の位置づけ


農業用水施設の工事や調査業務は「農業土木施設」として農林水産省所管の公共事業に含まれ、ダム・頭首工・ため池・用水機場・開水路・管水路など多様な施設が対象になります。
公共工事の入札契約制度は国では会計法、地方公共団体では地方自治法に基づき、一般競争入札・指名競争入札・随意契約といった方式が用意されており、予定価格の範囲内で最低価格者と契約するのが原則です。
公共工事の一般的な入札方式としては、従来型の価格競争だけでなく、工期・品質・安全性などの要素を加味する総合評価落札方式が導入されています。


参考)https://www.mlit.go.jp/singikai/kensetsugyou/tekiseika/040804/05.pdf

農業用水施設に関する実務では、「畑地かんがい施設整備」「水利施設等整備」「ストックマネジメント調査」といった名称で測量設計業務や調査検討業務が指名競争入札や一般競争入札として公告されるケースが多く見られます。


参考)令和7年度 畑地かんがい施設整備(農業用水施設)測量設計業務…

地方自治体や土地改良区連合などが公告する入札では、入札方式(一般競争・指名競争)、参加資格、入札日程、設計図書の閲覧方法などが公告ページや入札情報サービスにまとめて掲載されます。


参考)令和7年度 畑地かんがい施設整備(農業用水施設)測量設計業務…

農業用水施設に関わる業務は工事そのものだけでなく、「測量設計」「水源転換調査」「清掃・維持管理」「産業廃棄物処分」など多様な業務区分に分かれて公告される点も特徴です。


参考)(令和7年12月19日公表)農業用水施設等清掃業務ほかから発…

農業用水施設入札で頻出の発注者・案件タイプと実務上の注意

農業用水施設の入札案件は、都道府県や市町村の農政部局のほか、土地改良区・土地改良区連合、農業農村整備事業発注者支援機関、水資源機構などが発注者として登場することが多くなっています。
発注者ごとに仕様書の書きぶりや要求水準、提出書類のフォーマットが微妙に異なるため、過去案件の公告や入札結果を追いながら、その発注者の「クセ」を把握しておくと実務で有利に働きます。
案件タイプとしては、施設整備工事そのものよりも、「測量設計業務委託」「調査検討業務」「清掃・維持管理業務」「ストックマネジメント調査」など業務委託型の入札が多いのも農業用水施設の特徴です。


参考)令和7年度農業水利施設ストックマネジメント調査事業犬居揚水機…

近年は老朽化対策として、既存施設の健全度を評価し更新・補修計画を立てるストックマネジメント調査事業が増加しており、「農業水利施設ストックマネジメント調査」と冠した入札情報も見られます。


参考)https://www.maff.go.jp/tohoku/nouson/seibi/hinsitu/pdf/05_torikumi.pdf

また、農業用水施設に関連する入札には、施設の清掃で発生した産業廃棄物の処分業務など、農家からは見えにくい裏方の業務も含まれており、こうした案件は継続発注されやすい傾向があります。

冬季の転落事故防止啓発とあわせて水路管理を強化する自治体では、転落防止柵や点検歩廊の整備工事とセットで点検・清掃業務の入札が公告されるケースもあり、季節要因も案件発生に影響しています。


参考)入札情報を更新しました|庄川沿岸用水土地改良区連合

農業用水施設入札における総合評価落札方式と技術提案のポイント

農村振興局所管の工事では、価格だけでなく技術力や地域貢献などを評価する総合評価落札方式が広く導入されており、工事に関する総合評価落札方式の実施手続きが別途整理されています。
総合評価では、経営事項審査に基づく客観的な点数に加え、類似工事の施工実績、技術者の資格、地域貢献の取組、施工計画書の内容などが評価項目として設定されるのが一般的です。
農業農村整備事業向けの簡易型総合評価方式では、「農業農村の多面的機能の維持増進活動」への参画状況など、地域貢献度に関する項目が評価対象として明示されており、事前の申告・確認が必要とされています。


参考)https://www.tokachi.pref.hokkaido.lg.jp/fs/9/6/9/6/1/1/4/_/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%90%91%E3%81%91(R6.1).pdf

技術提案付きの入札では、発注者が設定する課題の背景や現場条件を入札説明書に明記することが求められ、入札参加者側もその意図を読み取り、具体的な施工条件を踏まえた提案をまとめる必要があります。


参考)https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/attach/pdf/index-236.pdf

