干しネギの植え付け時期は、一般に8月下旬〜9月上旬が中心です。
この時期が選ばれる理由は、夏の高温期にいったん休ませた株が、秋の適温に入るタイミングで新しい葉を出し直しやすいからです。
一方で、同じ「8月下旬」でも圃場条件と天候で成功率が変わります。
参考)https://www.mdpi.com/2073-4395/13/4/1147/pdf?version=1681811577
特に排水が悪い畑では、ネギは湿害に弱い作物なので、降雨が続くタイミングの定植は活着の乱れ(腐敗・生育停滞)を招きやすいです。
現場の判断としては、「暦の適期」+「植え穴・植え溝が水を抱えない」+「定植後10日前後で新葉が出る状態」を揃えるのが強いです。
東北種苗の解説では、干し苗を8月下旬に植え付けると、植付けから約10日で新しい葉が伸び出してくる、とされています。
また、干しネギは九条系葉ネギ(九条太ねぎ、浅黄九条細ねぎなど)を使うのが基本線で、作型を外すと狙った反応(休眠→再生)が出にくくなります。
品種が違うと「休ませる意味」や「収穫までの伸び」が変わるため、まずは九条系で手順を固定し、地域に合わせて微調整するのが安全です。
干しネギの核心は「苗を干す工程」で、乾燥期間の設計が植え付け時期を決めます。
タキイのQ&Aでは、かけ干し(干しネギ)の期間は12~13日としつつ、秋まきでは苗齢が進んでいるため7月〜8月中旬、春まきでは8月中旬に行う、と説明されています。
同じく東北種苗のビギナーズマニュアルでは、7月下旬に掘り上げて雨の当たらない風通しの良い所で乾燥させ、8月下旬に枯れた葉を取り除いて再び畑に植えつける、という流れで、乾燥は「約1カ月の間」と書かれています。
ここが混乱ポイントで、現場では「2週間でいける」と「1カ月干す」が混在しますが、作型(苗の充実度・掘り上げ時期・乾燥環境)で必要日数が変わると理解すると整理しやすいです。
参考)http://yujs.yu.ac.ir/jisr/files/site1/user_files_dbdb9d/rfarhoudi-A-10-225-1-624b2e4.pdf
乾燥工程の具体的手順として、タキイは「抜き取って土を払い、畝の上で2~3日の日干し→50~70本を束ねて吊るす→10日ほど乾燥→茎を10cmくらい残して切る→枯れ葉や根をむしり取る」としています。
つまり“干す”は放置ではなく、日干しと陰干し(吊り干し)の組み合わせで水分を段階的に落とし、植え付け直前に整姿して苗質を揃える作業です。
乾燥しすぎると何が起きるか。見た目は「よく乾いた良苗」に見えても、植え付け後の根出しが遅れ、初期の草勢が揃わず、追肥・土寄せのタイミングも崩れます。
逆に乾燥が足りないと、株元が締まり切らないまま高温多湿に戻すことになり、腐敗・軟腐様のトラブルが出やすくなります(特に排水不良圃場)。
ここで意外と効くのが「束の太さ」です。タキイは50~70本をひとまとめにして吊るすと書いており、束が太いほど内部が乾きにくく、外側だけ乾いて“乾いた気”になりやすいからです。
乾燥ムラを避けるなら、束のサイズを揃え、吊るす場所の風当たり(軒下・雨除け・通風)を均一化し、数回向きを変えると失敗が減ります。
参考:干しネギの休眠と、かけ干し(干しネギ)の具体手順(2~3日の日干し→吊るし→10日乾燥→整姿)が書かれています。
https://shop.takii.co.jp/qa/detail/980
植え付け時期の精度を上げるには、「植える苗の規格」を決めてから逆算するのが実務的です。
東北種苗は、8月下旬に枯れた葉を取り除き、長さを20cm位に切り揃えて再び畑に植えつける、と明記しています。
タキイも植え付け前に「枯れ葉や根をむしり取り」、鱗茎が締まって皮につやのあるものだけを苗にして植える、としており、苗選別が工程に入っています。
