里芋の芽かきは、不要な芽(主に脇芽)を取り除き、養分の分散を抑えて芋の肥大や形を整えやすくする管理です。特に営農で「太って形のよい里芋」を狙う場合、種芋由来の芽だけでなく子イモ・孫イモ由来の芽も整理するやり方が一般的とされています。
一方で、芽かきは必須ではなく、芽かきをしないと「小さなイモがたくさんできる」傾向があるため、収穫物のサイズ戦略(大玉狙いか、小玉も含めて量狙いか)で判断が変わります。
現場の意思決定としては、次の2点を先に決めると迷いが減ります。
- 出荷規格に合わせて「大きさ・形」を優先するのか(芽かき強め)
- 加工・自家用・直売で「数・歩留まり」を優先するのか(芽かき弱め、または最小限)
芽かきを語るときに混ざりやすいのが、「種芋から出た複数芽」と「土寄せ時期以降に根元から出る芽」が同じ扱いにされてしまうことです。後者は子イモ由来の芽のことがあり、むやみに取ると設計した収量構成が崩れる場合があります。
実際に、植え付け直後〜6月上旬くらいまでに芽が2つ以上出たら勢いの良い方を残して抜き取り、6月中旬の土寄せ時期以降に根元から出る小さな芽は子イモの芽なので「そのまま置く」整理が紹介されています。ここを基準線にすると、芽を取る・取らないの判断が急に明確になります。
参考:植え付け後〜6月上旬の芽かき/6月中旬以降の芽の扱い(子イモの芽の考え方)
https://agri.mynavi.jp/2020_05_19_118847/
里芋の芽かきは「いつやるか」で難易度が変わります。基本の目安は、植え付け後に本葉が3枚〜4枚程度出てきた頃(5月下旬頃目安)に、種芋から複数芽が出た場合に行う、という考え方です。
このタイミングが良い理由は、芽の勢いが見分けやすく、かつ株がまだ若くて修正が効くからです。遅らせすぎると、不要芽にも葉が展開して「一時的には」株が立派に見えるのですが、結果的に養分が分散しやすく、芋の揃いが落ちる要因になり得ます。
中期以降(6月以降)は、芽かきを単独作業にせず、追肥・土寄せのタイミングに合わせると効率が上がります。子イモ・孫イモ由来の芽は、追肥や土寄せのついでに根元から切る、または小さい芽なら倒して土寄せで埋める、という運用が整理しやすいです。
また、芽かきだけで収量が決まるわけではありません。里芋は乾燥に弱く、水管理が品質を左右しやすい作物なので、芽かきの時期=管理の節目として「水が切れない体制」を一緒に点検するのが実務的です。
参考:本葉3〜4枚の芽かき目安/追肥・土寄せに合わせる考え方
https://www.noukaweb.com/taro-bud-picking/
芽かきの方法は大きく2系統で、(1)手で引き抜く、(2)刃物(ハサミ・鎌)で切り取る、です。種芋由来の脇芽は、手で抜くか切るかを状況で選び、子イモ・孫イモ由来の芽は根元から切る、という整理が紹介されています。
ここでは「図解の代わりに」現場で再現しやすい観察ポイントと手順を文章で固定します。
【図解イメージ:芽の種類を分ける】
🅰 種芋から出た芽(初期に複数出ることがある)→基本は太い芽を残して整理
🅱 土寄せ時期以降に根元から出る小さな芽(子イモの芽であることがある)→基本は残す/混みすぎだけ調整
【手で抜くときのコツ】
- 片手で地面を押さえ、種芋ごと持ち上がらないようにする(引き抜き事故の予防)
- 残す芽を傷つけない向きに力をかける(無理な方向にねじらない)
- 抜いた穴は軽く土で戻し、乾燥と倒伏を防ぐ
【刃物で切るときのコツ】
- 根元から切り、切り株を長く残しすぎない(再び芽が出る・邪魔になるのを防ぐ)
- 株元をえぐらない(腐敗リスクを上げない)
