ナイトインタラプションでキク電照栽培と開花抑制

ナイトインタラプション(暗期中断)でキクの開花抑制を安定させるには、電照の時間帯・光源・光量のどこを優先して見直すべきでしょうか?

ナイトインタラプションと電照栽培

ナイトインタラプション(暗期中断)の要点
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狙いは「夜の連続」を崩す

短日植物のキクは「夜が一定以上長い」と開花へ傾きます。夜の途中で光を入れて暗期を分断し、花芽分化を抑制して開花時期を調整します。

時間帯が効き目を左右

暗期の中心が万能ではなく、暗期開始からの経過時間(感受性が高い時間帯)に合わせると効率が上がります。

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光源は「光量×配光」も重要

LED/蛍光灯/白熱灯は分光だけでなく配光が違い、同じ“照度”でも効き方が変わります。圃場では「ムラ」を潰す設計が収量・品質に直結します。

ナイトインタラプションの開花抑制と日長反応


キクは短日植物の代表で、夜が長くなる季節に開花へ向かう性質があります。そこで「ナイトインタラプション(暗期中断)」として夜間に短時間の光を入れると、植物が“夜が短い(長日)”と認識し、花芽分化を抑制して開花を遅らせることができます。農研機構の研究では、電照ギク栽培の夜間の光照射によって開花が抑制される仕組みとして、キクで“アンチフロリゲン(開花抑制側のシグナル)”が関与することが示されています。
現場目線で重要なのは、「ナイトインタラプション=とにかく夜に照らす」ではなく、短日反応のスイッチを切る“最低限の刺激を、必要なタイミングで入れる”という設計思想です。電照のやり方が過剰だと電気代が上がり、過少だと発蕾が走って品質・収益が落ちます。特に年末需要や彼岸需要など、出荷ピークが明確な作型ほど、暗期中断の精度が利益の差になりやすい点は見逃せません。


また、意外に見落とされるのが「遮光(シェード)との一体運用」です。暗期中断は“暗期が成立していること”が前提なので、外灯・隣接圃場・道路照明の迷光、ハウス内の反射材、管理通路の常夜灯など、わずかな光でも条件によっては影響します。作業性と光害対策はトレードオフになりがちですが、トラブルが出てから対策するより、最初から“光が漏れない前提の導線・灯具位置”にしておく方が結局安いです。


(参考:夜間電照で開花が抑制される生理背景・アンチフロリゲンの話)
農研機構:電照ギク栽培で夜間の光によりアンチフロリゲンが作られ開花が抑制される仕組み

ナイトインタラプションの電照時間帯と暗期中断

ナイトインタラプションは「暗期の中心で照らすのが良い」と語られがちですが、研究ベースではもう少し踏み込んだ見方が有利です。キクの電照では、暗期開始からの経過時間に応じて“暗期中断に最も感受性が高い時間帯(NBmax)”があり、品種によってその位置が違います。鹿児島県の研究では、秋ギク「神馬」と夏秋ギク「岩の白扇」で、暗期開始からNBmaxまでの時間(Dusk-NBmax)が異なること、さらにNBmaxの少し後(0.5~1時間程度)まで含むように電照を組むと効果が高いことが示されています。
もう一つ、現場で効く“落とし穴”が「電照を長くすればするほど効くわけではない」という点です。上記の研究では、電照時間を延ばすと抑制効果が高まる局面がある一方、一定以上延ばすと逆に花芽分化抑制効果が低下する現象が観察されています。理由として、明期終了から電照開始までの暗期の長さ(電照前に一定の暗期を確保できているか)が電照効果に関与する可能性が議論されており、「とにかく長点灯」ではなく「暗期の設計」を先に考えるべき、という示唆になります。


実務的には、まずは現行のタイマー設定を棚卸しし、日没時刻(暗期開始)が季節でズレることを前提に、電照の“相対位置”がずれていないか点検するのが近道です。特に、固定時刻で運用していると、季節によって「狙った時間帯から外れているのに、電気だけは食っている」状態が起こりやすいので注意が必要です。


(参考:NBmax、Dusk-NBmax、電照時間を延ばし過ぎると効果が落ちる話)
園学研(2017):キクの電照栽培における最適な電照の長さおよび照射時間帯(白山・木戸)

