洗浄剤種類と特徴を農業で活用

農業で使う洗浄剤には、水系・非水系・界面活性剤など様々な種類があります。農機具や農作物の汚れに合わせた選び方を知れば、作業効率が大幅に改善されるのをご存知ですか?

洗浄剤の種類と特徴

この記事でわかること
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水系・非水系の分類

pH値による酸性・中性・アルカリ性の使い分けと、溶剤系洗浄剤の特性を解説

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界面活性剤の種類

アニオン・カチオン・非イオン性の違いと農業現場での活用方法

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農業特有の汚れ対策

草渋・油汚れ・泥汚れに効果的な洗浄剤の選定とコスト効率の良い使い方

洗浄剤の水系・非水系による分類

 

洗浄剤は大きく分けて水系と非水系の2種類に分類されます。水系洗浄剤はpH値によってさらにアルカリ性、中性、酸性の3タイプに分けられ、農業現場で最もよく使われるのはアルカリ性と中性です。

 

参考)洗浄剤の種類と特徴

アルカリ性洗浄剤は油脂やタンパク質などの酸性汚れに強く、トラクターやコンバインに付着した油やグリスの除去に適しています。pH8を超えるとアルカリ性となり、数値が高いほど洗浄力が強くなりますが、その分素材への影響も大きくなります。中性洗浄剤はpH6〜8の範囲で、あらゆる汚れに穏やかに効き、手肌にも優しいため日常的な洗浄に向いています。

 

参考)【洗剤の解説】酸性・中性・アルカリ性はどう違う?性質別の得意…

一方、非水系洗浄剤には炭化水素系、アルコール系、塩素系などがあり、油汚れに対して高い洗浄効果を発揮します。ただし引火性がある場合もあるため、使用環境に注意が必要です。

 

参考)産業洗浄剤ガイド

洗浄剤に含まれる界面活性剤の種類

界面活性剤は洗浄剤の主役となる成分で、親水基の性質によってアニオン性、カチオン性、非イオン性(ノニオン)、両性の4種類に分類されます。

 

参考)徹底解説!洗浄剤設計の基本と応用

アニオン性界面活性剤は水に溶けた際に親水基がマイナスイオンになり、高い洗浄力と泡立ちの良さが特徴です。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)やアルキル硫酸エステル塩(AS)などがあり、皮脂や油汚れに強い洗浄力を発揮します。農業用洗浄剤では非イオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤が組み合わせて使用されることが多く、これにより草渋や油汚れの両方に対応できます。

 

参考)https://www.monotaro.com/s/c-120943/

カチオン性界面活性剤は親水基がプラスイオンになり、殺菌・消毒作用が強いのが特徴です。非イオン性界面活性剤はイオンを持たないため、他の界面活性剤と組み合わせて使用でき、硬水でも洗浄効果が低下しにくいという利点があります。両性界面活性剤は皮膚に対してマイルドで、pHによって性質が変化する特性を持っています。

 

参考)https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html

洗浄剤の汚れ別の選び方と対応表

洗浄剤を効果的に使用するには、汚れの種類に合わせた選定が重要です。汚れと洗浄剤は逆の性質を持つものを組み合わせることで、最も効率的に除去できます。

 

参考)汚れの種類と対応洗浄剤

以下の対応表を参考に選定してください。

汚れの種類 洗浄剤の液性 具体例
油脂・グリス・焦げ付き アルカリ性 農機具のエンジン周り、チェーン部分
草渋・アク汚れ 強アルカリ性 田植機・コンバインに付着した稲渋、茶渋
水垢・石鹸カス・尿石 酸性 ボルドー液の付着汚れ、スケール
手垢・軽い泥汚れ 中性 日常的な農機具メンテナンス
タンパク質汚れ アルカリ性 農作業後の衣類、手袋

農機具特有の草渋汚れは、稲や茶葉、井草などに含まれる植物のアクが原因で、強アルカリ性の洗浄剤が効果的です。専用の農機具洗浄剤は原液から5倍希釈程度の高濃度で使用することで、頑固な渋汚れを短時間で除去できます。泥汚れなど軽度の汚れには30倍程度に希釈して使用することでコスト効率を高められます。

 

参考)農機具用洗浄剤

汚れの種類と対応洗浄剤の詳細な分類表 - 有希化学

洗浄剤の希釈とコスト効率の考え方

洗浄剤を希釈して使用することで、コストを大幅に削減できます。ただし濃度が濃いほど洗浄効果が上がるわけではなく、ある一定の濃度を超えると効果は一定になります。

 

参考)洗剤や消毒液の希釈方法とは?効果を最大限に引き出すための使い…

希釈の計算方法は以下の通りです。
原液洗剤の量 = 作りたい洗剤の量 ÷ 希釈率
水の量 = 作りたい洗剤の量 - 原液洗剤の量
例えば、50倍希釈の洗浄剤を500ml作る場合。

  • 原液洗剤:500ml ÷ 50 = 10ml
  • 水の量:500ml - 10ml = 490ml

農機具用洗浄剤の標準的な希釈倍率は以下のようになります:
参考)サンエスエンジニアリング 農機具万能洗浄剤 農匠 4L

  • 草渋・ひどい油汚れ・農薬汚れ:原液〜5倍
  • 一般的な油汚れ:5〜10倍
  • 泥汚れ・設備機械の洗浄:10〜30倍

濃度管理を適切に行うことで、洗浄効果を維持しながらコストを1/10にすることも可能です。希釈液を作る際は必ず計量を正確に行い、安全対策として保護メガネや手袋を着用してください。

 

参考)知らないと損をする!?強アルカリ電解水の希釈でコスト1/10…

洗剤や消毒液の希釈方法の詳細な手順 - イージーハイジーン

洗浄剤使用時の安全性と環境配慮

洗浄剤の安全な使用には、液性の理解が不可欠です。pH7を中心に数値が低いほど酸性、高いほどアルカリ性が強くなり、どちらも極端になると皮膚の細胞を溶かすなど危険性が増します。

 

参考)洗剤を知る~中性と弱アルカリ性~

強アルカリ性洗浄剤を使用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 👁️ 目や手を保護具で保護する
  • 🧤 タンパク質を溶かす性質があるため、素手での取り扱いは厳禁
  • 🚫 酸性洗浄剤との混合は絶対に避ける(有害ガス発生の危険)
  • 💧 使用後は必ず十分な水洗いを行う

農作物の洗浄に関しては、専用の野菜洗浄剤を使用する場合、食品衛生法の規格基準を満たしたものを選ぶことが重要です。野菜用洗剤の主な目的は病原菌の殺菌消毒であり、残留農薬の除去には流水での丁寧な洗浄が最も効果的です。

 

参考)野菜は洗剤で洗うべき?メリット・デメリットを徹底検証!

環境面では、使用後の排水が環境に与える影響を考慮し、界面活性剤の生分解性が高い製品を選択することが望ましいです。特に農業用水路への排水では、生態系への影響を最小限に抑える配慮が求められます。

 

参考)【2025年版】日本製/海外製の環境・肌に優しい洗濯洗剤ラン…

洗浄剤を選ぶ際の考え方と安全性 - 花王プロフェッショナル

 

 


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