アラキドン酸は、私たちの体内で合成できない必須脂肪酸の一種で、食事からの摂取が不可欠です 。特に動物性の食品に多く含まれており、日々の食生活で意識的に取り入れることが重要です。植物性の食品にはほとんど含まれていません 。
アラキドン酸の含有量が多い主な食品を以下にまとめました。
| 食品名 | 100gあたりのアラキドン酸含有量(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 鶏卵(卵黄) | 約290mg | 手軽に摂取できる代表的な食品。特に卵黄に豊富。 |
| 豚レバー | 約200mg | ビタミンやミネラルも豊富だが、プリン体も多い。 |
| 鶏レバー | 約170mg | 豚レバーと同様に栄養価が高い。 |
| 牛肉(サーロイン) | 約70mg | 部位によって含有量は異なるが、赤身肉に比較的多い。 |
| 豚肉(ロース) | 約60mg | 牛肉と同様、一般的な肉類から摂取可能。 |
| さざえ | 約50mg | 魚介類の中では比較的多く含まれる 。 |
より詳細な食品のアラキドン酸含有量については、こちらの食品成分表が参考になります。
これらの食品を日常の食事にバランス良く取り入れることで、必要量を摂取することが可能です 。例えば、朝食に卵料理を一品加えたり、週に数回レバーを使った料理を取り入れたりするのが効果的です。
参考)必須脂肪酸「アラキドン酸」とは|効果はある?摂取方法も合わせ…
アラキドン酸は、体の様々な機能を調節する生理活性物質の材料となる重要な成分です 。特に、ライフステージの中でも脳や身体が大きく発達する乳幼児期と、心身機能の変化が大きい高齢者にとって、その役割は非常に重要視されています。
このように、アラキドン酸は特定の年代だけでなく、生涯にわたって私たちの健康を支えるために欠かせない栄養素なのです。
アラキドン酸は体に必要な成分ですが、その摂取量には注意が必要です。多すぎても少なすぎても、体に不調をきたす可能性があります。
現在のところ、日本においてアラキドン酸単体での明確な摂取基準量は定められていません 。しかし、アラキドン酸が含まれる「オメガ6系脂肪酸」全体としては、1日の総摂取エネルギーの8%〜10%程度が目安とされています。
現代の日本人の食生活は、肉類や加工食品の摂取が増えたことにより、アラキドン酸の摂取量が50年前の約4倍になっているとの指摘もあります 。このため、意識的に摂取するというよりは、過剰にならないようにバランスを考えることが重要です。
参考)アラキドン酸
アラキドン酸の最も注意すべき点は、過剰に摂取すると体内で炎症を引き起こす物質に変換されやすくなることです 。
特に、外食や加工食品を多く利用する方は、知らず知らずのうちにオメガ6系脂肪酸を過剰に摂取している傾向があるため、注意が必要です。
アラキドン酸について語る上で絶対に欠かせないのが、もう一方の必須脂肪酸である「オメガ3系脂肪酸」とのバランスです。アラキドン酸が属するオメガ6系脂肪酸と、魚油などに含まれるEPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸は、体内で互いに拮抗するような働きを持っています。
役割:主に炎症を促進する物質を生成
(体を守るための必要な反応でもある)
役割:主に炎症を抑制する物質を生成
(過剰な炎症を抑え、バランスを取る)
健康を維持するためのオメガ6とオメガ3の理想的な摂取バランスは「2:1」程度と言われています 。しかし、植物油や肉類中心の現代的な食生活では、そのバランスが「10:1」あるいはそれ以上にまで偏っていると指摘されています 。
このバランスの乱れが、体内で慢性的な炎症状態を引き起こし、様々な不調や生活習慣病の一因になっていると考えられています。アラキドン酸の摂取を考える際には、同時にオメガ3系脂肪酸を豊富に含む青魚(サバ、イワシ、サンマなど)や、亜麻仁油、えごま油などを積極的に食事に取り入れることが非常に重要です 。
参考)オメガ6は体に悪い?:オメガ3とのバランスが重要!油の上手な…
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」策定検討会の資料でも、脂肪酸のバランスの重要性について言及されています。
アラキドン酸を食事から摂るなら、少しでも効率よく、そして健康的に摂取したいものです。調理法や食べ合わせを工夫することで、アラキドン酸のメリットを活かしつつ、デメリットを抑えることが可能です。
アラキドン酸は比較的熱に強い脂肪酸であり、通常の加熱調理(焼く、煮る、炒めるなど)による損失はそれほど大きくありません。そのため、調理法を過度に気にする必要はありませんが、揚げ物のように大量の油を使う調理法は、オメガ6系脂肪酸全体の過剰摂取につながりやすいため注意が必要です。
栄養素は単体で摂るよりも、他の栄養素と組み合わせることで吸収や働きが向上することがあります。
前述の通り、アラキドン酸の摂取で最も重要なのはオメガ3系脂肪酸とのバランスです。
例えば、「豚の生姜焼きに、付け合わせとしてワカメの酢の物とキノコのソテーを添える」といった献立は、栄養バランスの観点からも非常に理にかなっています。このように、少しの工夫でアラキドン酸と上手に付き合っていくことができます。

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