農業現場で役立つ充填剤の種類と選び方!補修や防水に

農業用ハウスや用水路の補修、どんな充填剤を選べばいいか迷っていませんか?シリコンやウレタンなど、素材ごとの特徴を知れば、修理の持ちが劇的に変わります。意外と知らない「水中でも固まる」タイプとは?

農業現場で使う充填剤の種類と選び方

農業用充填剤のポイント
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場所で使い分け

水回りにはシリコン、塗装するなら変成シリコンを選ぼう。

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用水路にはウレタン

コンクリート補修には密着性が高いウレタンや水中硬化型が最適。

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プライマーは必須

下塗りをサボるとすぐに剥がれる原因に。必ずセットで使おう。

シリコンと変成シリコンの【特徴】と使い分け


農業の現場で最も頻繁に目にする充填剤(コーキング・シーリング材)といえば、「シリコン系」と「変成シリコン系」の2つですが、この違いを明確に理解して使い分けている方は意外と少ないかもしれません。見た目は似ていますが、化学的な性質は全く異なり、間違った使い方をすると後で大変な手間がかかることになります 。


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まず、シリコン系(シリコーン系)は、耐水性、耐熱性、耐候性に非常に優れており、コストパフォーマンスも高いのが最大の特徴です 。ホームセンターで最も安価に売られているのがこれです。一度硬化するとガラスのように水を弾き、紫外線にも強いため、ビニールハウスのガラス周りや、常に水がかかる洗い場のシンク周りなどに最適です 。しかし、シリコン系には「上から塗装ができない」という致命的な欠点があります。シリコンの上にはペンキが乗らないため、例えば倉庫の外壁補修に使ってしまうと、後で外壁塗装をする際にその部分だけ塗料を弾いてしまい、補修跡が目立ってしまいます。また、シリコンオイルが周囲に滲み出し、周りの汚れを吸着して黒ずむ「汚染(ブリード)」が発生することもあります。


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一方、変成シリコン系は、シリコン系の弱点を克服した「万能型」と言える存在です 。耐候性はシリコンにやや劣りますが、硬化後に上から塗装が可能であることが最大のメリットです。農業用倉庫のサイディング(外壁)の目地や、トラクターや農機具のちょっとした隙間埋めなど、後で色を塗る可能性がある場所には必ず変成シリコンを選びましょう。また、シリコン系のように周囲を汚染する心配も少ないため、美観を保ちたい場所にも適しています。価格はシリコン系より高めですが、失敗が少ないため、迷ったら変成シリコンを選んでおくと安心です 。


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種類 メリット デメリット 最適な用途
シリコン系 安価、耐水・耐熱・耐候性が最強 塗装不可、周囲が汚れやすい ガラス回り、水回り、塗装しない場所
変成シリコン系 塗装可能、汚れにくい、多用途 シリコンより高価、耐候性はやや劣る 外壁、農機具の隙間、塗装する場所

充填剤の種類と特徴が初心者向けにわかりやすくまとめられています

【用水路】の補修にはウレタンと水中【硬化】型

農業従事者にとって頭を悩ませるのが、コンクリート製の用水路や排水路のひび割れ(クラック)や水漏れです。ここで活躍するのがウレタン系の充填剤です。ウレタン系は、硬化すると弾力性のあるゴム状になり、コンクリートとの密着性が非常に高いという特徴があります 。コンクリートは温度変化でわずかに膨張・収縮を繰り返しますが、ウレタン系の弾力性がその動きに追従するため、ひび割れが再発しにくいのです。ただし、ウレタン系は紫外線に非常に弱く、露出したままにしておくと劣化してボロボロになってしまいます。そのため、必ず上から塗装するか、土に埋まる部分や日の当たらない目地に使用するのが鉄則です。

さらに、農業用水路の補修において革命的とも言えるのが、水中硬化型の充填剤(エポキシ樹脂系など)です 。通常の充填剤は施工箇所を完全に乾燥させる必要がありますが、農業用水路は完全に水を止めることが難しい場合が多く、湿った状態や水が流れている状態での補修が求められます。水中硬化型の充填剤(パテや接着剤)は、水の中でも化学反応が進んで硬化するため、水を張ったままの用水路や、雨上がりの湿ったコンクリート面でも施工が可能です 。


参考)【特設サイト】用水路工事用 エポキシ樹脂系シーリング材『アグ…

例えば、「アグリパテ」や「水中ボンド」といった製品は、粘土のようなパテ状で、手で練ってひび割れに押し込むだけで、水中でカチカチに固まります 。これにより、水路の水を抜く「水替え」という重労働をせずに、緊急の水漏れ対策が可能になります。これは農繁期の忙しい時期には非常に強力な助けとなります。

  • ウレタン系: コンクリートの目地に最適。弾力があり割れにくいが、紫外線に弱いので塗装が必要。
  • 水中硬化型: 水に濡れていても、水中でも固まる。用水路の緊急補修に必須。

用水路工事用の水中硬化型シーリング材「アグリパテ」の詳細な仕様です

【ビニールハウス】の【防水】・【耐久性】向上テクニック

ビニールハウス(パイプハウス)の維持管理にも、充填剤は欠かせません。ここでのキーワードは「防水」と「異種素材の接合」です。ハウスの屋根や谷樋(たにどい)の接合部から雨漏りが発生すると、作物の病気の原因になったり、ハウス内の湿度が管理できなくなったりします。こうした金属部分の接合には、耐候性の高いシリコン系、または金属への接着性が良い変成シリコン系が使われます 。


