フレコンバッグ サイズ 選び方 1トン 農業

農業用フレコンバッグのサイズ選びで失敗していませんか?実は「1トンバッグ」でも、入れるものによって重さは激変します。軽トラ積載のルールや、作物別のかさ密度計算など、農家が知っておくべきサイズ選びの極意を解説します。
フレコンバッグ サイズ選びの極意
📏
基本の1トンサイズ

直径1100mm×高さ1100mmが標準。でも中身で重量は変わる!

🚛
軽トラ積載の落とし穴

サイズは入っても重量オーバーの危険大。最大積載量350kgを死守して。

🌾
かさ密度計算

もみ殻は軽く、土は重い。比重を知れば無駄な買い物を防げます。

フレコンバッグ サイズ 選び方

農業現場で資材や収穫物の運搬に欠かせないフレコンバッグ(フレキシブルコンテナバッグ)。ホームセンターやネット通販で「1トンバッグ」と書かれたものを適当に選んでいませんか?実は、「サイズ」と「耐荷重」の関係を正しく理解していないと、作業効率が落ちるばかりか、思わぬ事故や法律違反につながることがあります。

 

フレコンバッグのサイズ選びは、単に「大きさ」を見るだけでは不十分です。入れるもの(作物、土、肥料)の「重さ(比重)」と、運ぶトラックの「積載ルール」をセットで考える必要があります。この記事では、農業従事者の方が絶対に失敗しないための、サイズ選びの決定版ガイドをお届けします。

 

種類と容量 1トン

まず、フレコンバッグの世界で「標準」とされているサイズを押さえましょう。最も流通量が多く、一般的に「1トン用」として販売されているのは以下のスペックです。

 

  • 形状: 丸型(円筒形)
  • 寸法: 直径1,100mm × 高さ1,100mm
  • 容量: 約1,000リットル(1m³)
  • 耐荷重: 1,000kg

この「1100 × 1100」という数字は、JIS規格(日本産業規格)のパレット(1100mm × 1100mm)にぴったり収まるように設計されています。

 

参考)フレコンバッグとは?種類や規格の選び方について解説します -…

しかし、ここで注意が必要なのは、「容量1000リットルの袋なら、必ず1トンの物が入るわけではない」という点です。例えば、比重の軽い「もみ殻」をこの袋一杯に入れても、重さは100kg程度にしかなりません。逆に、比重の重い「土砂」や「砂利」を入れると、袋が満杯になる前に耐荷重の1000kgを超えてしまい、吊り上げた瞬間にベルトが切れる事故につながります。

 

参考)icon-X

農業用途では、標準サイズ以外にも以下のようなバリエーションが使われます。

 

  • ハーフサイズ(高さ600〜800mm): 土や砂など重いもの用。容量500L程度。
  • 背高サイズ(高さ1300mm〜): もみ殻や飼料用トウモロコシなど、軽くてかさばるもの用。

    参考)ふくろ屋ふくなが / 1500~2000L(特大)

農業用 丸型 角型

フレコンバッグの形状には、主に「丸型」と「角型」の2種類があり、農業現場では用途によって使い分けるのが鉄則です。

 

丸型(ラウンド型)の特徴

  • メリット: 縫製箇所が少なく製造コストが安いため、価格が手頃。もっとも普及しているタイプです。

    参考)フレキシブルコンテナバッグの選び方

  • デメリット: 中身を入れると円筒状に膨らむため、トラックの荷台や倉庫に並べたときに、袋と袋の間に「デッドスペース」が生まれます。
  • 農業での使い道: 一時的な保管や、コストを抑えたい肥料・堆肥の運搬。

角型(スクエア型)の特徴

  • メリット: 四隅がしっかり縫製されているため、中身を入れても四角い形状を保ちます。パレットやトラックの荷台に隙間なく積載でき、保管効率が非常に高いです。

    参考)フレコンバッグとは?用途・主な種類と形状・選び方まで徹底解説…

  • デメリット: 丸型に比べて価格がやや高めです。
  • 農業での使い道: 倉庫での長期保管(玄米など)、輸送効率を最大化したい出荷用。

特に、収穫した玄米をJAや集荷業者に出荷する場合、保管スペースの効率化のために「角型」が指定されるケースもあります。また、形状保持機能(内部に隔壁があるタイプなど)を持つ角型バッグは、積み重ねても崩れにくいため、狭い農業倉庫での活用が進んでいます。

 

参考リンク:トンパックの標準サイズとは?最小から最大までまとめ(ソフトバッグ)
参考リンク解説:サイズ別の容量や寸法が一覧でまとまっており、標準的な「1100×1100」以外のバリエーションを知るのに役立ちます。

 

かさ密度 計算 耐荷重

「この袋にウチの作物はどれくらい入るのか?」を知るために必須な知識が「かさ密度(かさ比重)」です。これは「1立方メートル(1,000リットル)あたりの重さ」のことです。

 

農業で扱う主な資材の目安は以下の通りです(水分量や状態により変動します)。

 

品目 かさ密度 (kg/m³) 1000L袋に入れた時の重さ目安 適したフレコンサイズ
土・砂 1,200 〜 1,600 1,200kg 〜 1,600kg 危険! 小型(500L)推奨
玄米 約 800 約 800kg 標準(1000L)で適量
堆肥 400 〜 600 400kg 〜 600kg 標準(1000L)〜 大型
もみ殻 約 100 約 100kg 超大型(1500L〜)推奨

