農業現場において、除草剤散布のスケジュール管理は天気予報との戦いでもあります。特に高価な除草剤を使用する場合、「散布後に雨が降って薬液が流れてしまうこと」は、コストと労力の両面で痛手となります。結論から述べると、ザクサ液剤(成分:グルホシネートPナトリウム塩)は、散布後「1時間」経過していれば、その後にまとまった雨(時間雨量20mm程度)が降っても効果にほとんど影響が出ないという極めて高い耐雨性を持っています。
参考)https://www.elife.jp.net/shopdetail/000000018130/
多くの一般的な茎葉処理除草剤や、従来型のグリホサート系除草剤(ラウンドアップの旧型など)では、散布後6時間は雨が降らないことが推奨条件とされてきました。これは、葉の表面から有効成分が植物体内に浸透するのに長い時間を要するためです。しかし、ザクサ液剤は「グルホシネートP」という活性の高い成分を使用しており、植物体内への浸透スピードが圧倒的に速いのが特徴です。メーカーの試験データによれば、散布1時間後に人工降雨装置で雨を降らせた実験でも、雨が降らなかった場合と同等の枯殺効果が確認されています。
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この「1時間」という短さは、不安定な天候の続く梅雨時期や、夕立の心配がある夏の午後の作業において強力な武器となります。例えば、朝一番に散布を行い、1時間後の休憩時間までに天候が持てば、その後に急な雨雲が来ても作業は「成功」とみなせるのです。ただし、散布直後(15分〜30分以内)に激しい雨が降ってしまった場合は、薬液が葉に定着する前に物理的に洗い流されてしまう可能性があるため、再散布の検討が必要になります。その場合でも、すぐに撒き直すのではなく、3〜4日経過観察し、雑草の変色具合(褐変)を確認してから判断するのがプロの鉄則です。
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「雨が心配だから、展着剤を混ぜて定着力を高めたい」と考える農業従事者は少なくありません。しかし、ザクサ除草剤に関しては、基本的には展着剤の添加は不要です。これは、ザクサ液剤の製品設計そのものに理由があります。
ザクサ液剤には、製造段階ですでに特殊な界面活性剤(展着成分)が最適量配合されています。この配合済みの界面活性剤は、単に葉の上に水を広げるだけでなく、植物のワックス層(クチクラ層)を素早く突破し、有効成分を内部へ送り込む「浸透促進」の役割を担っています。そのため、市販の安価な展着剤を安易に混用すると、かえって薬剤のバランスを崩したり、泡立ちがひどくなって散布ムラができたりするリスクがあります。
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しかし、例外的に展着剤の追加が推奨されるケースもあります。それは以下のような状況です。
ネギ類のようなワックス質の強い雑草や、イネ科の雑草が繁茂している場合、薬液が玉になって転がり落ちてしまうことがあります。この場合、固着性(スプレッダー機能よりもステッカー機能)の高い展着剤を添加することで、耐雨性をさらに補助できる可能性があります。
ドローン散布や少量散布ノズルを使用する場合、高濃度で少量の薬液を付着させる必要があります。この際、展着剤を加えることで微細な霧を葉に確実に留まらせることができます。
もし展着剤を使用する場合は、「機能性展着剤」と呼ばれる、浸透力や耐雨性に特化したタイプ(例:アプローチBIやスカッシュなど)を選ぶと、ザクサ本来のポテンシャルを損なわずに雨への耐性を強化できます。ただし、あくまでメーカー推奨の使用法を守り、混用事例を確認してから使用してください。
ザクサ除草剤の立ち位置を明確にするために、競合製品である「バスタ液剤」および「ラウンドアップマックスロード(グリホサート系)」との比較を行います。特に「雨への強さ」と「乾燥時間(吸収完了までの時間)」の観点から違いを理解することは、圃場の条件に合わせた薬剤選定において不可欠です。
| 特徴 | ザクサ液剤 | バスタ液剤 | ラウンドアップマックスロード |
|---|---|---|---|
| 有効成分 | グルホシネートP | グルホシネート | グリホサートカリウム塩 |
| 耐雨性(目安) | 1時間 |
通常6時間(条件により短縮可) |
|
| 効果発現速度 | 速い(1〜3日) | 速い(2〜5日) | 遅い(3〜7日以降) |
| 根への作用 | 枯らさない(地上部のみ) | 枯らさない(地上部のみ) | 根まで枯らす |
| 抑草期間 |
長い(40〜50日程度) |
普通(30〜40日程度) | 長い(根まで枯れるため) |
| コスト | やや高価 | 比較的安価 | ピンキリ(ジェネリックは安い) |
参考リンク:MC Crop Life Solutions - ザクサ液剤(公式製品情報と耐雨性の試験データ詳細)
表からわかるように、ザクサとラウンドアップマックスロードは共に「1時間の耐雨性」を謳っており、雨への強さという点では互角の性能を持っています。しかし、決定的な違いは「根を枯らすかどうか」です。