参考)用途 – 農業

また、意外な用途として「錆止め」としての充填剤の役割があります。ハウスのパイプは亜鉛メッキされていますが、切断面や地面に接する部分は錆びやすいものです。ここに「ジンクスプレー(亜鉛末スプレー)」などを塗布することが一般的ですが、深い傷や穴には金属用の補修充填剤(エポキシパテなど)を埋め込み、その上から防錆塗装をすることで、パイプの寿命を大幅に延ばすことができます 。


参考)ビニールハウス補修等に使う商品【通販モノタロウ】

さらに、ビニール(農ビ・農PO)自体の補修には、一般的なコーキング剤ではなく、専用の補修テープや、軟質塩化ビニル用の接着剤を使用します 。通常のシリコン系充填剤は、ビニールのような軟らかい素材には密着せず、すぐに剥がれてしまうことが多いからです。特に「農ビ補修用」として販売されている接着剤は、ビニールを少し溶かして一体化させる「溶着」タイプが多く、隙間を埋めるというよりは、素材同士を融合させて穴を塞ぎます。これを充填剤の一種として理解し、適材適所で使い分けることが、ハウスを長持ちさせるコツです。


参考)ビニールハウス補修用テープNo.818ハイパー|補修用テープ…

農ビ補修用接着剤の正しい使い方と接着できない素材のリストです

【接着】力を高める【プライマー】の重要性

多くの農家さんがDIY補修で失敗する最大の原因、それは「プライマー(下塗り材)」の塗り忘れです 。充填剤を選んで買ってきても、プライマーを買わずに施工してしまうケースが非常に多いのです。プライマーとは、充填剤と下地(コンクリート、金属、木材など)の間に入って、両者を強力に接着させる「仲介役」の液体のことです。


参考)シーリング商品 ボンドシールプライマーの種類・性状

充填剤単体でも最初はくっついているように見えますが、プライマーを塗っていないと、数ヶ月も経たないうちに界面(接着面)からペロンと剥がれてしまいます。特に、古いコンクリートや錆びた金属、粉っぽい表面などは、そのままでは充填剤が全く食いつきません 。プライマーは、表面の細かい埃を固め、充填剤が馴染みやすい層を作ってくれます。


参考)https://www.nagano-nouchimizu.net/wp/wp-content/themes/nouchimizu/img/workshop/2024/03_1.pdf

プライマーには、使用する充填剤の種類(シリコン用、ウレタン用、変成シリコン用など)に合わせて専用のものがあります。必ず充填剤のパッケージを確認し、指定されたプライマーを一緒に購入してください。施工の手順は以下の通りです。


  1. 清掃: 接着面のゴミ、油分、水分を完全に拭き取る。
  2. 養生: マスキングテープで周囲を保護する。
  3. プライマー塗布: 刷毛で接着面に薄く均一に塗る。
  4. 乾燥: 指で触ってベタつかない程度まで乾かす(通常30分程度)。
  5. 充填: 充填剤を注入し、ヘラで押さえる。

この「ひと手間」を惜しまないことが、プロ並みの耐久性を出すための最大の秘訣です。プライマーを使わない補修は、あくまで一時的な応急処置にしかならないと覚えておきましょう。


ボンドシールプライマーの種類と適合表で、どの充填剤にどれを使うか確認できます

【農業】現場での【選び方】と下処理のコツ

最後に、農業現場特有の事情に合わせた充填剤の選び方と、作業前の下処理のコツをまとめます。農業現場は、家庭のDIYとは異なり、「泥」「水分」「紫外線」「農薬」といった過酷な条件にさらされます。


まず、農薬や化学肥料への耐性です。シリコン系は一般的に薬品に強いとされていますが、強酸や強アルカリには弱い場合があります 。消毒用の薬剤が頻繁にかかる場所には、耐薬品性の高いグレードのシリコンや、エポキシ系の充填剤を選ぶと安心です。また、古い充填剤を補修する場合、「増し打ち」か「打ち替え」かの判断が重要です。「増し打ち」は古いゴムの上から新しいものを塗る方法ですが、これは基本的にはおすすめしません。古いゴムが劣化していれば、そこから剥がれてしまうからです。特にシリコン系の上には新しいシリコンさえも接着しにくいため、基本は「打ち替え」(古いものをカッターやペンチで完全に除去してから新しく打つ)を行ってください。

下処理のコツとして、古い充填剤を剥がした後に残る薄い膜や汚れを落とすことが重要です。スクレーパーで削ぎ落とし、最後にシンナーやアセトンを含ませた布で拭き上げると、油分が取れて新しい充填剤の食いつきが劇的に良くなります。


農業現場での選び方フローチャート:

  1. 水に濡れる場所か?
    • はい(常時水没) → シリコン(ガラス・陶器) または 水中硬化型エポキシ(コンクリート用水路)
    • はい(雨がかかる程度) → 変成シリコン(外壁・金属)
  2. 塗装をする予定があるか?
    • はい → 変成シリコン または ウレタン(要紫外線対策)
    • いいえ → シリコン(コスト重視・高耐久)
  3. 素材は何か?
    • コンクリート → ウレタン(目地)、エポキシ(ひび割れ注入)
    • ビニール・プラスチック → 専用接着剤 または 粘着テープ

このように、用途と素材、そして「水」と「塗装」の有無を基準に選ぶことで、無駄な出費と労力を防ぐことができます。正しい知識を持って、長く使える強い農場施設を維持していきましょう。


充填剤の産業別の特徴や選び方が詳しく解説されています




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