マゼックスの農薬散布で最初に押さえたいのは、「散布できる」ではなく「狙った場所へ均一に届く」ことです。飛助15では、4枚プロペラで強い降下気流(ダウンウォッシュ)を作り、吐出ノズルが進行方向に応じて前後自動で切り替わる仕組みを組み合わせ、葉裏や根元まで均一に散布できる特許技術を搭載すると説明されています。さらにこの方式は、小型でも無人ヘリ同等の散布性能を目指しつつ、ドリフト低減にも有効で周辺圃場への飛散を抑える狙いがある、と明記されています。
ここで現場的に重要なのが、「飛行速度」「散布幅」「吐出量」の3点セットです。飛助15の仕様には散布幅6m、液剤のポンプ最大流量10L/min、最大使用風速8m/sなどの数値が示されており、スペックが公開されている機体は段取りを組みやすいのがメリットです。散布幅が分かれば1反(10a)あたりのパス本数が見積もれ、吐出量が分かれば希釈設計と補給回数の現実味が出ます。
意外と見落とされるのが、散布停止時の「ボタ落ち」です。飛助15は噴霧停止後に0.8秒以内に止まる「ボタ落ち防止弁」を採用し、不用意な薬剤落下を防ぐ設計とされています。畦際や隣接作物の境界で、停止遅れが「ムラ」や「過量」につながることがあるため、こうした制御や弁構造は、カタログ以上に作業品質へ影響します。
また、散布の均一性は「ノズルさえ付ければOK」ではありません。飛助15のページでは、散布量や均一性を遵守しないと農薬取締法に抵触し罰則が課される場合がある、という注意喚起もあります。単に機体が飛ぶかどうかではなく、散布方式・ノズル・制御が一体で設計されているかを確認することが、結果的にトラブル回避になります。
散布の品質を安定させるうえで、自動飛行やアシスト機能は「便利機能」ではなく、散布ムラを減らすための装置だと考えると理解が早いです。飛助15はスマート送信機に対応し、Android OS搭載のタッチパネルと専用アプリで飛行・散布制御を行うとされています。地図上で散布エリアを指定すると経路が自動算出され、障害物がある場合も事前に範囲指定して回避経路を作成できる、という説明もあります。
自動飛行のメリットは「操縦が楽」だけではありません。散布幅・散布量・飛行高度・進行方向といった条件をアプリ上で揃えやすく、作業者が変わっても品質がブレにくい点が大きいです。特に共同購入や作業受託では、オペレーター差がそのままクレームになり得るので、設定の再現性が現場価値になります。
直進アシストも、実は散布品質に直結します。飛助15はマゼックス独自の制御装置(フライトコントローラ)を搭載し、GPSロストを低減し安定飛行を実現、直進アシストで飛行経路を自動補正するとされています。風がある日に手動で蛇行すると、散布の重なりが増減し、結果として「効いた・効かない」が出ます。直進性を機体側で補正できると、散布設計に近い状態で仕事が終わります。
もう一つ、独自視点として推したいのが「停止できる自動化」です。飛助15は障害物レーダーで障害物を検知すると自動停止してホバリングし、補助ブレーキの役割を果たすと書かれています。自動飛行は時に“止まり方”が怖いのですが、止まる前提の設計があると、電線・支柱・樹冠のある現場で心理的ハードルが下がり、結果として安全側の判断が増えます。
農薬散布の導入でありがちな誤解が「大容量なら速い」です。しかしマゼックス自身が、国内の圃場条件では大型化が必ずしも使いやすさに直結せず、バッテリーや充電器、維持コスト増で“使いやすいとは言えない”場合がある、と飛助15のページで触れています。圃場が小さく分散しがちな地域では、機体の大きさより「移動・準備・補給・片付け」の総時間が効きます。
