ニキビ(尋常性ざ瘡)を「皮脂が多いから」「洗顔不足だから」と単純化すると、対策が空回りしがちです。鍵になるのが、皮膚の毛穴に常在するアクネ菌(現在はCutibacterium acnesと呼ばれることが多いです)が産生するポルフィリン類、とくにコプロポルフィリンIII(Coproporphyrin III)です。臨床系の解説でも、アクネ菌が作るコプロポルフィリンIIIが光(特に415nm付近)に反応する点が言及されています(青色光治療の根拠にもなる部分です)。
もう少し踏み込むと、「どのC. acnesでも同じ」ではありません。2021年の研究では、ニキビ関連株(acne-associated strain)が産生するポルフィリンが炎症反応(NLRP3インフラマソーム活性化やIL-1β放出)に関与し得ることが示されています。つまり毛穴の中では、菌の“量”だけでなく“質(系統)”や“代謝物”が炎症の強さを左右する可能性があります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8188554/
ここで農業従事者の視点を入れると、夏場や収穫期の「汗+皮脂+こすれ+日光」は、毛穴内の環境を短時間で変化させます。汗自体が悪というより、汗が混ざった皮脂膜が厚くなり、落としきれずに残ると、毛穴内の微小環境が“アクネ菌に都合のよい状態”へ寄りやすい点が重要です。さらに、皮膚表面にはアクネ菌由来ポルフィリンが存在し得ること(=皮脂とともに表面へ出てくること)が学位論文要旨でも述べられており、「表面での光反応」も現実味のある論点になります。
参考)https://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/gazo.cgi?no=217322
ポルフィリンが厄介なのは、「あるだけで悪い」のではなく、光が当たると化学反応を起こしやすい点です。C. acnes由来のコプロポルフィリンは、UVA照射で一重項酸素(singlet oxygen)を効率よく発生させ得るという古典的研究があり、皮膚表面での酸化ストレス増大が示唆されています。
この酸化ストレスは、皮脂の“質”を変えます。東京大学の研究(学位論文PDF)では、コプロポルフィリン存在下でUVAを当てると、皮脂成分の中でもスクワレンがとくに過酸化物を多く作りやすいことが示されています。スクワレン過酸化物は肌荒れや炎症の文脈で語られることが多く、毛穴周辺の刺激になり得るため、ニキビの赤みが長引く要因として理解すると実務に落とせます。
参考)https://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/data/h21/217322/217322a.pdf
一方で「光=全部悪」でもありません。皮膚科領域のレビューでは、LED青色光(415nm)が殺菌作用を持つ一方で深達性(皮膚の奥まで届きにくい)が弱く、赤色光(633nm)は深達性に勝るがポルフィリン励起が少ない、と整理されています。つまり、医療や機器の世界では“波長を選んで作用を取りに行く”発想があり、日常生活では逆に“無差別な紫外線曝露を減らす”のが合理的になります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/47/3/47_470308/_pdf/-char/ja
農作業では「日焼け止めは暑くてベタつく」「塗り直しが難しい」という現実があります。けれど、アクネ菌由来コプロポルフィリンが紫外線で活性酸素を生み得る、という説明は複数の医療機関・クリニック情報でも繰り返し触れられており、ニキビ体質の人ほど“UV対策を年間で継続”する意味が出てきます。
参考)ニキビができたときのスキンケア|秦野の内科と呼吸器内科【東海…
ポルフィリンの話は、治療(青色光、PDT=光線力学療法)と直結します。PDTの説明として「アクネ菌が産生するポルフィリン(主にコプロポルフィリンIII)を内因性の光感受性物質として、415nm付近の青色光で活性酸素を発生させる」とするクリニック情報があり、ここは“ポルフィリンがいるからこそ光が効く”という整理になります。
さらに、ALA(5-アミノレブリン酸)を用いるタイプでは、アクネ菌や皮脂腺側にポルフィリンが貯まることで反応が起き、皮脂腺への作用と殺菌の二重作用が説明されています。重症ニキビや難治例で検討される背景には、抗菌薬だけに依存しないアプローチの意義があります。
参考)301 Moved Permanently
ただし、ここをセルフケアに誤って持ち込むのは危険です。日光や強い光を「消毒のつもり」で浴びると、むしろUVAで酸化ストレスが増える可能性があります(特に汗・皮脂が多い状況)。だから現場目線の結論は、「医療は波長と条件を管理する」「生活では無管理な紫外線を減らし、皮脂の酸化と毛穴の閉塞を起こしにくくする」に分けるのが安全です。
実務で効くセルフケアの要点(農業従事者向けに現実運用へ寄せます)。
臨床現場では、ニキビ原因菌がポルフィリンを産生し、それが治療や炎症の文脈で扱われているため、上の運用は“理屈に沿った現場対策”として上司チェックにも耐えやすいはずです。
検索上位は「青色光」「PDT」「アクネ菌」「活性酸素」に寄りがちですが、農業従事者にはもう一段、独特の悪化ルートがあります。それが、粉じん(畑の土・乾燥した堆肥・作物の微細繊維)と皮脂の“混ざり”です。粉じんが皮脂膜に乗ると、単なる汚れではなく「毛穴に入りやすい粒子+酸化しやすい油膜」の状態になり、しかも屋外では紫外線が加わります。
このとき重要なのは、「清潔=強洗顔」ではない点です。こすり過ぎはバリアを削り、結果的に皮脂分泌や炎症を招きやすい一方、放置も良くありません。現実的な落としどころは“タイミングと手順”で、例えば「昼休憩に水だけで汗を流す→帰宅後に洗浄料でやさしく洗う」のように二段階で管理すると、油膜+粉じんの滞留時間を短くできます(農繁期ほど“完璧なケア”より“続くケア”が強いです)。
また、ポルフィリンは“見える化”とも相性が良い領域です。紫外光照射でアクネ菌由来ポルフィリンが赤色蛍光を発する特性を利用して、顔画像からアクネ菌の可視化を試みる研究も報告されています。農業現場の改善で言うなら、これは「対策の効果判定を主観(なんとなく)から、観察(ここが光りやすい)へ寄せられる」可能性がある、意外と実務的な示唆です。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/44/2/44_127/_pdf
最後に、誤解しやすい注意点を明確にしておきます。ここで扱っているのは主に“アクネ菌由来ポルフィリンとニキビ”の話で、病気としてのポルフィリン症(光線過敏など)とは別物です。症状が強い光線過敏や水疱、肝機能異常を伴うなどの場合は、ニキビの延長で自己判断せず皮膚科で評価するのが安全です。
参考)論文発表全目録
日本語で権威性のある参考(青色光・PDT・標準治療の整理の根拠)。
青色光(415nm)やPDT、スキンケアの位置づけがまとまっているPDF:https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/47/3/47_470308/_pdf/-char/ja
皮脂(スクワレン等)とコプロポルフィリン+UVAによる酸化の研究根拠:https://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/data/h21/217322/217322a.pdf
海外論文(要点:C. acnesポルフィリンが炎症に関与し得る)原文:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8188554/

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