オオアレチノギクは、グリホサート系非選択性除草剤で「枯れ残りやすい(低感受性)」個体が各地で問題化し、枯れ残った株が優占化して管理を妨げることがあります。
とくに果樹園などで同じ系統を続けて使うと、効きにくい個体だけが生き残って種子を残し、次の年にさらに“効かない圃場”へ傾きやすいのが厄介です。
オオアレチノギクは一年生雑草ですが、秋に発芽してロゼットで越冬するため一年を通して見かけやすく、草丈が大きくなることもあります。
ここで大事なのは「ラベル通りに散布しているのに枯れない=散布ミス」と決めつけないことです。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/6d17e90f729443914fd96be5477e891088de393d
低感受性が絡む場合、同じ薬剤を“濃くする・回数を増やす”だけでは改善しにくく、むしろ選抜が進みます(効く個体だけが先に減り、効かない個体が残るため)。
現場での初期判断としては、同じ条件で他草種は枯れるのにオオアレチノギクだけ残る、同一園地で毎年同じ場所から残草が増える、などは要注意サインです。
「低感受性」と似て見えますが、抵抗性はより強い意味で、研究レベルでも国内でオオアレチノギクのグリホサート抵抗性機構が解析され、岐阜産のオオアレチノギクは非作用点抵抗性と示されています。
この研究では、雑草の抵抗性機構は作用点抵抗性と非作用点抵抗性に大別され、機構が違うと抵抗性の程度や多剤抵抗性の有無が変わるため、防除計画を立てる上で機構解明が重要だとされています。
抵抗性が疑われる圃場では、「系統・作用性の異なる非選択性除草剤を使うことが重要」とされ、たとえばオオアレチノギクにはパラコート系(例:プリグロックスL)が効果的、という整理がされています。
一方で、別系統に切り替えるだけで安心しきらず、「同一系統の連用を避け、異なる系統を組み合わせる体系処理」がポイントとして紹介されています。
抵抗性の“意外な落とし穴”は、圃場の一部で起きていても、作業導線(畦畔→圃場→資材置き場)や刈払機の移動で種子を運び、いつの間にか周辺へ広がることです(種子生産量が多い草ほど、拡散の速度が上がります)。
オオアレチノギクは秋(10〜11月)に発芽し、ロゼット(根生葉)で越冬して、春に茎を伸ばして夏に最盛期を迎える、と整理されています。
この生態から、防除の狙い目は「草丈が低く、薬液が当てやすい時期」で、ロゼット期〜伸長初期に合わせるのが基本戦略になります。
果樹園向けの技術紹介でも、ロゼット期(例として2月)にパラコート系を散布することで、ロゼット個体を枯らすだけでなく、その後の実生個体の発生も抑えた、とされています。
時期の組み方としては、春先(2〜3月)に一度散布を組み込む提案があり、この時期に春雑草を枯らして地温を上げ、春の肥効アップにつなげる考え方が示されています。
夏場は根まで枯らすタイプのグリホサート系が有効で、秋期は翌年の発生源となる種子密度を減らす目的で、別系統を活用する、といった年間の組み立ても提示されています。
オオアレチノギクに関しては、背丈が上がってから慌てて対応すると、散布ムラ・飛散・作業負担が一気に増え、結果的に“枯れ残り株を作る”方向に転びやすいので、ロゼット期の一手間が最終的に安くつく場面が多いです。
参考)愛知県の水稲乾田直播栽培におけるシハロホップブチル抵抗性イヌ…
体系処理の核は「同一系統の連用を避け、異なる系統の非選択性除草剤を上手に組み合わせる」ことです。
実際に、同一系統の連用区(グリホサート系・グルホシネート系など)と比較して、パラコート系→グリホサート系の体系処理区では、メヒシバやオオアレチノギクを効果的に抑えて裸地期間が長く続いた、と報告されています。
また、グリホサート系連用区ではオオアレチノギクの残草が多く見られた、という記述もあり、連用が“圃場の植生を変える”ことが実証された形です。
体系処理を成功させるコツは「剤選定」だけでなく「散布の作法」を揃えることです。
接触型(グルホシネート系・パラコート・ジクワット系)は、薬剤が接触した部分が枯れる一方で根まで浸透移行しないため、雑草全体にまんべんなく散布する必要がある、と説明されています。
浸透移行型(グリホサート系)は葉から吸収され根まで移行するので、葉に薬液が付着すれば効果を発揮しやすく、少量散布用ノズルの使い分けが推奨されています。
現場向けに、最低限のチェックリストを置いておきます。
✅ 散布前に確認したいこと
・散布対象がロゼット期か、伸長して草丈が出ているか(時期で剤の効き方・作業性が変わる)
・同じ系統を続けていないか(低感受性・抵抗性の選抜を進めない)
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/b8ab2f08d34ef8b7aedc7765a5dec69533882790
・ノズルが剤のタイプに合っているか(接触型=付着ムラが致命傷、浸透移行型=均一散布で省力化できる場合)
ここは検索上位で見落とされがちですが、オオアレチノギク対策は「成分名」よりも先に、散布の設計(どこに、どの粒径で、どの水量で、どのタイミングで当てるか)を固定すると成績が安定します。
同じ薬剤でも、接触型は“雑草全体に薬液が乗るかどうか”が勝負で、多量散布用ノズル(例:キリナシノズル等)が推奨され、浸透移行型は少量散布用ノズル(例:iQノズル等)で省力化できる、と具体的に説明されています。
さらに「枯れ残り株」への考え方を変えると、再発が減ります。
オオアレチノギクは、茎が折れても根元から再生しやすいので、半端な枯れ方をすると個体が増えやすい、という注意点が挙げられています。
つまり、散布後に一部が生き残った場合は「次回にまとめて」ではなく、残草が小さいうちに追加対応して種子生産まで到達させない、という運用が合理的です(残草の放置が翌年の母集団を作ります)。
作業者の安全面・近接作物への影響回避も、散布設計に含めるべき要素です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/cc134b1995232a16a09667bdac4c9e5b863bc3d9
畦畔・傾斜地で「根を枯らさないタイプなら崩れにくいので安心」という現場の声もあり、場所(畦畔・圃場周辺・育苗圃周辺)に応じた剤の選択理由になります。
この“場所別の剤選択”をルール化しておくと、担当者が替わっても再現性が出やすく、結果的に抵抗性リスクの管理にもつながります。
【参考リンク:低感受性雑草(オオアレチノギク)への体系処理、散布ノズルの使い分け(接触型/浸透移行型)が具体的に書かれています】
https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20220105
【参考リンク:国内のオオアレチノギクを含むグリホサート抵抗性機構(非作用点抵抗性など)の研究概要が読めます】
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16H04884/
【参考リンク:オオアレチノギクの発芽〜ロゼット越冬〜夏最盛期という生態の整理が確認できます】
https://www.noukaweb.com/ooaretinogiku-pesticide/