傾斜地や畦畔(けいはん)での使用を考えた場合、ラウンドアップのように根まで完全に枯らしてしまうと、土壌を掴んでいる根がなくなり、大雨の際に法面(のりめん)が崩れるリスクが高まります。一方で、ザクサやバスタは接触型除草剤であり、薬剤がかかった地上部だけを枯らし、根は残ります。これにより、雨による土砂崩れを防ぎつつ、雑草の成長を止めることができるのです。
参考)https://item.rakuten.co.jp/kaiteki-elife/2003000090065/
また、ザクサは「グルホシネートP」という、従来のグルホシネート(バスタの成分)から除草活性のある成分だけを抽出・精製したものを採用しています。これにより、同等の効果をより少ない薬量で発揮でき、環境負荷を抑えつつ、乾燥・吸収のスピードも向上させています。バスタも優秀な除草剤ですが、耐雨性という一点においては、公式に「1時間」と明言しているザクサの方に安心感があると言えるでしょう(バスタも実用上はかなり速いですが、気象条件に左右されやすい傾向があります)。
多くの人は「除草剤を撒くなら、カラッと晴れて乾燥した日が一番良い」と思い込んでいます。確かに、散布直後に雨が降るのは避けるべきですが、実は植物生理学の視点から見ると、「適度な湿度がある方が、除草剤の効き目は良くなる」という意外な事実があります。ここに、ザクサ除草剤を使いこなすための「独自視点」のヒントがあります。
植物の葉には「気孔(きこう)」という微細な穴があり、植物はここから呼吸や蒸散を行っています。除草剤の成分の多くは、この気孔やクチクラ層の隙間を通って浸透します。空気が極端に乾燥している日、植物は水分の蒸発を防ぐために気孔を固く閉じてしまいます。また、葉の表面のワックス層も硬くなり、薬剤の浸透を阻害するバリアとして機能してしまいます。
逆に、雨が降る前の曇天や、雨上がりのタイミング(葉が乾いた直後)は、空気中の湿度が高く、植物は気孔を大きく開いています。また、クチクラ層も湿潤により膨潤し、薬剤が通りやすい状態になっています。ザクサの有効成分であるグルホシネートPは、接触した部分から速やかに浸透して細胞を破壊する性質を持っています。そのため、以下のような条件が揃った時こそ、実は「散布のゴールデンタイム」となり得るのです。
つまり、「雨が降りそうだから散布を諦める」のではなく、「あと1時間降らない確信があるなら、高湿度を利用してむしろ積極的に撒く」という逆転の発想が可能になります。特にザクサは、日陰や曇りの日でも効果が落ちにくいという特性を持っています。乾燥注意報が出ているようなカンカン照りの日中に撒くよりも、曇っていて蒸し暑い日の方が、ザクサの「即効性」と「浸透力」を最大限に引き出せる可能性が高いのです。
参考)家庭菜園での除草Q&A
ただし、葉の表面に露や雨粒が残っている状態での散布は避けてください。既にある水滴によって除草剤が薄められたり、薬剤の液滴が滑り落ちたりして効果が半減してしまうからです。「葉は乾いているが、空気は湿っている」状態を見極めることが、プロの散布テクニックです。
ザクサ除草剤の耐雨性が高いとはいえ、自然相手の作業に「絶対」はありません。雨のリスクを抱えながら散布を行う際に、失敗を避けるための具体的なテクニックを紹介します。これらの小さな工夫の積み重ねが、コスト削減と確実な除草効果につながります。
雨が近い時は、「霧の細かいノズル」よりも、ある程度「粒子径の大きいノズル(泡ノズルやキリナシノズル)」を使用することをお勧めします。微細すぎる霧は風に流されやすく、葉への付着量が不安定になりがちです。一方、少し大きめの粒子は重量があるため、狙った雑草の葉に確実に到達し、しっかりと付着します。ザクサは接触型ですので、葉の表面積の大部分を濡らすことが重要です。
雨を警戒して「濃く撒けば効くだろう」と考え、希釈倍率を濃くしすぎて散布水量を減らすのは逆効果になることがあります。特に雑草が茂っている場合、薬液が葉の重なりの中まで届かず、表面だけ枯れて内側が生き残る「枯れムラ」の原因になります。推奨される散布水量(通常10アールあたり100リットル程度)を守り、雑草全体を十分に濡らすことが、結果的に最も早い浸透を促し、雨への耐性を高めます。
「今日の天気は雨」という大雑把な予報ではなく、雨雲レーダーを用いて「何分後にここへ雨雲が到達するか」を確認してください。ザクサに必要なのは「1時間の猶予」です。レーダーを見て、真っ赤な雨雲が2時間後に迫っているなら、今のうちに散布を済ませるという判断が可能です。逆に、30分後に雨雲がかかるなら、散布は中止すべきです。
雨で散布が遅れ、雑草が伸びすぎてしまう(草丈30cm以上)と、ザクサの効果は低下しやすくなります。草丈が高くなると、薬液をかける面積が増えるだけでなく、植物の生命力も強くなるからです。雨続きでタイミングが取れない場合でも、草丈が50cmを超える前に、雨の合間を縫って散布することが重要です。もし伸びすぎてしまった場合は、一度草刈り機で上部を払い、再生してきた若葉(草丈15cm程度)に対して散布する方が、薬剤の吸収効率は良く、雨リスクのある短時間勝負でも確実に枯らすことができます。
参考リンク:グリーンジャパン - ザクサ液剤の製品詳細と上手な使い方(雑草ごとの希釈倍率や散布適期の詳細)
以上のポイントを押さえれば、ザクサ除草剤は雨の多い日本の気候において、最強のパートナーとなるはずです。雨を過度に恐れず、科学的な根拠に基づいた「1時間の勝算」を持って、効率的な除草作業を行ってください。