航空散布機と農薬とドローン手続き

航空散布機を使った農薬散布は、省力化の一方で許可申請や安全対策、飛散(ドリフト)管理が欠かせません。導入前に押さえるべき手続きと現場運用の要点を整理し、失敗しない判断軸を作れる内容です。どこから準備すべきでしょうか?

航空散布機と農薬散布

航空散布機の全体像(導入前の要点)
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手続きは「航空法」と「現場ルール」で二重に考える

飛行許可・承認の申請と、地域・県の運用(計画書/報告書、周知など)を同時に整えると、直前のトラブルを減らせます。

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飛散(ドリフト)は「風・高度・剤型」で最小化

散布の成否は気象と飛行条件で決まりやすく、風速や高度の管理は品質と苦情防止の両面で効きます。

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安全装備と立入防止はコストではなく保険

操縦者・補助者の防護装備、実施区域への立入防止、周辺作物への配慮をセット運用すると事故リスクが下がります。

航空散布機の手続き:許可申請と事業計画


航空散布機(無人ヘリ・無人マルチローター等)で農薬や肥料などを空中散布する場合、「人や家屋が密集している地域の上空を飛行させる可能性」や「物件の投下等」に該当し得るため、航空法にもとづく許可・承認申請が必要になります。
実務では、原則としてオンラインのDIPS2.0で手続きを進め、最初の飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに申請する運用が示されています。
また、無人ヘリコプターでの空中散布では、安全ガイドラインにもとづく「空中散布事業計画書」を散布実施月の前月末までに提出し、実施後は「事業報告書」を速やかに提出する枠組みが自治体側で案内されています(提出先・様式は県等で指定)。
現場で起きがちな“見落とし”は、飛行許可だけ取って、県や地域に求められる運用(計画書・報告書、連絡体制、問い合わせ窓口)を整えないケースです。


参考)農薬散布ドローンで必要な申請は3つ!手続きの流れや手順を徹底…

特に防除を外部委託する場合でも、自治体資料では「実施主体」の定義に「委託のみする者」も含む扱いが明記されており、丸投げ前提でいると調整が遅れることがあります。

導入初年度は、申請・周知・運航記録の整備に時間がかかるので、散布期直前ではなく、圃場計画が見えた段階で前倒しするほうが安全です。

参考リンク(許可申請の期限、DIPS2.0、事業計画書/報告書、事故報告の考え方)
福岡県:無人航空機による農薬の空中散布における注意事項

航空散布機の安全:風速・飛行高度・飛行条件

航空散布は「飛行条件のブレ」がそのまま散布ムラや飛散リスクに直結するため、ガイドラインでは飛行高度や風速の目安が具体的に示されています。
たとえば無人ヘリの安全ガイドラインでは、飛行高度は作物上3~4m以下、散布時の風速は地上1.5mで3m/s以下といった目安が記載されています。
さらに、飛行速度・飛行間隔は機体諸元を参考にしつつ、散布状況を随時確認して加減する考え方が示され、固定の数値より「確認して調整する運用」が重視されています。
意外と見落とされるのは、風速計の数値だけを見て「散布可」と判断し、圃場端や用水沿いで乱流が起きて飛散が出るケースです。


参考)https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/pdf/mujinheri_guideline.pdf

ガイドラインでは、危被害の可能性が高い場合、無風・弱風の時間帯を選ぶ、使用農薬の種類変更、飛散が少ない剤型の選択など“中止・変更”を含む判断が推奨されています。

つまり上手い現場ほど、機体性能より先に「やらない判断」を含めた運航基準を作り、苦情・事故を未然に潰しています。

航空散布機の飛散対策:ドリフトと周辺作物

自治体の注意事項でも、無人航空機の空中散布は人畜・農林水産物・周辺環境への安全性を確保しつつ適正に実施する必要がある、と明確に書かれています。
飛散(ドリフト)は「周辺作物への薬害」だけでなく、散布そのものが止まる(地域調整が難しくなる)引き金にもなるため、散布設計の段階で対策を織り込むのが現実的です。
具体策として、境界部を実施除外区域にして地上散布へ切り替える、周囲の作物にも適用のある農薬や飛散の少ない剤型(粒剤等)を選ぶ、といった対策例が示されています。
現場感のある工夫としては、「圃場の外周を最初に攻めない」ことが効きます。

