朝顔の摘心(摘芯)は、つるの先端(成長点)を切って脇芽を動かし、結果として花数やボリュームを増やすための作業です。家庭園芸の文脈で語られがちですが、現場で数を扱うほど「いつ・どこを切るか」を規格化した方が仕上がりのムラが減ります。
まず時期の目安は「本葉が5〜8枚ほど」の段階で第1回を入れる考え方が基本です。これは、頂点優勢が働いて主つるだけが伸びやすい段階で成長点を止め、下位の脇芽(わき芽)を使える形に変えるためです。実際に、家庭向けの栽培解説でも「本葉5〜8枚ほどになったら、下から5枚目の本葉の上でつるを切る」といった基準が提示されています。参考:フマキラーの育て方(摘心・わき芽整理の目安)
育て方(摘心の位置・わき芽の残し方の目安が具体的)
【アサガオの育て方】日々の手入れや増やし方・病害虫を解説 -…
ただし、同じ朝顔でも仕立て方(行灯・グリーンカーテン・垣根づくり等)で「残すつるの本数」と「伸ばしたい高さ」が違います。タイミングは本葉で規格化しつつ、目的(花を見せるのか、面で覆うのか)で切った後の誘引計画を先に決めておくと失敗しません。
現場での実務的な判断ポイントは次の通りです(入れ子にしない箇条書きでまとめます)。
摘心で最も差が出るのは「どこで切ったか」です。朝顔は節ごとに葉がつき、葉の付け根から脇芽が出ます。つまり、節を残してその“上”を切るほど、狙った位置から枝(子づる)が動きます。
基準の一例として、タキイ種苗の栽培基礎講座では、切込み仕立てにおいて「本葉が9枚になったころ、5枚のところで第1回の摘心」を行い、その後も子づる・孫づるで同様に複数回の摘心を行う手順が示されています。これは、朝顔を“枝数管理”する発想が明確で、農業従事者の作業標準に落とし込みやすい資料です。参考:タキイ種苗(摘心を複数回行う具体例)
摘心の回数・枚数基準(第1回〜第3回の摘心)が書かれている
https://www.takii.co.jp/flower/howto/lecture/p21.html
実作業では、ハサミを使う場合も、手で摘む場合もありますが、ポイントは共通です。
また、グリーンカーテン用途では「上へ伸ばす主軸」を確保したい場面が多く、切る位置を低くしすぎると、最初の立ち上がりが遅れます。逆に行灯仕立てでは、低めの位置で枝数を増やしてから巻き上げた方が、株元が寂しくなりにくいです。用途別に「最初の摘心位置」と「残すつる数」を決め、作業者間で共通言語化すると品質が安定します。
摘心は「切る作業」ですが、成果を決めるのはその後の「脇芽の整理」と「誘引」です。摘心後、節から脇芽が複数動きます。全部を伸ばすと一見ボリュームは出ますが、葉が重なって内部が蒸れ、病害が増えたり、花が外側に偏ったりします。
そこで、伸ばす脇芽(つる)を絞ります。例えば、家庭向けの解説では「伸びてきたわき芽は上から3つだけ残す」「下の方からでるわき芽は摘む」といった整理方法が紹介されています。これは“風通し”と“作業性”の両面で合理的で、管理面積が増えるほど効いてきます(特にネット仕立てやベランダ上部まで誘引する運用)。参考:フマキラー(わき芽の残し方)
摘心後のわき芽整理(残す数の目安)が書かれている
【アサガオの育て方】日々の手入れや増やし方・病害虫を解説 -…
誘引の基本は「つるが柔らかい段階で、毎日少しずつ」です。朝顔は巻きつきで伸びるため、放置すると隣の株へ絡んだり、狙わない場所へ向かったりします。絡み合ってから戻すと、つる折れや葉傷みが起きやすく、結果的に花数を落とします。
現場向けの誘引チェック項目(短時間で回せる形)を挙げます。
摘心でありがちな失敗は、大きく3つに分けられます。ここを押さえると、同じ品種でも仕上がりが段違いになります。
1つ目は「摘心が遅い(伸びすぎ)」です。遅れても摘心自体は可能なケースがありますが、狙った位置からの分枝が間に合わず、開花のピークがズレたり、下葉が混みやすくなったりします。遅れた場合は、いきなり強く戻さず、まずは先端近くで軽く止め、出てきた脇芽の勢いを見て次の整理を決める方が安全です。
2つ目は「摘心位置が低すぎる/節を潰す」です。節を傷めると、そこから芽が動かず、結局“空白”が生まれます。ハサミの刃先で節ギリギリを狙いすぎず、節の少し上を切って節を守る意識が重要です。
3つ目は「摘心後の管理不足」です。摘心は株にとってストレスなので、その後の水管理・日当たり・風通し・誘引の精度で回復速度が決まります。特に、摘心で枝数が増えると葉面が増え、蒸散も増えます。乾きやすくなるので、用土水分の変動が大きい鉢・プランターでは、摘心直後ほど水切れを起こさない見回りが効きます。
失敗からの回復を早める実務のコツです。
検索上位では「本葉何枚で切るか」に注目が集まりやすい一方、現場の作業効率を上げる観点では“つるの巻き方向”を最初から織り込むのが意外と効きます。タキイ種苗の資料では、朝顔のつるは「左きき(左巻き)」で、下段から中段、上段へ巻いていく旨が記載されています。つまり、支柱や輪へ誘引するとき、左巻きを前提に動線を統一すると、作業者の手順が揃って絡み直しが減ります。参考:タキイ種苗(つるの巻き方向)
つるが左ききであること、巻き上げの考え方が書かれている
https://www.takii.co.jp/flower/howto/lecture/p21.html
ここを作業標準に落とすと、次のメリットが出ます。
また、摘心は“切ったら終わり”ではなく、誘引とセットで設計する作業です。例えば、グリーンカーテンで面を均一にしたいなら、上へ伸ばす主つるを確保しつつ、途中の子づるを左右へ分散させる必要があります。その際も左巻きの性質を理解していると、つるを横に逃がすタイミング(巻きがきつくなる前に方向付けする)が読みやすくなります。
最後に、現場で使える「朝顔摘心やり方」点検表を置きます(そのまま朝礼や作業前確認に使えます)。