ナイトインタラプションのLEDと光量

ナイトインタラプションは“光を当てた”という事実よりも、「株が必要量を、ムラなく受け取ったか」が成否を分けます。和歌山県のスプレーギク研究では、白熱電球に加えて電球色蛍光灯・電球色LED・昼光色LEDなど複数光源で暗期中断を行い、開花抑制に必要な最低光量(放射照度)が光源や品種で異なること、さらに“1灯で抑制できる範囲”が光源の配光特性で大きく変わることが示されています。つまり、同じ消費電力の省エネ光源でも、置き換えただけでは抑制が揃わず、結果として灯数が必要になるケースがある、ということです。
ここで注意したいのが「照度(lx)だけで判断しない」ことです。上記研究でも、照度は人の視感度に基づく指標であり、植物の反応とは一致しないため、光源が変わると“同じ照度でも抑制できたりできなかったりする”ことが起きます。現場での落とし込みとしては、導入前に小区画で“発蕾の揃い”を見て、次に照度計でムラを点検し、最後に灯具配置(間隔・高さ)で均一化する、の順が失敗しにくいです。


意外に効く小技は「灯具の高さを少し上げてムラを減らす」発想です(光は弱くなるが均一性が上がる)。ただし上げ過ぎると必要光量を割り、結局灯数が増えるので、導入時は“均一性と最低光量”をセットで詰めます。LEDの強みは制御性と寿命ですが、弱点は配光が鋭い機種がありムラが出やすい点なので、圃場設計(配置図)まで含めて最適化するのが前提です。


(参考:光源別に必要光量や抑制範囲が変わる、照度だけでは議論が難しい話)
和歌山県研究報告(2015):スプレーギク栽培における暗期中断に用いる光源の種類と開花抑制効果

ナイトインタラプションの電照栽培と省エネ

電照栽培の省エネは「消費電力が小さい光源に替える」だけでは完成しません。研究では、電照時間を延長すると抑制が上がる局面がある一方で、一定以上延長すると効果が低下することが示されており、点灯時間の“最適化”が省エネと安定出荷の両方に効きます。つまり、省エネは“LED化”より先に、タイマーの思想(暗期開始から何時間後に入れるか、どこで切るか)と、電照前の暗期確保(暗期の設計)を固めた方が、成果が出やすい場合があります。
現場での改善手順を、作業として再現できる形に落とすと次の通りです。


  • ✅ まず「品種」と「作型(季節)」を分けて、発蕾が走った日・走らなかった日の条件をメモする
  • ✅ 次に、日没時刻の変化を加味して、電照の開始・終了が“暗期のどこに位置しているか”を整理する
  • ✅ そのうえで、光量不足が疑われる場合のみ、灯数・高さ・間隔を見直す(ムラ点検を含む)
  • ✅ 最後に、設備更新(蛍光灯→LED等)をするなら、配光差による必要灯数まで織り込んで試算する

省エネの議論で見落としやすいのが「ムラがあると、保険として全体を強く点けがち」という心理です。ムラを消せば“強く点ける必要がない”状態に近づき、電気代だけでなく、発蕾のバラつき・選花ロス・出荷ピークの外れも減らせます。結果として、省エネは電気の話に留まらず、労務と歩留まりの改善として回収できるのが、キクの電照栽培の現実的なメリットです。


ナイトインタラプションの独自視点と現場トラブル

検索上位で多いのは「何時間点けるか」「どの光源が良いか」ですが、現場の事故はだいたい“別のところ”で起きます。独自視点として強調したいのは、ナイトインタラプション不調の原因が「光量不足」ではなく「光の混入・反射・漏れ」や「暗期の成立不良」にあるケースが少なくない点です。たとえば、ハウス側面の隙間から道路灯が入る、隣棟の作業灯が当たる、シルバーフィルムやマルチの反射で局所的に夜間照度が上がる、といった要因は、測らないと気づきません。
もう一つの盲点は「ランプは点いているが光量が落ちている」です。和歌山県の報告でも、蛍光灯は積算点灯時間が長くなると光量が小さくなる特性があり、点灯しているのに十分な光量が出ず、開花抑制できなかった事例があること、周年電照では必要光量が大きい時期に圃場の照度確認が望ましいと指摘されています。これを現場の運用に翻訳すると、「球切れ管理」だけでなく「光量劣化の管理(定期点検)」が必要、ということです。LEDでもレンズ汚れ・結露・虫の付着で局所的に落ちるので、結局は“清掃と点検の設計”が効きます。


最後に、ナイトインタラプションの精度は“生理”だけでなく“人の運用”に依存します。タイマー変更の権限が複数人に分散していたり、作業後に手動スイッチが戻し忘れになったりすると、一晩の失敗が2~3週間後に発蕾として返ってきます。対策としては、

  • 🧰 タイマー設定の写真を週1で共有する(点検を仕組みにする)
  • 📝 消灯日・切替日をハウス内に掲示する(作業者のミスを減らす)
  • 🔦 夜回り時に“目視だけでなく照度も一か所測る”ルールを作る(兆候を早期発見)

    のように、技術を“運用に落とす”のが一番強いです。


(参考:蛍光灯の劣化で光量不足→抑制できない事例、周年電照では照度確認が望ましい話)
和歌山県研究報告(2015):暗期中断光源の特性、必要光量、劣化と点検の注意点




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