糖度計の原理と光の屈折!濃度とBrixと温度の関係

糖度計が甘さを測る仕組みを知っていますか?実は砂糖の量だけではありません。光の屈折と濃度の意外な関係や、Brixの本当の意味、温度補正の重要性まで、測定の裏側を徹底解説します。

糖度計の原理

糖度計の原理と仕組みの概要
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光の屈折を利用

液体中の固形分濃度が高いほど、光の折れ曲がり方が大きくなる性質を測定しています。

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Brix(ブリックス)

単なる砂糖の量ではなく、水に溶けている「可溶性固形分」の総量を表す指標です。

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温度との密接な関係

液体の密度は温度で変わるため、正確な測定には温度補正が物理的に不可欠です。

糖度計の原理 光の屈折と濃度の物理的な関係


糖度計が数値をはじき出す根幹には、中学校の理科で習う「光の屈折」という物理現象が深く関わっています。私たちがコップに入った水にストローを挿したとき、水面でストローが折れ曲がって見える現象をご存知でしょう 。あれこそが糖度計の基本原理そのものです。

光は、空気中から液体(水など)へ進むとき、その境界で進む方向を変えます。このとき、光が折れ曲がる角度を「屈折角」と呼び、その曲がりやすさを示す数値を「屈折率」といいます 。ここでの重要な法則は、「液体の中に溶け込んでいる物質(溶質)が多ければ多いほど、光はより強く折れ曲がる」という点です 。


参考)糖度計の測定原理

真水(純水)はサラサラしており、光の屈折率は最も低くなります。しかし、そこに砂糖や塩などが溶け込み、濃度が高くなっていくと、液体の密度が上昇し、光の進む速度が遅くなることで屈折率が大きくなります 。糖度計はこの微細な「屈折率の変化」を読み取っています。具体的には、測定部のプリズムと液体の界面において、ある角度以上で光が入ると全反射するという「臨界角」の変化を検出しています 。


参考)屈折計の特長と屈折率・Brixの関係 【通販モノタロウ】

  • 低濃度(薄い液体): 屈折率が小さい = 臨界角が小さい
  • 高濃度(濃い液体): 屈折率が大きい = 臨界角が大きい

アナログ式の糖度計を覗いたときに見える「青と白の境界線」は、まさにこの「全反射する光と、透過する光の境界(臨界角)」を可視化したものです 。境界線が目盛りのどこにあるかを読むことで、間接的に液体の濃度を知ることができるのです。

屈折計の特長と屈折率・Brixの関係(モノタロウ) - 屈折現象の図解と基本原理について

糖度計の原理 Brix(ブリックス)の定義と成分

糖度計で表示される数値には、通常「Brix(ブリックス)」という単位が使われますが、これを単なる「砂糖のパーセンテージ」だと誤解しているケースが少なくありません 。正確には、Brixは「可溶性固形分」の濃度を示す指標です 。


参考)Brix - Wikipedia

Brixの定義は、国際的な基準によって「20℃のショ糖溶液の質量百分率」として定められています 。つまり、純粋な水に純粋なショ糖だけを溶かした実験環境であれば、「Brix値=糖分量」と断言できます。しかし、実際の農業現場や食品製造で測定する対象は、純粋な砂糖水ではありません。果汁やスープ、調味液などが対象となります。

果物の果汁には、ショ糖(砂糖)以外にも以下のような成分が溶け込んでいます。


  • 果糖・ブドウ糖: 甘みを感じる糖類
  • クエン酸などの有機酸: 酸味成分
  • ミネラル・アミノ酸: 旨味や栄養成分
  • ペクチン: 水溶性の食物繊維

糖度計(屈折計)は、これら水に溶けている「すべての固形物」の合算値を屈折率として計測し、それを「もしこれが全てショ糖だったとしたら何%の濃度に相当するか」という換算を行ってBrix値として表示しています 。したがって、甘くないレモン果汁を測っても、酸(クエン酸)の影響でBrix値はある程度の数値を示しますし、塩水やラーメンのスープを測れば、砂糖が入っていなくても高いBrix値が表示されます 。


参考)糖度と糖分について

「糖度計」という名称ですが、実態は「水に溶けているものの総濃度計」と呼ぶほうが物理的な実態に近いのです。この性質を理解しておかないと、「Brixが高いのに甘くない(酸味が強い、あるいは塩分が含まれている)」という現象に直面した際、混乱することになります。


Brix - Wikipedia - Brixの厳密な定義と歴史的背景について

糖度計の原理 アナログとデジタルの測定の仕組み

糖度計には大きく分けて、接眼レンズを覗き込む「アナログ式(手持屈折計)」と、数値を液晶に表示する「デジタル式」の2種類が存在しますが、内部で行われている物理現象の原理は同じです 。しかし、その検出プロセスとユーザー体験には大きな違いがあります。

アナログ式(手持屈折計)の仕組み
アナログ式は、プリズムの上に垂らした液体を通して光を取り込み、その屈折光を直接人間の目で観察する構造です。プリズムと液体の界面で屈折した光は、特定の角度で明暗の境界を作ります。


  • メリット: 電池が不要で構造がシンプルであるため、故障が少なく安価です。
  • デメリット: 目盛りを読む際に個人差が出やすく、薄暗い場所では読み取りにくい場合があります。また、境界線がぼやけるような濁った液体(牛乳や乳化液など)の測定には熟練が必要です。

デジタル式の仕組み
デジタル式は、光源(LEDなど)を内蔵しており、プリズムに光を照射します。その反射光を「ラインセンサー」などの受光素子で感知し、明暗の境界位置を電気的に検出します。その位置情報を内蔵されたマイコンがBrix値に演算変換して表示します 。