外周から入ると、操縦者の緊張が高いタイミングで境界・道路・住宅側の難しいライン取りをすることになり、散布幅のズレが即“外”に出やすいからです。

中心部で散布状態(霧化、吐出量、風の癖)を確認してから外周へ移る運用は、ガイドラインが求める「散布状況を随時確認し、適切に加減する」という考え方とも整合します。

航空散布機の事故防止:防護装備と立入管理

空中散布の注意事項では、実施主体は安全ガイドラインや関係法令を遵守し、安全な利用に努めるべきだと整理されています。
また農薬事故が発生した場合、ガイドラインにもとづく事故報告(第1報は事故発生直後など)を県へ提出する流れが示され、航空法上の事故・重大インシデントの報告先にも触れられています。
つまり「事故が起きないようにする」だけでなく、「起きた後に隠さず、早く、必要先へ報告する」体制まで含めて、現場の信用が決まります。
作業者側の基本としては、防護装備の着用や操縦者・補助者の連携など、暴露(浴びること)の回避が対策例として挙げられています。


参考)無人航空機による農薬の空中散布において必要な手続き

そして、立入管理は最重要で、散布中に実施区域へ人が入り得る状況を放置すると、たとえ散布技術が高くても事故になります。

「立入禁止の表示」「見張り役(補助者)の明確化」「連絡手段の統一(無線・電話)」は、最小コストで効く再発防止策です。

航空散布機の独自視点:防除委託の責任分界

検索上位の解説は「申請や飛行条件」に寄りがちですが、実務で揉めやすいのは、防除を委託したときの責任分界と“誰が地域と話すのか”です。
自治体の注意事項では、実施主体に「防除実施者」だけでなく「作業を他者に委託のみする者」も含むとされ、委託者側にも一定の当事者性がある前提で書かれています。
この前提を踏まえると、契約書や段取りの段階で「申請は誰」「DIPSの名義は誰」「近隣周知は誰」「苦情窓口は誰」「事故時の第一報は誰」を決めておかないと、現場が止まります。
意外な盲点は、委託先が“飛ばすこと”に慣れていても、地域ごとの提出書類・様式・締切(前月末など)が違う点です。

そのため、委託時のチェックリストは機体スペックより先に、行政・JA土地改良区・近隣の調整タスクを列挙して、期限つきで担当を割るほうが成功率が上がります。

航空散布機の導入効果(省力化)を最大化するコツは、飛行そのものではなく「飛べる状態を毎回つくる」段取り力にあります。

論点 現場でのチェック例
許可・承認申請 DIPS2.0で申請し、少なくとも10開庁日前までに間に合わせる。
事業計画・報告 無人ヘリは前月末までに計画書、実施後は速やかに報告書(県等の指定に従う)。
飛行条件 目安として作物上3~4m以下、地上1.5mで風速3m/s以下等の考え方を踏まえ調整する。
飛散対策 実施除外区域の設定、周囲作物に適用のある農薬、飛散の少ない剤型の検討。
事故時対応 農薬事故は第1報:事故発生直後など期限があるため、連絡体制を事前整備する。
  • ✅ 段取りの最短ルート:散布計画(圃場・日程)→ 申請期限確認 → 周知 → 風と飛行条件の判断基準作成 → 当日の立入管理。
  • ⚠️ よくある失敗:許可だけ取得して、計画書/報告書や苦情窓口の設定が後回しになり、地域調整で止まる。
  • 📝 継続運用のコツ:毎回の「中止判断」を運航基準に明文化し、無風・弱風帯を優先する(品質と信用を守る)。




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