一方で、果樹や野菜で登録農薬が拡大し、より多い散布量ニーズが生まれている背景から、飛助15はタンク容量を15Lに増量し、最大流量10L/minのポンプで強力かつ効率的な散布を実現すると説明されています。つまり「必要な現場には必要」という整理が現実的です。水量が多い体系(高希釈で量が出る)を回すなら、タンク容量は段取りの回数を減らす武器になります。
作業時間の目安も、導入判断の材料になります。飛助15では、従来10aあたり約1時間かかっていた作業が、ドローンでは約1分で散布できるとしており、劇的な省力化のメッセージが打ち出されています。もちろん実際は準備・移動・補給・洗浄があるので“散布そのものの時間”として捉える必要がありますが、それでも人力や背負い式と比較したときの労働負荷低減は大きいはずです。
また、1バッテリーで最大12L=1.5haを散布できるとされている点も、現場の設計に使えます。どの程度の面積を何セットのバッテリーで回すか、充電の回転が追いつくか、補給場所をどこに置くか、といった運用設計が先に立つと、「買ったけど回らない」を避けられます。
さらに、散布可能な薬剤かどうかの確認が前提です。マゼックスの記事でも、散布を検討している農薬や肥料が飛散の少ない剤型で、ドローンで散布可能か事前確認するよう促しています。登録外の使い方や不適切な希釈は、効き目以前に事故・違反のリスクが高く、最終的に作業が止まります。
飛助15のページには、散布量や均一性を遵守しないと農薬取締法に抵触し罰則が課される場合がある、という記載もあります。ここは「怖い話」で終わらせず、現場運用に落とすのが実務的です。例えば、散布前に“その日の設定値(散布幅・速度・吐出量)”を紙に残し、ノズル詰まりやポンプ異常がないか短時間の試験散布で確認するだけでも、後日の説明責任が取りやすくなります。
加えて、購入後の流れも把握しておくと安心です。飛助15では、機体を発注して機体番号を取得し、機体登録や飛行申請(代行申請も可)を行い、飛行許可書取得後に散布作業が可能、という流れが示されています。繁忙期は「機体はあるのに書類で止まる」が起きがちなので、農繁期の前倒しで手続きを進めるのが安全です。
検索上位が液剤中心になりがちな一方で、現場では粒剤や肥料散布のニーズも確実にあります。マゼックスの粒剤散布装置の説明では、粒剤・肥料・豆つぶ®剤などを散布できるように研究し、薬剤の流れ、タンク形状、インペラーのフィン形状など多面的に検討して均等散布を狙った、と書かれています。粒剤は「詰まり」「偏り」「湿気」のトラブルが起きやすいので、装置側の工夫は重要です。
飛助15では、タンク交換と散布装置の取り付けで粒剤や肥料散布も可能で、6種類の専用アタッチメントと30段階のシャッター開度により180通りの開口パターンを実現すると説明されています。これは地味に強力で、粒径や流動性が違う資材に合わせて“出方を作れる”のは、結果としてムラと詰まりの両方を減らす方向に働きます。
ここに独自視点を足すなら、「粒剤は散布品質=段取り品質」です。粒剤は乾燥が前提の資材が多く、吸湿した粒は急に流れが悪くなります。装置性能が高くても、保管場所が露天で夜露を吸っただけで吐出が変わり、同じ設定でも散布量が揺れます。粒剤散布を主目的にするなら、資材の保管(密閉・乾燥)と補給動線(こぼさない・混入させない)までが“散布装置”だと捉えると失敗が減ります。
また、粒剤は液剤と違って「目視で量が分かりにくい」こともあります。飛助15には残量警告があり、残量が少なくなるとリアルタイムで知らせ、自動飛行中なら中断地点から再開する機能もあるとされています。資材切れで不均一が出るのは最悪なので、こうした機能は粒剤運用ほど効いてきます。
農薬散布の計画書や安全ガイドラインの要点(作物名、農薬名、使用量・希釈倍数など)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/pdf/mujinmalti_guideline.pdf