「あなたの畑の抵抗性品種、実は別レースには無力かもしれません。」
フザリウム萎凋病菌レースを肉眼で見分けることは不可能です。奈良県農業試験場の調査では、正確なレース診断にはPCR検査が必要で、1検体あたり約6,000〜8,000円が相場。高く感じるかもしれませんが、誤った品種選定による損失(収量30%減や苗損失)を考えれば、実質的には「保険料」に近い費用です。抵抗性が合致しないと、苗100本あたり2万円以上の損害が出るケースも報告されています。
つまり、診断を怠ること自体が最大のコストです。
結論は検査が基本です。
多くの農家が太陽熱処理やクロルピクリン消毒を行っていますが、レースによって耐性が異なることが知られています。特にレース3は40℃4時間の日射処理でも活動再開例があり、完全死滅には至りません。実際の試験では黒マルチを二重に被せ、地温48℃を8時間維持すると発芽率が90%減少しました。
つまり、半端な消毒では「減るが消えない」。
消毒時間と温度の管理が鍵です。
温度管理が条件です。
トマト品種「麗容」はレース1に強いことで知られますが、レース2が多い地域ではほぼ無防備です。また、近年登場した「ハウス桃太郎ファイト」はレース1〜2耐性を持ちますが、3には非対応。つまり、品種カタログの「耐病性」表記だけで判断すると危険です。農研機構の報告では「各レースに特化した抵抗性遺伝子」を組み合わせないと恒久的防除は不可能。レース確認なしの品種選びは、実質的に「運任せ」です。
選定前の確認が基本です。
有機農家の間で人気の「米ぬか堆肥」や「魚かす堆肥」は、条件によってフザリウム菌を逆に増やす例があります。2023年の三重県農業技術センターの試験では、C/N比が高すぎる堆肥を施用した区画でフザリウム菌密度が2倍に上昇。未熟堆肥が分解途中で菌の栄養源になるためです。一方、キチン質資材を添加した場合は菌密度が60%低下しました。
つまり、有機=安全ではありません。
資材の質が防除効果を左右します。
資材選定に注意すれば大丈夫です。
圃場設計で重要なのは排水性とpH管理です。pHが6.0未満になると菌活性が高まる傾向があり、排水不良地では胞子密度が約3倍に上昇します。2024年の愛知県データによると、「うね高を15cm以上確保した圃場」は発病率が半減しました。また、根域環境を一定に保つドリップ潅水システムの活用も有効です。費用は1反あたり約12,000円ですが、再感染を未然に防げるなら決して高くありません。結果的に、5年スパンで見れば明確な投資効果になります。
つまり環境設計が原則です。
参考リンク:フザリウム萎凋病菌のレース別発生状況の統計と最新抵抗性情報(農研機構・植物防疫研究部門)
https://www.naro.go.jp/laboratory/nipp/index.html