灌水チューブ敷設機の価値が最も出やすいのは、「畝成形(畝立て)」「マルチ張り」「チューブ敷設」を同時に流す作業設計が組めたときです。ノウキナビ等の販売説明でも、マルチと同時に灌水チューブを敷設でき作業効率が高い点が前面に出ています。
一方で、現場では“同時にできる=常に正解”とは限りません。例えば、チューブを再利用する場合は穴あき・詰まり点検を挟みたいので、チューブ確認後にマルチを張る、という段取りを選ぶ事例もあります。
同時敷設を成功させる段取りのコツは、機械の性能より「前準備」を揃えることです。最低限、次のチェックが揃うと失敗が減ります。
参考)施工について
さらに意外に効くのが「同時敷設の前に、短い距離で“空回しテスト”をする」ことです。チューブが斜めに引かれる癖があると、畝肩に寄ったり、マルチ下で折れたりします。数mだけ試走し、チューブが“引っ張られずに置かれていく状態”を作ってから本番に入ると、張り直しが激減します。
灌水チューブ敷設機を選ぶ際は、まず「管理機に付けるアタッチメント型」なのか「マルチャー側に組み込まれた同時作業型」なのかを切り分けると整理が早いです。管理機用の灌水チューブセット(2条用など)も流通しており、目的が合えば最短で“同時敷設”に到達できます。
選定の現実的な基準は、カタログの馬力よりも次の3点です。
参考)https://www.tajima-ryokkaplus.jp/product/buzai/04/files/01.pdf
また、検索上位の“農家の現場記事・動画”を見ていると、既製品に頼り切るより、畝成形機に自作の送り出し機を足して運用している例が普通にあります。畝成形機でマルチ張りと潅水チューブを同時に張る設備紹介として、自作の送り出し機を作っている事例が公開されています。
ここが盲点になりがちですが、送り出しの安定性は「ブレーキ(抵抗)の掛け方」と「芯ブレ(ロールの暴れ)」で決まります。軽すぎると惰性でたるみ、重すぎると引っ張って位置がズレるため、現場で“ちょうどよい抵抗”を作る工夫が効きます(市販でも自作でも同じ課題です)。
灌水チューブ敷設機で敷く作業がうまくいっても、最後に「接続」「通水確認」で漏れ・詰まり・偏流が出ると、結局やり直しになります。一般向けの施工手順でも、ジョイント接続、末端の栓、通水確認、漏れ確認を順に行う流れが明確に示されています。
落とし穴になりやすいポイントは次の通りです。
意外な実務ポイントとして、圃場の一部だけ吐出が弱いときは「チューブの折れ」より先に「接続部の空気噛み」や「末端処理の不完全さ」を疑うと切り分けが早いです。敷設直後は内部に空気が残りやすく、通水の初期挙動が不安定になることがあります(通水確認の手順を短縮しないのが結局速い)。
灌水チューブ敷設機の導入検討では「敷く作業」ばかり注目されますが、収穫後・作付け切替時の「撤去と収納」の重さが、年間労力を押し上げます。圃場に敷設された潅水チューブを巻き取り収納するための巻取機(台車型など)が市販されており、ボビン交換で複数本に対応できる旨が説明されています。
巻取りを設計に入れると、次のような運用改善が起きます。
ここでのコツは、巻取り速度を上げすぎないことです。速すぎると土塊や残渣を巻き込み、次回敷設で詰まり・吐出不良の原因になりやすいです(巻取りは「清掃工程」でもある、という意識が効きます)。
検索上位は「同時敷設」「機械の紹介」「設置手順」に寄りがちですが、実際に収量差を作るのは“詰まりの起点を減らす運用”です。点滴・散水穴タイプでは、吐出孔や流路が狭いほど、微細な土・藻・スケールが効いてきます(特に末端側の弱りとして現れやすいです)。
現場で効きやすい起点管理は、機械を買い替えずにできる小ワザが多いです。
最後に、灌水チューブ敷設機の導入で見落としがちな判断軸を置いておきます。
敷設機の導入は、畝・マルチ・灌水の一体化で確かに強力ですが、最後は「詰まりの起点」と「巻取りの省力化」まで含めた運用設計で差がつきます。tajima-ryokkaplus+1
施工・接続・通水確認の具体手順(漏れ確認の考え方も含む)がまとまっている参考。
施工について