- 切った芽は畝間に放置せず、病害が気になる圃場では持ち出す(圃場衛生の基本)
子イモ・孫イモ由来で「まだ小さい芽」の場合、倒して土寄せで埋めるという手もあります。これは作業が早く、株元の整理と土寄せを同時に済ませられるのが利点です。
参考:手で抜く/鎌・ハサミで切る/小さい芽は倒して土寄せで埋める
https://www.noukaweb.com/taro-bud-picking/
「芽を何本残すか」は、栽培目的(親芋重視か、子芋・孫芋重視か、出荷規格か)で最適解が変わります。ただし現場で迷うのは、理屈よりも「今、目の前の芽が“種芋の複数芽”なのか、“子イモの芽”なのか」が曖昧になる瞬間です。ここを切り分ければ、残す本数の議論も整理できます。
実務でよく使える判断基準は次の通りです。
- 植え付けてすぐ〜6月上旬くらいまでに複数芽:勢いの良い芽を残し、他は根元から抜き取る(種芋由来の芽の整理)
- 6月中旬の土寄せ時期以降に根元から出る小さな芽:子イモの芽なので基本は残す(収量構成を支える芽)
この考え方は、「最初の芽かき」と「それ以降の芽の扱い」を分けて説明している点が重要で、芽かきで失敗しやすい人ほど、後半の芽まで“全部同じ脇芽”として取ってしまいがちです。
もう一つ、意外に効くのが「芽かきの強さを年の気象に合わせる」視点です。例えば梅雨明け後に水が確保しづらい圃場では、葉量を減らしすぎると株の勢いが落ち、芋の太りも鈍ります。逆に水が安定している圃場では、芽を整理しても回復が早く、狙ったサイズに揃えやすいことがあります。
芽かき単体で勝負せず、「水やりできる環境か」を前提条件として確認する、という指摘もあり、これは芽の本数設計より先に押さえるべき土台です。
参考:芽かきの時期区分(6月上旬まで/6月中旬以降)と、水管理の重要性
https://agri.mynavi.jp/2020_05_19_118847/
検索上位の解説は「いつ」「どうやって」が中心で、作業の再現性を上げるための“記録設計”まで踏み込むものは多くありません。そこで独自視点として、芽かき・追肥・土寄せを「同じ観察サイクル」にまとめ、圃場で迷いがちな判断を“履歴”で固定する方法を提案します。
ポイントは、芽かきの正解が圃場条件で変わる以上、翌年以降の改善には「その年の判断」を残す必要がある、という現実です。農作業は忙しく、記憶だけに頼ると翌年に再現できません。
【芽の履歴メモ(現場で使える最小セット)】
- 観察日:5/◯◯、6/◯◯、7/◯◯(追肥土寄せの実施日と一致させる)
- 種芋の複数芽の有無:あり/なし(ありなら何本→何本にしたか)
- 6月中旬以降の芽の扱い:残した/間引いた(混み合いの場所だけ、など理由を一言)
- その週の水事情:十分/やや不足/不足(里芋は乾燥に弱い前提を毎回確認)
- 収穫時の結果:サイズの揃い、秀品率の体感、欠点(小玉多い、形が不揃い等)
このメモがあると、例えば「今年は小玉が多かった→芽かきが弱かった?」と短絡せず、「水が不足していた」「6月中旬以降の芽を取りすぎた」など、原因候補を現実の履歴から絞れます。結果として、翌年は“やり方を変える”のではなく“判断基準を調整する”改善ができます。
なお、芽かきを強める年ほど水の重要性が増します。里芋は乾燥に弱いとされ、梅雨明け以降に水やりができる環境かどうかの確認が重要という指摘もあるため、芽の履歴には必ず水事情をセットで書くのがコツです。
参考:里芋は乾燥を嫌い、水やり環境の確認が重要という考え方
https://agri.mynavi.jp/2020_05_19_118847/