参考)糖度計の使い方や仕組みとは? タイプ別おすすめポイントも|マ…

  • メリット: 誰が測っても同じ数値が表示されるため、個人差(読み取り誤差)がありません。また、後述する温度補正を自動で行う機能が標準装備されているものが多く、現場での利便性が高いです。
  • デメリット: 電子機器であるため電池が必要で、衝撃や水没による故障リスクがアナログ式より高くなります。価格も比較的高価です。

測定原理はいずれも「スネルの法則」に基づく光の屈折ですが、その結果を「人間の目が判断するか」「センサーが判断するか」という点が最大の相違点です。最近では、果実を切らずに光を当てるだけで糖度を測る「非破壊糖度計」も普及していますが、これは屈折ではなく「近赤外線分光法」という全く異なる原理(特定の波長の光が糖分に吸収される性質)を利用しています 。


参考)【原理や使い方解説あり】糖度計おすすめ21選|非破壊・デジタ…

糖度計の使い方や仕組みとは?(マイナビ農業) - アナログとデジタルの特徴比較

糖度計の原理 温度補正が不可欠な理由と精度

糖度計を使用する上で、最も無視できない物理的要因が「温度」です。実は、液体の屈折率は温度によって大きく変動するという性質を持っています 。


参考)糖度計の正しい使い方

物質は一般的に、温度が上がると膨張して体積が増え、密度が小さくなります。密度が小さくなると光の進む抵抗が減るため、屈折率は低下します。逆に、温度が下がると密度が高まり、屈折率は上昇します 。


参考)自動温度補正

例えば、同じ糖度10%のショ糖水溶液であっても、10℃のときと30℃のときでは、糖度計が示す屈折率の値は異なってしまうのです。具体的には、20℃を基準とした場合、温度が1℃変わるだけでBrix値に約0.07%程度のズレが生じると言われています 。10℃違えば約0.7%もの誤差になり、これは果物の等級判定や食品製造の品質管理においては致命的な差となり得ます。

この問題を解決するために、現代の多くのデジタル糖度計や一部のアナログ糖度計には「自動温度補正機能(ATC: Automatic Temperature Compensation)」が搭載されています 。


参考)糖度計の人気おすすめ9選!用途・測定範囲・精度などくわしく解…

  • ATCの仕組み: 温度センサーがプリズム付近の温度をリアルタイムで検知し、測定された屈折率の値を「もし20℃だったらこの値になるはずだ」という補正係数を用いてプログラム上で自動計算し、補正後の値を表示します。
  • 注意点: ATC機能が付いていても、プリズム自体の温度と、垂らした液体の温度が極端に違う場合は(例:熱いジャムを冷たい糖度計に垂らす)、熱平衡になるまで数秒待つか、あるいは馴染ませる必要があります 。プリズムとサンプルの温度が一致して初めて、正確な補正が機能します。​

安価なアナログ糖度計の中にはこの機能がないものもあり、その場合は換算表を見ながら自分で数値を足し引きする必要があります。精度の高い測定データが必要な「原理」を理解するには、この温度特性への理解が不可欠です。


自動温度補正について(株式会社アタゴ) - 温度と濃度の反比例関係の詳細

糖度計の原理 意外な落とし穴?糖分以外の影響

「糖度計の数値が高いから甘くて美味しいはずだ」と思って食べたトマトやミカンが、想像よりも甘くなかった、あるいは味がぼやけていたという経験はないでしょうか。これは糖度計の原理的な「死角」とも言える、糖分以外の成分による影響が原因です。


先述の通り、糖度計は「屈折率」を測っており、それは「水に溶けているすべてのもの」の総量に依存します。ここで問題になるのが、「物質によって、同じ濃度でも屈折率の上昇幅が異なる」という事実です 。


参考)Brixとは

例えば、同じ1gを水100gに溶かした場合でも、「ショ糖」と「クエン酸(酸味)」と「グルタミン酸ナトリウム(旨味・塩分)」では、屈折率の上昇の仕方がわずかに異なります。しかし、一般的な糖度計はあくまで「ショ糖」の屈折率特性に合わせて目盛りが刻まれています。


野菜や果物において、特に影響を与えやすいのが以下の成分です。


  1. 酸味成分(クエン酸・リンゴ酸など):

    未熟な果実では酸の量が多くなります。酸も水に溶ける固形分なので、糖度計の数値を押し上げます。結果、「酸っぱいけれどBrix値(糖度)は高い」という現象が起きます。「糖酸比(甘味比)」という指標が重要視されるのはこのためで、単に糖度が高いだけでなく、酸度が低くなければ人間は「甘い」と感じません。


  2. 塩分やミネラル:

    トマトなどの栽培では、水分ストレスを与えて糖度を高める農法がありますが、これによって果実内のミネラル分も濃縮されることがあります。これも屈折率を高める要因となります。


  3. 気泡や濁り:

    原理的な「成分」ではありませんが、測定時の物理的なノイズです。搾った果汁の中に微細な気泡が含まれていると、光が乱反射して屈折率が正しく検出されず、数値が不安定になったり、極端に低い値が出たりすることがあります 。

「糖度計の原理」を深く理解するということは、表示された数字を絶対視するのではなく、「その数字の中には、糖分以外の何が含まれている可能性があるか」を推測するリテラシーを持つことでもあります。プロの農家やバイヤーは、糖度計の数値と実際に食べた官能評価を組み合わせることで、その作物の本当の品質を見極めています。


糖度と糖分について(株式会社メカトロニクス) - 糖度と実際の甘さの乖離についての解説




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