土壌pHを「比較できる数字」にしたいなら、まず押さえるべきは“混ぜ方の規格”です。土壌pHは、土壌と溶液の比率を1:2.5にした懸濁液(混ぜた液)の上清(上澄み)のpHを電位差(電極)で測る、という考え方が公的な手引書にも明確に書かれています。
この「1:2.5」は、家庭菜園の感覚で水を足すよりもはるかに重要で、水の量が変わると“同じ畑の土でも”別物の数字になります。
実務的な手順イメージは次の通りです(H2O法の一例)。
参考)https://www.env.go.jp/air/acidrain/man/soil_veget/full.pdf
参考)https://www.kaneyama.co.jp/image/technical_data/technical_sheet_03.pdf
この方法の強みは、手順が揃えば「前回の自分」「別の圃場」「別の人」との比較がしやすいことです。逆に弱点は、作業がやや面倒で、現場で連続測定する場合はサンプル数が増えるほど手間が効いてくる点です。
参考:土壌pHの「土:溶液 1:2.5」という前提が明記されている(原理の部分)
環境省:土壌・植生モニタリング手引書(pHの原理と1:2.5の考え方)
針を土に挿して読むタイプは、スピードが武器です。特に広い圃場で「酸性に振れている帯があるか」をざっくり掴む用途だと、上澄み方式よりもフットワークが勝ちます。
ただしダイレクト測定は、土の水分状態に結果が引っ張られやすく、乾燥していると電極面が密着せず針が動かない(または7付近から動かない)といった典型的なトラブルが出ます。
現場での“事故りやすいポイント”は、水分です。メーカーのQ&Aでも、乾燥土では金属電極面に密着しないため、ある程度の水分が必要だと明確に案内されています。
参考)土壌酸度(pH)計を土に挿しても針が7から動きません。使い方…
そのため、次の運用にすると再現性が上がります。
ダイレクト測定は「絶対値を当てに行く」より、「圃場内の相対比較」「怪しい場所のスクリーニング」に向きます。上澄み方式の測定(1:2.5)と役割分担させると、作業時間と精度のバランスが取りやすくなります。
pH測定器で最も差が出るのは、実は“機種”より校正です。pHは電極の状態でズレるため、標準液(緩衝液)を使った校正を前提に運用しないと、現場で得た数字が施肥判断に使えなくなります。
校正の基本は「少なくとも2点」です。メトラー・トレドのFAQでも、pH4.01と7.00での2点校正(または3点校正)が可能だと示されています。
参考)https://www.mt.com/jp/ja/home/library/FAQ/laboratory-division/jp-ph-faq.html
また、取扱説明書系の資料では、pH7付近の校正(ゼロ点)を推奨しつつ、2点目は“ゼロ点から2pH以上離れた緩衝液”を使うとよい、という実務的な条件が明記されています。
参考)http://www.tactec.jp/download/hamilton_dl/ba10015_ph_electrode_validation_calibration.pdf
現場でのおすすめの考え方は次の通りです。
参考)https://sooki.co.jp/upload/surveying_items/pdf/manual_pdf_036019.pdf
「校正は面倒」という理由で省くと、土壌改良材(石灰など)の投入判断を誤るリスクが上がります。pHは0.5ズレるだけでも、作物の吸収環境や肥効の解釈が変わり得るため、“測る前に校正”を作業手順に組み込むのが結局いちばん安いです。
参考:2点校正・3点校正の考え方がまとまっている(校正の項目)
メトラー・トレド:pHメータ FAQ(2点校正/3点校正の例)
「おすすめ」を決める最短ルートは、用途を分けることです。土壌pHは、測定手順(上澄みかダイレクトか)で前提が違い、同じ圃場でも数字が揺れます。
ここを整理して選ぶと、買ってから後悔しにくくなります。
用途別の考え方(農業従事者向けの現実解)は次の通りです。
また、意外に見落とされるのが「pH(H2O)とpH(KCl)の違い」です。KCl溶液を使うpH(KCl)は、土壌の交換性アルミニウム等の影響が出やすく、pH(H2O)より0.5〜1程度低い値が出ることがあると、国内の技術情報でも説明されています。
参考)https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001982.html
つまり、同じ“pH”でも測定法が違うとズレるので、「前回と同じ方法・同じ比率・同じ校正条件」で揃えることが、機種比較より先に効きます。
土壌pHを測る目的は「数字を出すこと」ではなく、「肥料と根の環境を外さないこと」です。酸性に偏りすぎると、鉄やアルミニウムが溶け出してリン酸と結合し、作物がリン酸を吸収しにくくなる、という現象が整理されています。
この状態では、リン酸を多く入れても肥効が出にくい(固定される)ため、コストが“土に消える”形になりがちです。
さらに、酸性土壌ではアルミニウムが根に悪影響を与える文脈もあり、腐植酸などの有機物がpH変化の緩衝に寄与する、といった資材選択のヒントも示されています。
参考)アルミニウムは根の天敵?酸性土壌における影響について | コ…
ここが独自視点として重要なのは、「pH矯正=石灰」だけで単純化すると、リン酸の使い方や有機物投入の意味を取りこぼす点です。pH測定器を“おすすめ”するなら、測定結果をリン酸施肥や根の状態に接続できる運用(記録と再測定)がセットで必要になります。
現場で役立つ運用例を1つ挙げます。
この流れなら、測定器が「買ったけど使わない道具」になりにくく、数字が意思決定に変わります。

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