 

参考)https://www.maff.go.jp/kinki/press/chikusan/attach/pdf/251021-1.pdf

失敗しない計算式
必要な容量(L)=入れたい重量(kg)かさ密度(kg/L)\text{必要な容量(L)} = \frac{\text{入れたい重量(kg)}}{\text{かさ密度(kg/L)}}必要な容量(L)=かさ密度(kg/L)入れたい重量(kg)
例えば、乾燥した「もみ殻(密度0.1)」を1トン分保管しようとすると、
1000÷0.1=10,0001000 \div 0.1 = 10,0001000÷0.1=10,000 リットルもの容量が必要になります。つまり、標準の1トンバッグが10袋も必要になる計算です。これを知らずに「1トンバッグだから1トン入るだろう」と思って買うと、袋が足りなくなる事態に陥ります。
逆に、土(密度1.3)を入れる場合、標準バッグ満杯にすると1300kgになり、耐荷重(1000kg)をオーバーしてしまいます。土を入れる場合は、「容量500リットル(0.5m³)」程度の小型バッグを選ぶか、標準バッグの半分までで止める運用が必要です。

軽トラック 積載 寸法


多くの農家さんが利用する「軽トラック」でフレコンバッグを運ぶ際、サイズ以上に気をつけなければならない重大な「法的制限」があります。ここが一番の盲点です。

 

寸法的には2個載るが、法律的には1個も満載できない
軽トラックの荷台サイズは、一般的に「長さ1,940mm × 幅1,410mm」程度です。

 

参考)軽トラックの荷台サイズ・積載ルール完全ガイド|メーカー比較か…

標準フレコン(直径1,100mm)を載せようとすると、幅は収まりますが、2個並べると長さが2,200mmとなり、荷台からはみ出します。道路交通法では、積載物の長さは「車両の長さの1.2倍まで(荷台からはみ出しOKな範囲含む)」ですが、安全面を考えると2個積みはギリギリか、アオリ(荷台の囲い)を閉められない状態になります。

 

最大の壁は「最大積載量 350kg」
これが最も重要です。軽トラの最大積載量は350kgです。

 

標準的な1トンバッグに玄米や肥料を満載(約1000kg)にして軽トラに積むと、約3倍の過積載となり、重大な道路交通法違反(および車両の破損リスク)となります。

 

軽トラで運搬する場合の正解は以下の2つです。

 

  1. 小型フレコン(容量200〜300L)を使う:

    「軽トラ用」として販売されている、一辺60cm程度の小型バッグがあります。これなら中身を入れても重量オーバーしにくく、荷台に複数個積むことができます。

     

  2. 中身を3分の1以下にする:

    標準バッグを使用する場合でも、中身は350kg以下に抑える必要があります。しかし、大きな袋に少量しか入れないと重心が安定せず、走行中に荷崩れする危険性が高いため、あまり推奨されません。

     

「サイズが合うから載せる」のではなく、「重さが350kgに収まるサイズを選ぶ」のが、プロの農家の選び方です。

 

参考リンク:軽トラックの荷台サイズ・積載ルール完全ガイド(マツダ)
参考リンク解説:軽トラックの正確な荷台寸法や、はみ出し可能な長さの法的ルールが詳細に解説されています。

 

処分 排出口

使い終わったフレコンバッグの「その後」も、サイズ選びと同じくらい重要です。農業で使用したフレコンバッグは、法律上「産業廃棄物(廃プラスチック類)」として扱われます。家庭ごみとしてゴミステーションに出すことはできません。

 

参考)フレコンバッグの廃棄と再利用に関する法規制

処分のコストを下げる「材質」と「排出口」の選び方

  1. 排出口の有無:

    底部に「排出口(排出口)」がついているタイプは、中身を出す際に袋を切る必要がありません。これにより、袋を再利用(リユース)できる回数が増え、結果的に年間の資材コストを下げることができます。特に肥料散布機や乾燥機に投入する際、排出口付きは作業時間を大幅に短縮します。

    • 全開排出口: 土や堆肥など、詰まりやすいもの向け。
    • 半開・スウト(筒状): 玄米や麦など、流量を調節しながら出したいもの向け。
  2. ワンウェイ vs ランニング:
    • ワンウェイ型: 使い捨てを前提とした薄手の作り。安価ですが、耐久性は低いです。出荷用など「戻ってこない」用途に使います。
    • ランニング型: 複数回の使用に耐える厚手の生地(JIS規格対応など)。農場内での移動や保管など、繰り返し使うならこちらの方がトータルコストは安くなります。

処分する際は、産廃業者に依頼する必要がありますが、このときも「サイズ」が影響します。大きな袋はかさばるため、プレス機などで圧縮できない場合、回収費用が高くなることがあります。使用後は泥や中身をきれいに落とし、小さく折りたたんで紐で縛っておくことで、業者への引き渡しがスムーズになり、処分費用の交渉もしやすくなります。

 

また、最近では環境配慮の観点から、バイオマス素材を使用したフレコンバッグも登場しており、自治体によっては処分ルールが緩和されるケースもあるため、地元のJAや役場に確認してみるのも一つの手です。