農業現場での高枝作業は、脚立の移動回数と「切った枝の落下処理」に時間を取られやすいです。そこで、高枝チェーンソーは“届く範囲”を広げて段取りを単純化でき、剪定のピーク時期に効きます。特にマキタの18V系は、すでにインパクトや刈払機で18Vバッテリーを回している現場ほど導入障壁が下がり、「本体のみ運用」でコストを抑えやすいのが実務上の強みです。マキタ純正の18V高枝チェンソー(例:MUA200D)は、シャフト差し替えでロング/ショートの2段階に長さ調整でき、最大作業高さの目安が約3.5mという設計思想です(脚立なし作業を狙うレンジの代表例)。
一方で、検索上位でよく見かける「マキタ18Vバッテリー互換」の高枝チェーンソーは、伸縮ポール(例:1.3〜2.0m程度の無段階)を売りにする製品も多く、価格が抑えられているのが特徴です。ただし“互換機”は当たり外れが出やすく、チェーン形式・部品供給・安全機構の信頼性まで含めて選ぶ必要があります(農繁期に止まると損失が大きい)。
参考)【2024年】マキタ互換の高枝チェーンソー人気モデル|選び方…
✅現場で先に決めたい「作業の上限」(メモとして現場で共有しやすい形)
選び方の結論は、「バッテリー資産」「切断対象」「止まった時の損失」の3軸で決めるのが安全です。レビュー系のランキングでは、高枝チェーンソー全体のおすすめ比較がまとまっており、マキタは40Vmaxの高枝チェーンソーも候補として並ぶことが多いです(18Vに限定しない比較を見ると、パワー重視の流れも把握できます)。
農業用途で18Vを選ぶ価値は、パワー“だけ”ではなく、運用の柔軟さにあります。例えば、収穫期前の軽剪定・防風林の小枝払い・圃場周辺の支障枝の除去など、「短時間×複数箇所」の仕事は、バッテリー工具の機動力がそのまま効率になります。逆に、太枝を連続で落とす用途が中心なら、上位電圧(40Vmax等)やエンジン、あるいはそもそも高枝で無理をせず高所作業車・高枝バサミとの組み合わせを検討した方が安全な場面もあります。mhlw+1
純正と互換で迷う場合の判断材料は、スペック表より「止まった時に誰が困るか」です。共同作業で人が待つ現場、委託作業、作業窓が短い果樹園(開花前・収穫前の限られた日程)ほど、部品供給やサポートが効く純正の意味が大きくなります。互換は初期費用を抑えやすい反面、チェーン形式の互換性や交換部品の入手性が弱い製品もあり、予備チェーンやガイドバー周りの「詰み」を避ける備えが必須です。
高枝チェーンソーは「パワー」よりも、“刃が仕事をしている時間”を増やす設計が重要です。具体的には、枝を切り始める前の姿勢づくり、刃が噛んだ時の挙動、切断後の枝の落下の見極めで、体感時間が大きく変わります。その前提で、カタログや仕様表を見るときは次の3点を押さえると選定が早いです。
1つ目はチェーンスピードです。例えばMUA200D系ではチェーンスピードが6.7m/sと示されており、枝払いのテンポ感に直結します(ただし速ければ万能ではなく、目立て・チェーンの張り・オイル供給が追いつかないと逆に詰まります)。
参考)https://www.bildy.jp/power/electric_chainsaw-model-mua200dz/1236909
2つ目はガイドバー長さです。MUA200Dは200mmクラスで、取り回しと切断径のバランスを狙っています。高枝作業では、バーが長すぎるほど先端が振られやすく、狙った切り口が作りにくくなるため、「必要な長さの最小」を選ぶ方が疲労と事故リスクを抑えやすいです。mhlw+1
3つ目はチェーン形式です。MUA200Dではチェーン形式が80TXL系として示され、適合チェーンが明確です。互換機ではチェーン刃の形式が複数対応をうたう例もありますが、現場では“買えるチェーン”で回せるかが全てなので、型番が曖昧な製品は避けるか、購入前に替刃の入手ルートを確定させてください。bildy+1
✅意外に効く小技(地味だが作業速度が上がる)
高枝チェーンソーは、通常のチェーンソーより「上向き作業」「足場不安定」「枝の落下」が絡み、事故が複合化しやすい道具です。厚生労働省のガイドラインでは、チェーンソー起因災害が林業の休業災害で大きな割合を占め、被災部位として下肢が多いことが示されています。つまり、枝を切る技術以前に、脚・スネ周りの防護と立ち位置の管理が効きます。
保護具は「面倒だから省略」が一番危険です。ガイドラインでは、防護ズボン(JIS T8125-2適合等)、防振・防寒に役立つ厚手手袋、安全靴(JIS T8125-3適合等)、保護帽、保護網/保護眼鏡、耳栓等の重要性が具体的に書かれています。特に耳栓は“気合い”では解決せず、騒音疲労が判断ミスを呼ぶので、着用を作業手順に組み込む価値があります。
また、見落とされがちなのが「立入禁止」と「退避ルート」です。伐木等作業の文脈ではありますが、周囲の作業者を近づけない・安全距離を確保する考え方は、高枝の枝払いでもそのまま当てはまります(落下枝は想像以上に跳ねるため)。高枝チェーンソーでは“切った瞬間に終わり”ではなく、落下が収束するまでが作業なので、その間に人が入らない仕組みが必要です。
安全ガイドライン(保護具の選定、立入管理、作業方法の基本)がまとまっている(安全対策セクションの参考)
厚生労働省「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」
検索上位の記事は「おすすめ機種」「スペック比較」「ランキング」が中心になりがちですが、農業現場で本当に効くのは、剪定後の枝処理まで含めた“トータル工数”の削減です。高枝チェーンソーを入れても、切った枝が圃場の通路を塞げば、結局は運搬・破砕・焼却(地域ルールによる)の手間が増え、作業が詰まります。そこで、導入時に「どこで切り、どこに落とし、どこで集積するか」を先に決めると、同じ機械でも効果が段違いになります。
実務上のコツは「落下先を“片側に寄せる設計”」です。例えば、防風林の枝払いなら、落下側を道路側ではなく圃場内の集積側に固定し、落ちた枝をそのまま引きずって集められるようにします。果樹(リンゴ等)の剪定なら、条間に落とすのか、樹列下に落とすのかで、その後の粉砕機・運搬車の動線が変わります。これを先に設計すると、チェーンソーの稼働時間が短くても「現場全体の時間」が縮みます。
さらに、意外に効くのが“刃物の使い分け”です。厚生労働省のガイドラインでは小枝払い等は手工具を用い、チェーンソーの使用はできる限り避ける考え方が示されていますが、この発想を剪定に転用すると、細枝は高枝バサミや手ノコに任せ、チェーンソーは「時間短縮効果が大きい枝径」に集中できます。結果として、刃の消耗・目立て頻度・ヒヤリハットが減り、トータルでは速く終わることが多いです。rinsaibou+1