重症急性呼吸器症候群何類か指定感染症分類と農業従事者対策

重症急性呼吸器症候群(SARS)は感染症法で何類に分類されているのでしょうか?農業従事者が知っておくべき二類感染症の特徴、届出義務、職場での感染予防対策について詳しく解説します。あなたの職場は適切な対策ができていますか?

重症急性呼吸器症候群は何類感染症か

📋 重症急性呼吸器症候群の分類について
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二類感染症に指定

SARSは感染症法で二類感染症として分類され、感染力と重篤性が高い感染症として位置付けられています

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厳格な対応が必要

入院勧告、就業制限、対物措置などの厳しい感染拡大防止措置が適用されます

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診断後直ちに届出

医師が診断した場合、直ちに保健所への届出が義務付けられています

重症急性呼吸器症候群の感染症法上の位置づけ


重症急性呼吸器症候群(SARS)は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)において、二類感染症に分類されています。正式な病名は「重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る)」と定められています。


参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/0000040509.pdf

平成15年11月に当初は一類感染症として指定されましたが、平成20年5月の感染症法改正により二類感染症へと変更されました。この分類変更は、感染症の危険性と実際の流行状況を考慮した上で行われたものです。


参考)https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~ict-w/kansen/7.16)SARS%20.pdf

二類感染症は、感染力及び罹患した場合の重篤性からみた危険性が高い感染症として定義されており、SARSの他に結核、ジフテリア、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)などが含まれます。


参考)新型コロナウイルス感染症が“2類感染症から5類感染症”へ|コ…

厚生労働省の感染症の範囲及び類型に関する公式資料(二類感染症の詳細な定義と対象疾患が記載されています)

二類感染症に該当する重症急性呼吸器症候群の特徴

SARSは2003年に世界的に流行した新型のコロナウイルスによる感染症で、中国南部の広東省を起源として2002年11月に発生し、32の地域と国にわたり8,000人を超える患者が報告されました。この感染症は発熱、悪寒、筋肉痛などのインフルエンザ様症状で始まり、2週目に非定型肺炎へ進行し、咳嗽や呼吸困難、下痢などの症状を呈します。


参考)重症急性呼吸器症候群(SARS)|国立健康危機管理研究機構 …

約20%の症例で呼吸不全となり、集中治療が必要になるほど重症化する可能性があります。潜伏期間は2から10日程度(通常5日程度)で、重症化すると急性呼吸窮迫症候群に進行し、死亡に至ることもあります。


参考)重症急性呼吸器症候群(SARS)

主な感染経路は飛沫感染および接触感染とされており、SARS患者が咳やくしゃみをした時のしぶき(飛沫)を介して感染する飛沫感染と、患者の分泌物や排泄物等に含まれるウイルスとの接触による感染が主要な経路です。飛沫は通常約1メートル程度までしか飛ばないため、それ以上密な接触をする場合に感染リスクが高まります。


参考)https://www.med.or.jp/nichinews/n150520a.html

国立感染症研究所のSARS詳細情報(病原体、臨床像、感染経路の科学的データが掲載されています)

重症急性呼吸器症候群の届出義務と医療機関の対応

二類感染症であるSARSは、医師が診断した場合、診断後直ちに最寄りの保健所へ届け出ることが法律で義務付けられています。この届出義務は感染症の早期探知と拡大防止のために極めて重要な役割を果たします。


参考)感染症発生時に医師が行う届出について - 福山市ホームページ

届出内容には患者の年齢、性別、病名、症状、診断方法、初診年月日、診断年月日、推定感染年月日、感染原因、感染経路、感染地域、診断した医師の住所及び氏名などが含まれます。全数把握対象疾患として、すべての患者について届出が必要となります。


参考)https://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/kansen/dis/todokede-bunnrui-20200327.pdf

二類感染症の患者に対しては、都道府県知事が感染のまん延を防ぐ必要があると判断した際、指定医療機関への72時間以内の入院を勧告することができます。入院勧告を拒否した場合、入院措置を命じることができ、入院措置に従わない場合や入院中に逃亡した場合には罰則が適用される可能性があります。


参考)勧告入院【ナース専科】

農業従事者が実践すべき重症急性呼吸器症候群対策

農業従事者は屋外作業が中心ですが、出荷作業や共同作業場、農協施設などでの人との接触機会があるため、適切な感染予防対策が必要です。特に飛沫感染が主要な感染経路であるSARSに対しては、人との距離の確保が重要となります。


参考)https://www.otit.go.jp/upload/docs/201202-5.pdf

基本的な感染予防対策として、以下の点を徹底することが推奨されます。


作業場の換気も重要な対策の一つです。共同作業場や事務所などの密閉空間では、定期的に窓を開けて空気を入れ替えることで、ウイルスの濃度を下げることができます。

職場における重症急性呼吸器症候群の発生時対応マニュアル

農業法人や農業協同組合などの組織では、従業員に感染症の疑いが生じた場合の対応手順を事前に定めておくことが重要です。感染症の疑いがある場合や感染が確認された場合は、基本的に出勤停止を求め、医療機関での受診を推奨することになります。

二類感染症は就業制限の対象となるため、感染が確認された従業員は法的に就業が制限されます。この期間中は適切な療養を受けることが優先され、職場復帰は保健所や医療機関の指示に従って判断します。


参考)https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/press_conference/application/pdf/20221213-4.pdf

感染者が発生した際の消毒対策も計画的に実施する必要があります。SARSの病原体に対しては、アルコール消毒や次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効とされています。感染者が使用した場所や接触した物品については、速やかに適切な方法で消毒を行います。

また、農業現場では人獣共通感染症(ズーノーシス)への注意も必要です。SARSを含む多くの新興感染症は動物由来であり、ワンヘルス(One Health)の考え方に基づいた包括的な感染症対策が求められています。動物との接触後の手洗いや、野生動物との不必要な接触を避けることも予防の一環として重要です。


参考)第4回 ベトナムのワンヘルス・アプローチ──理想と現実のギャ…

厚生労働省の職場における感染予防及び健康管理に関する情報(具体的な対策事例が掲載されています)




SARS重症急性呼吸器症候群 (Textbook感染症シリーズ)