ここを省略すると、乾燥が不均一な苗や、株元が痩せた苗まで一緒に植わり、圃場の“立ち上がり”がバラついて管理コストが跳ね上がります。
植え付け間隔も、作業性と収量に効きます。東北種苗は干しネギの植え付け間隔を15~20cmとしています。
密植に寄せれば早期のボリュームは出ますが、風通しが落ちて病害が出やすくなるので、湿害に弱い性質を前提に、排水・通風とセットで考えるべきです。
また、植え付け直後の観察ポイントを決めておくと、時期のズレを早期に検知できます。
東北種苗の説明どおり、植付けから約10日で新葉が伸び出すのが一つの基準なので、10日経っても動きが鈍い場合は、乾燥過多・植え傷み・過湿(根の酸欠)など原因を切り分けます。
小技としては、植え付け前日に苗を一気に整姿せず、半日〜1日単位で作業量を区切るのが有効です。
理由は単純で、整姿後の苗は乾きやすく、炎天下で置くと状態が変わってしまうためで、結果として「同じ日に植えたのに活着が揃わない」を減らせます。
参考:干しネギ栽培の「7月下旬掘り上げ→乾燥→8月下旬に枯れ葉除去・20cmに切り揃え→再定植→約10日で新葉」の一連がまとまっています。
https://www.tohokuseed.co.jp/beginners/negi.html
植え付け時期の目的は、定植後の管理作業(追肥・土寄せ)に“無理のない気象条件”を当てることでもあります。
東北種苗では、土寄せは3~4週間ごとに追肥しながら行い、栽培期間中4回程度としつつ、「真夏にはネギの根が傷むので行ってはいけない」と注意しています。
この注意は、干しネギと相性が良いです。
なぜなら、干しネギは夏の高温期に休ませて、盆過ぎ〜初秋に植え直す設計なので、土寄せや追肥の山場を“真夏の根傷みゾーン”から外しやすいからです。
実務でよくある失敗は、植え付け時期を遅らせた結果、初期生育の遅れを取り戻そうとして、まだ暑い時期に土寄せ・追肥を詰め込み、根を痛めてしまうパターンです。
植え付けが遅れた場合は、作業を前倒しで詰めるのではなく、追肥量を守りつつ回数とタイミングを見直し、根を守って“揃える”ことを優先した方が収穫の質が上がります。
さらに、ネギは湿害に弱いので、土寄せは単に白身を伸ばす作業ではなく、株元の通気性と排水性を整える意味も持ちます。
定植が8月下旬〜9月上旬に寄ると、秋雨前線の影響を受ける年もあるため、畝の高さ・通路の排水・溝の水抜けを先に決めておくと、植え付け時期のブレを吸収できます。
検索上位の「いつ植えるか」だけだと、現場で迷うのは“その年の苗が今どの状態か”です。
そこで独自視点として、植え付け時期を「カレンダー」ではなく「休眠が仕上がった苗のサイン」で決める考え方を提案します。
タキイは、ネギが夏に高温(30℃超)になると地上部の生長が衰え、地下部(鱗茎)が太って養分を貯え、秋の適温期まで活動を停止(休眠)すると説明しています。
また干し苗として使う個体の条件を「鱗茎がよくしまっていて、皮につやのあるもの」としており、ここが“休眠の出来”を見抜くヒントになります。
つまり、植え付け時期の最終判断は「8月下旬だから植える」ではなく、「鱗茎が締まり、皮つやが出て、枯れ葉・根の整理後に規格が揃ったから植える」にするとブレに強いです。
同じ圃場でも、日当たりや土質で乾燥の進みが違うため、苗の仕上がりサインを基準にする方が、活着と新葉の出方が揃いやすくなります。
意外と見落とされがちなのが、干しネギは「枯れているように見えるが、休眠中で枯れているわけではない」という点です。
この認識があると、植え付け直後に芽が動かなくても慌てにくく、10日程度の猶予を持って観察し、過湿や乾燥過多など“手当てすべき異常”だけを拾えるようになります。
最後に、植え付け時期を決める実用チェックを置きます。
以上を押さえると、「干しネギ 植え付け時期」は単なる月日ではなく、乾燥工程と苗質、そして植え付け後の管理まで一本でつながります。