農業で使う堆肥が、実は抗菌剤まみれの場合がある。
「農業用水は農業専用だから、医薬品とは無関係」と考えている農業従事者は少なくありません。しかし実態は異なります。京都大学の中田典秀講師らが実施した全国37の一級河川を対象とした調査(2004〜2005年)では、解熱鎮痛剤(イブプロフェン・ケトプロフェンなど)、抗生物質(クラリスロマイシン・アジスロマイシンなど)、抗うつ薬成分など、合計24種類以上の医薬品由来成分が河川水中から検出されています。
これらの成分は、人が服用した後に体外へ排出され、下水処理場を経由して河川へと流れ込みます。問題なのは、下水処理が万能ではないことです。不揮発性・難分解性・水溶性が高い医薬品成分は、通常の生物処理ではほとんど除去できません。抗精神病薬・胃潰瘍治療薬のスルピリドは、下水処理後も流入量の88%が除去されずに放流されることが明らかになっています。
つまり農業用水の取水元である河川には、さまざまな医薬品成分が常時存在している可能性があるということです。
調査では、人口密度が高い流域ほど河川中の医薬品汚染レベルが高く、下水処理水の混入割合が高い地域ほど濃度が上がることも確認されています(r²=0.95〜0.99の高い相関)。農業用水路への影響は地域差があるものの、都市近郊農地では特に注意が必要な状況です。
農業用水をそのまま灌漑に使い続ける場合、医薬品成分が土壌に少量ずつ蓄積していく可能性があります
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