善玉コレステロールはHDLコレステロールのことで、一般的な健診の説明では「40mg/dL以上」が基準として示されることが多い項目です。
一方で、数値が“高ければ高いほど常に良い”とは言い切れず、極端な高値は体質や疾患の影響が疑われるため、他の検査項目と合わせて評価されます。
特に「HDLが著明に増加する」体質としてCETP欠損症が知られており、ホモ接合体で150〜250mg/dL、ヘテロ接合体で50〜150mg/dLを呈することがある、と難病情報センターの解説に記載があります。
現場での実用的な見方としては、HDLが高いこと自体よりも、LDLや中性脂肪、肝機能、血圧・血糖、家族歴がどうなっているかで「生活改善の優先順位」が変わります。
また健診は、前日の飲酒や睡眠、直近の体重変動でも振れやすいので、単発の数値で不安になり過ぎず、再検や追加採血で“同じ傾向が続くか”を見るのが現実的です。
HDLが高くなる原因としては、遺伝的な要因だけでなく、肝胆道系の疾患、過度の飲酒、薬の影響などが挙げられます。
例えば長期間にわたる大量飲酒はCETPのはたらきを低下させ、HDL上昇を招くことがあると解説されています。
また薬の副作用でもHDLが上がる場合があり、フィブラート系、ニコチン酸、スタチン系など脂質関連の薬に加え、エストロゲン製剤、インスリン、ステロイドホルモンなどにもHDLを上げる作用があるとされています。
肝臓・胆管の炎症(例:原発性胆汁性胆管炎)では、胆汁によるコレステロール排泄がうまくいかず血中コレステロールが上昇することがある、という説明もあります。
農業従事者の場合、「作業後の晩酌が毎日」「繁忙期だけ量が増える」など季節でパターンが変わりやすいので、検査前の数週間の生活ログ(飲酒量、睡眠、体重、間食)をメモして持参すると医療者側の判断材料になります。
CETP欠損症は、1980年代に日本で発見された常染色体性優性遺伝形式をとる脂質代謝異常症で、HDLコレステロールが著明に増加する一方、LDLの質的異常を来すとされています。
疫学として、ホモ接合体が数万人に一人、ヘテロ接合体が50人に一人と推定される、という記載があります。
CETPはHDLのコレステロールをVLDLやLDLに転送し、HDLやLDLの量や質を調整しているタンパクで、欠損するとHDLが著増しLDLが質的に変化することが起こるとされています。
ここが意外に重要で、「HDLが高い=血管が必ずきれい」という単純図式が崩れる点です。
難病情報センターでは、本症が集積している地域の調査で、HDL値と虚血性心電図変化の間にU字型の関係が報告されたことがある一方で、心血管病合併症との関係は結論が出ていない論争点だとも述べられています。
つまり、極端にHDLが高い人ほど「一度は原因を確認する価値がある」領域で、体質なら体質で、他のリスク(血圧、血糖、喫煙、LDL管理)に軸足を移す判断がしやすくなります。
HDLを増やす方向の食事として、オメガ3脂肪酸を多く含む魚(サバ、サンマ、イワシなど)、オリーブオイル、ナッツ類、大豆製品などを積極的に摂ることが提案されています。
同じく生活習慣の観点では、トランス脂肪酸を避けることもポイントとして挙げられています。
農業の食生活で起こりやすいのは「時間がなくて揚げ物・菓子パンで済ませる日が続く」ことなので、脂質の“質”を少し変えるだけでも、総量制限より実装しやすいケースがあります。
実務的な置き換え例(無理のない順)を挙げます。
参考)心臓や血管の健康のために!HDLコレステロールを上げる7つの…
ただし、HDLが“すでに高い”人は「もっとHDLを上げる」よりも、LDL・中性脂肪・肝機能・飲酒の影響を同時に整えるほうが、健康リスクの全体最適になりやすい点を押さえてください。
HDLを上げる方法として「定期的な有酸素運動」が挙げられ、生活習慣(禁煙、適正体重、ストレス管理)と合わせて考える枠組みが示されています。
一方で農業従事者は、日常的に体を動かしているため「運動は十分」と思いやすいのですが、農作業は“長時間の低〜中強度+前かがみ+偏った筋使用”になりがちで、心肺に一定刺激を入れる有酸素運動とは質が違う場合があります。
そのため、健診結果を改善したい目的なら、作業とは別に「息が弾むが会話はできる程度」の連続運動を短時間でも入れるほうが狙いが明確になります。
農繁期に現実的なやり方は、時間を作るより“既にある行動にくっつける”ことです。
さらに落とし穴として、繁忙期の“疲労→睡眠不足→飲酒で寝付く”の流れができると、飲酒がHDLを押し上げつつ健康リスクは別方向に増える可能性があります。
HDLが多い結果が出たときほど、「飲酒量」「肝機能」「中性脂肪」も同時に見直し、必要なら医療機関で追加評価するのが安全です。
高HDLの背景にCETP欠損症が関わる可能性や、飲酒がCETPに影響し得る点は、一般向け記事では見落とされがちな論点なので、家族にも同様の傾向がある場合は特に相談材料になります。
原発性胆汁性胆管炎や薬の影響など、HDL高値の原因が生活習慣だけとは限らないことの確認にも役立ちます。
HDLコレステロールが高くなる原因(病気・飲酒・薬)
日本で発見されたCETP欠損症の概要、疫学、HDL値の範囲、飲酒との関係が整理されています。
難病情報センター:CETP欠損症

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