チゼルプラウ中古の価格相場は、同じ「チゼルプラウ」という呼び方でも、作業幅(爪の本数)・機体重量・対応馬力・耕深(浅耕かディープチゼルか)で大きく変わります。
実例として、中古農機情報サイトでは「チゼルプラウ(ディープチゼル)」が税込1,705,000円で掲載されるケースがあります。
一方で、一般的な「プラウ」全体の落札相場を広く見ると、オークションの過去データでは平均落札価格が約85,773円といった集計もあり、カテゴリや状態・付属品の違いで極端にレンジが広いのが現実です。
ここで重要なのは、「安い=得」になりにくい点です。
チゼルプラウはロータリーのように回転部があるわけではないため、一見すると中古でも壊れにくそうに見えますが、実際のコストは“鉄の状態”より“土に触れる部品(爪・先端・ウイング)の摩耗”に集中します。
中古価格を見るときは、次の観点で「本体価格+更新費用」で判断すると精度が上がります。
・本体価格(現状/整備済み)
・消耗品(チゼル爪・先端・ウイング)の残量
・運搬費(大型・重量物は距離で差が出る)
・自分のトラクタで引けるか(馬力・重量バランス・3点リンク)
また、農機の買取相場情報として「プラウ:¥3,000〜¥350,000」などのレンジ提示もあり、ここからも“機種の幅が広い=相場を一言で言い切れない”ことが分かります。
参考)スタブルカルチ・サブソイラ・プラウの高価買取なら農キング
中古選びで最初に決めるべきなのは「何を改善したいか」です。
チゼルプラウは、土を反転させるボトムプラウと違い、主に裂開・膨軟化・粗起こしの性格が強く、排水や乾燥の段取り改善に効く場面が多いです。
とくに水田転換や春先の作業では、“乾かすための荒起し”としての価値が出やすいです。
公的機関の成果情報では、チゼルプラウによる荒起しはロータリ耕起に比べて土壌の乾燥が早く、降雨後の表面水が迅速に排水され、作業速度が約2倍で作業能率が高いとされています。
参考)Yahoo!オークション -「プラウ」(農業機械) (農業)…
選び方を具体化するために、現場で迷いがちなポイントを整理します。
・圃場条件:粘土質で乾きにくいか、砂質で乾きやすいか
・目的:乾燥促進/透水性改善/心土破砕/作土層拡大(深耕)
・作業体系:収穫後すぐ入れるか、春先の融雪後に入れるか(地域差が大きい)
・トラクタ条件:馬力だけでなく、車体重量と牽引力、前後バランス(フロントウエイト含む)
・管理体制:爪を自分で交換できるか、部品供給ルートがあるか
「浅耕でスピード重視」なのにディープチゼル級を選ぶと、牽引抵抗が増え、燃料や作業時間が増えて本末転倒になることがあります。
逆に「下層の硬盤が明確」なのに浅いモデルを選ぶと、毎年同じ問題が残り、結局サブソイラ等を追加することにもなります。
中古チゼルプラウの点検は、エンジン機械のような“始動確認”がない分、見るべき場所を絞ると判断が速くなります。
チェックの優先順位は「摩耗(消耗)」「歪み(疲労)」「適合(接続)」です。
・チゼル爪(先端・ウイング・チップ)の摩耗:左右で減り方が違う場合は、当たり方が偏っている可能性
・フレームの曲がり・溶接補修跡:石や根株で“逃げずに当たった”履歴が出やすい
・3点リンクのピン穴のガタ:ガタが大きいと作業中に暴れやすい
・スタンド・ゲージ輪・深さ調整部の固着:動かない調整機構は現場で致命傷になりやすい
・ボルト類:土が噛み込んで固着していると、消耗品交換が手間になる
中古プラウ一般の注意点としては、ブレードやフレームの摩耗・損傷、そしてトラクターとの互換性確認が挙げられています。
参考)https://www.machinio.jp/lemken/koun-nogu/ploughs
チゼルプラウでも同じで、特に互換性(ヒッチ規格、適応馬力、作業幅)は、納品後に「付かない・上がらない・引けない」事故につながりやすい部分です。
点検時に意外と見落とされるのが、「前オーナーが何を目的に使っていたか」です。
例えば“乾燥促進目的の荒起し”で使っていた個体は、耕深は浅めでも作業速度が高い運用になりやすく、振動や負荷がフレーム側に蓄積している場合があります。
逆に“深耕中心”の個体は、爪の摩耗が激しい代わりに、作業速度は抑えめでフレームの疲労が少ないケースもあります(もちろん例外あり)。
中古導入で効く整備は「消耗部品を計画的に更新して、作業精度を一定にする」ことです。
チゼル系の消耗部品には、先端だけ交換できる“分割式”の考え方もあり、「摩耗部分だけを交換できるので維持費用が軽減できる」と説明される製品もあります。
整備の実務としては、次の順で考えると迷いにくいです。
ここで「整備しても性能が戻らない」典型は、フレーム歪みと、リンク部のガタが進行しているケースです。
この場合、爪だけ新品にしても、作業幅全体が同じ深さに入らず、圃場の仕上がりムラが残ります。
中古の安さに惹かれても、歪みが大きい個体は“整備で取り返す”のが難しいので、価格交渉より先に「候補から外す」判断が結果的に得になることがあります。
チゼルプラウ中古を「土を柔らかくする機械」とだけ捉えると、導入効果を取りこぼします。
実際には、荒起しで土塊の間隙を作り、降雨後の表面水を早く逃がして“次工程を前倒しする”ための機械として価値が出ます。
ここが独自視点として重要なのは、「乾燥促進=作業の空き時間が増える」ではなく、「乾燥促進=工程全体のリスクが下がる」点です。
例えば、乾田直播や畑状態での播種が絡む体系では、砕土性を高めるために圃場をできるだけ乾燥させる必要があり、融雪後の乾燥促進や降雨後の迅速な排水が重要な要素とされています。
つまり中古チゼルプラウは、単体の出来栄えよりも「播種適期に間に合う確率を上げる保険」として投資判断する方が、現場の納得感が高くなりやすいです。
さらに、作業速度が約2倍になり得るという情報は、単に“時短”ではなく「短い晴れ間で荒起しを終える」意思決定を可能にします。
この“晴れ間対応力”は、収益に直結しにくいのに、失敗したときの損失が大きい領域なので、上位機や整備済み中古が支持される背景にもなっています。
排水・乾燥の改善を狙うなら、中古選定時に次の問いを自分の圃場に当てはめると、機種選びが急に具体化します。
・雨が降った後、何日でトラクタが入れるか(春先・収穫後)
・入れないことで遅れるのは「耕起」か「播種」か「防除」か
・遅れが収量に直撃する作型か、それとも品質に出る作型か
・チゼルで改善したいのは“表面の乾き”か“下層の抜け”か
参考リンク(荒起しで乾燥が早い理由、ロータリとの違い、作業速度が約2倍など)。
農研機構:チゼルプラウを用いた荒起しによる水田の乾燥促進技術