総合評価方式では、「極端に安い価格」を提示しても技術評価点が低ければ落札できないため、設計単価や工法の合理性を踏まえた現実的な積算が重要になります。


参考)https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/attach/pdf/index-229.pdf

一方で、農業用水施設ならではの要素として、用水確保の安定性や維持管理のしやすさを高める工夫、営農への影響を最小化する施工計画などを技術提案の中で具体的に示すと、評価で差がつきやすいとされています。

農業用水施設入札と発注者支援機関・専門技術者の活用という独自視点

農業農村整備事業では、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に基づき、設計・積算補助や技術審査補助、監督補助などを行う「農業農村整備事業発注者支援機関」が各地で認定されています。
これらの発注者支援機関は、地方農政局や都道府県の農政部局から委託を受けて、発注関係事務の各段階をサポートし、品質と価格が総合的に優れた調達になるように制度化された存在です。
発注者支援機関には、技術士(農業部門)や農業土木技術管理士、一級土木施工管理技士などの資格を持ち、公共工事の発注者支援の立場で一定年以上の実務経験を有する技術者が配置されていることが求められます。


参考)各種登録情報

現場技術業務の民間競争入札では、「農業水利施設補修工事品質管理士」や「農業農村地理情報システム」に関する専門資格が要件として明記されているケースもあり、農業用水施設の入札では資格・人員体制の整備が成否を分けるポイントになりつつあります。


参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/001043404.pdf

独自の視点として、農業者側が発注者支援機関を「遠い存在」と捉えるのではなく、地域の土地改良区や農業者団体を通じて、老朽化施設の課題や営農上のニーズを丁寧に共有しておくことが、将来の入札案件の発生や仕様書の内容に影響しうる点が挙げられます。


参考)業務受託のご案内|水土里ネット島根|島根県土地改良事業団体連…

発注者支援機関が作成する設計・積算に対して、現場感覚を持つ農業者や施工者がフィードバックを重ねることで、維持管理しやすく、地域実情に合った農業用水施設の入札案件が増え、長期的な営農の安定にもつながる可能性があります。

農業用水施設入札と資金・ストックマネジメント時代の戦略

農業用水施設の整備・改良の背景には、農業水利施設ストックマネジメント調査など、既存ストックの点検・評価を踏まえた長期計画の策定があり、調査や検討業務が入札で外部委託されています。
こうしたストックマネジメント案件では、単に現状を調査するだけでなく、耐震性・洪水リスク・維持管理コスト・営農継続性などを総合的に評価し、優先度の高い施設から着実に改修していくためのシナリオ作りが求められます。
一方、農業者や農業関連法人が自ら施設整備に関与する場合、日本政策金融公庫の「農林漁業施設資金」など、共同利用施設や6次産業化関連施設の整備を支える資金メニューも用意されています。


参考)農林漁業施設資金(共同利用施設、農商工連携、6次産業化)|日…

公共事業としての農業用水施設整備と、民間主体が活用できる施設資金を組み合わせることで、水利施設と加工・販売施設を含めた地域のインフラを面として整備する戦略も取り得るようになっています。

また、発注機関の入札情報サービスやメールマガジンを活用し、水資源機構や地方自治体が公告する入札予定を早い段階から把握しておくことで、自社の技術者配置や機械の稼働計画、資金繰りを前倒しで検討できます。


参考)https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d03project/d0306/sysfile_credas/kikan_code.pdf

農業用水施設入札に継続的に参加する事業者にとっては、単発の案件を追いかけるのではなく、ストックマネジメントの長期計画や年間発注予定の情報と自社の中長期計画をリンクさせることが、安定した受注と地域水利の持続的な維持につながっていきます。


参考)入札・契約情報:水資源機構

農業用水施設の入札制度と総合評価方式、発注者支援機関の役割の概要について詳しく整理されている。


農村振興局所管事業の発注・施工に関する取組方針(PDF)
公共工事に共通する入札契約制度の枠組みや総合評価落札方式の基本を確認する際に参考になる。


公共工事の入札契約制度の概要(国土交通省)
農業用水施設を含む農業土木施設の業務事例や発注者と工種の関係を具体的に把握するのに役立つ。


「農業土木施設」に関する業務 - 株式会社オークスコンサルタント
農業農村整備事業発注者支援機関の仕組みや、発注者支援の内容、技術者要件などを詳細に知ることができる。


農業農村整備事業発注者支援機関 認定とは?




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