てんさいハーベスターを選ぶ・見直すとき、最初に揃えるべき指標は「収穫損失」「タッピング精度」「損傷(打撲・尻切れ等)」です。
北海道の試験では、自走式4畦用ビートハーベスタ「テラドス」は収穫損失が1%以下と低く、作業精度としては良好と整理されています。
一方で同資料は、作業速度が速くなるとタッピングで「斜め切り」や「切り不足」が増える傾向を示しており、“速く走るほど得”ではない点が明確です。
現場の実務では、タッピング精度のブレは次の問題に直結しやすいです。
試験結果でも損傷は「打撲、尻切れが多い」と記載され、内部黒変の深さなど“見えない損傷”も調査対象になっています。
「収穫損失が低い=収穫品質が高い」と短絡せず、タッピングと損傷を同じ重みでチェックすると、後から効いてくるトラブル(腐敗・目減り・クレーム)を潰しやすくなります。
作業能率は、収穫機単体のカタログ値よりも「旋回・移動・荷降ろし」を含む実測の内訳で見たほうが、段取り改善に直結します。
同じ資料の能率試験では、自走式4畦用は作業速度1.78m/sで作業能率1.06ha/h、燃料消費量61.8L/h(58.3L/ha)と整理されています。
対して牽引式2畦用は作業速度1.66m/sで作業能率0.41ha/h、燃料消費量9.1L/h(23.2L/ha)となっており、「能率は上がるが燃料は重い」「燃料は軽いが能率は伸びにくい」という構図が数字で見えます。
ここから先は、農家の経営条件で正解が変わります。
「意外に効く」論点として、荷降ろしや堆積場までの移動距離が、能率の体感差を増幅させます。
参考)https://www.ffpri.go.jp/koukaijouhou/hyouka/documents/jikohyouka-sheet-h24.pdf
ハーベスターの能力だけでなく、ダンプ・トラックの配車、堆積場の動線、圃場出入口の整備が揃うと、同じ機械でも“回る現場”に変わります。
てんさいハーベスターは高額機械になりやすく、個別所有で「面積が小さいほど1ha当たり利用費用が跳ねる」構造が出やすいです。
試算では、けん引式1畦用(RS-510)を個別所有した場合、想定条件(経営規模30~40ha、てんさい作付7.5~10ha)でha当たり利用費用が約171,248~129,244円とされています。
一方、けん引式2畦用(B-2)を共同利用した場合、利用面積20ha以上でha当たり利用費用が117,278円以下となり、1畦用の個別利用より有利になったと示されています。
さらに自走式4畦用「テラドス」は、収穫適期内を「10月11日から30日間」と置いたとき、収穫可能総面積が189.60ha、ha当たり利用費用が72,971円という試算が出ています。
ただし同資料は「経済的メリットを発揮させるためには、概ね100ha以上の利用面積を確保する必要がある」とも明記しており、導入前に“面積の閾値”を超えられるかが最重要です。
共同利用・受委託で失敗しやすいのは、機械は揃えたが運用が揃っていないケースです。
機械更新の議論では「購入か委託か」だけでなく、受け皿(人・段取り・圃場の前提条件)まで含めた“利用計画”を先に作るのが現実的です。
検索上位の一般解説は「能率」「価格」「種類」に寄りがちですが、現場で後から効いてくるのが土壌踏圧と排水です。
同資料でも、自走式4畦用は土壌踏圧を軽減するため前後輪の軌跡が重ならない構造を取りつつ、走行跡の土壌硬度が深さ5~15cmで高まったことが示されています。
成果の活用面の留意点として「自走式4畦用ビートハーベスタは土壌踏圧が大きいので、心土破砕等の排水対策を行う」と明記されており、収穫機の話なのに“排水対策が必須案件”として扱われています。
ここは、てんさいの単年収穫だけでなく、輪作全体の生産性に跳ね返ります。
“速く大量に掘れるハーベスター”ほど、圃場側(排水・枕地・搬出路)を工事・整備で受け止めないと、翌年以降に請求書が回ってくる――この感覚を持っておくと、設備投資の判断がブレにくくなります。
権威性のある参考(共同利用の費用・能率・踏圧の根拠、テラドス/B-2の試験結果)
https://www.hro.or.jp/upload/16904/2006510.pdf