サンフーロンの有効成分として話題に出やすいのはグリホサートで、国内では食品安全委員会が食品健康影響評価の枠組みで検討されています。
食品安全委員会の評価情報ページでは、評価品目名が「グリホサート」であること、評価要請機関が農林水産省であること、評価結果通知日が2016年7月12日であることが示されています。
また、厚生労働省資料(残留基準検討の報告書案)には、食品安全委員会の評価を踏まえて審議する流れが書かれており、国内制度として「評価→基準設定」という線で動いている点が読み取れます。
現場で混乱しやすいのは、「発がん性がある/ない」という一言が、どの評価枠(危険性の分類なのか、使用条件を含むリスク評価なのか)を指しているかで意味が変わることです。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/152bd8425de47cfba050b9acffb51a8e51231f83
厚労省資料の中では、IARCのGroup 2A分類に触れつつ、食品安全委員会を含むリスク評価機関はGLP試験やガイドライン準拠試験などを用いて“リスクを評価する目的”で結論を出す、という整理が記載されています。
この整理に沿うと、農業従事者がまず確認すべきは「自分の散布条件は、評価で想定される安全な使用(ラベル遵守)から外れていないか」という点になります。
農業従事者が「発がん」より先に押さえると実務に効くのが、ADI(許容一日摂取量)などの安全性指標が国内評価でどう扱われているかです。
厚生労働省資料では、食品安全委員会の評価としてグリホサートのADIが1 mg/kg体重/dayとされ、設定根拠(無毒性量100 mg/kg体重/day、安全係数100)が示されています。
同資料では、単回ばく露の評価としてARfDは「設定の必要なし」と判断された旨も記載されています。
ここで大事なのは、ADIは「食事等を通じた長期の摂取」を想定した指標であり、農業従事者が気にする皮膚付着や吸入などの“作業ばく露”は、別の管理(防除衣・手袋・マスク・散布方法・風条件)が支配的になりやすい点です。
つまり、ADIがある=作業時に無対策でよい、ではなく、ADIは「消費者側の安全性整理の一部」で、作業者側はラベルと安全データシート、そして散布手順の整備が主戦場になります。
加えて、厚労省資料には、グリホサートが塩(イソプロピルアミン塩、アンモニウム塩、カリウム塩)として製剤化されること、水溶液中では解離し散布後作物では遊離酸として存在することが書かれており、「同じグリホサートでも形態がある」点は、説明時の誤解防止に役立ちます。
「サンフーロン発がん」の検索で上位に出やすい論点は、2015年にIARCがグリホサートをGroup 2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類した、という部分です。
一方で、食品安全委員会側の資料では、IARCは公表論文等を使ってハザード同定を行うのに対し、食品安全委員会を含むリスク評価機関はGLP試験等を含めてヒトのリスク評価を目的に判断する、という評価の前提差が明記されています。
同じ資料の中で、食品安全委員会は発がん性試験および遺伝毒性試験の結果から「発がん性及び遺伝毒性は認められなかった」と判断した旨が書かれています。
この“前提の違い”を言語化できると、職場での説明や新人教育が楽になります。
例えば、会話でよく起きるすれ違いは次のパターンです。
・「IARCが2Aだから危険」→ハザード分類の話に寄っている。
参考)除草剤 サンフーロンについて徹底解説!
・「国内評価で発がん性は認められない」→リスク評価の枠組みの結論を言っている。
どちらも同じ単語「発がん」を使うので、議論が噛み合わず不安だけが増えがちです。
農業従事者の実務では、「発がん議論」よりも「残留基準と収穫前日数・使用回数の遵守」が直接的に経営リスクへつながります。
厚生労働省資料には、国内での使用方法(適用作物、使用時期、使用量、使用回数など)が表として整理されており、作物別に“収穫○日前まで”などの条件が並んでいます。
同資料では、残留試験の分析対象や分析法(HPLC-FL、LC-MS/MS等)にも触れており、基準が「根拠のある測定」を前提にしていることが分かります。
ここでの実務ポイントは、「ラベル遵守=残留面のリスク管理の基本」であることを、現場で見える形にすることです。
おすすめは、圃場の散布記録を“チェックリスト化”して、散布日・希釈倍率・風・気温・使用量・使用者・洗浄実施まで1枚で残す運用です(監査対応や自分を守る資料になります)。
特に収穫前日数は、うっかりミスが起きやすいので、散布計画時点で「最終散布可能日」を逆算してカレンダーに固定するのが効きます。
検索上位では「グリホサート=発がん?」に話題が集中しがちですが、現場の健康リスクを下げる観点では“製剤としての散布”を分解して考えるのが意外に効きます。
上位記事でも、グリホサートそのものだけでなく「除草剤に含まれる界面活性剤に予期しない毒性があるという主張がある」といった論点が挙げられており、議論の焦点が有効成分以外に移ることがある点が示されています。
このため、職場の安全教育では「有効成分だけでなく、製品ラベル・SDSの注意事項を守る」へ話を戻せるようにしておくと、議論が前に進みやすくなります。
作業者ばく露の現実的な減らし方は、発がん議論の勝ち負けではなく、散布という作業を“工程”として潰すことです。
・飛散を減らす:風の強い日の散布回避、ドリフトしにくいノズルや散布圧の見直し(圃場境界では特に慎重)。
・付着を減らす:手袋の着脱手順の固定、顔や首周りを露出させない、防除衣のまま休憩所に入らない。
・二次汚染を減らす:車のハンドル、スマホ、ドアノブを“汚染ポイント”と見なし、散布後に拭き取り・交換ルールを決める。
意外に見落とされるのが「散布後の機材洗浄の水しぶき」で、ここで目や口周りに付着しやすいので、洗浄作業こそ保護具を外さない、という運用が事故を減らします。
また、散布液の調製(希釈)工程は原液に近い濃度を扱うので、散布本番よりも“短時間で高リスク”になりやすいと考えると、安全側の手順が作りやすいです。
(公的な評価の全体像:国内での位置づけや評価日などの確認に有用)
食品安全委員会:グリホサート評価書詳細(評価案件ID・評価結果通知日など)
(ADIやIARC分類への言及、国内での使用方法の表など、実務に直結する一次資料として有用)
厚生労働省資料:グリホサート(案)(ADI/ARfD、使用方法、残留試験・分析法など)