トップジンMペースト200gの剪定後の使い方と腐らん病への効果

トップジンMペースト200gは剪定後の切り口ケアに必須?腐らん病を防ぐ正しい使い方や、カルスメイトとの成分比較、雨天時の注意点を徹底解説。あなたの果樹を枯らさないための塗布タイミングとは?

トップジンMペースト200g

トップジンMペースト200gの要点
🛡️
強力な殺菌バリア

チオファネートメチルが傷口の菌を殺菌し侵入を防ぐ

🌳
カルス形成を促進

剪定後の切り口の回復(ゆ合)を早めて木を守る

💧
耐雨性と視認性

オレンジ色で塗った場所が一目で分かり、雨にも強い

トップジンMペースト200gの剪定後の効果的な使い方と塗布のコツ


トップジンMペースト200gは、単に切り口に塗るだけでなく、その「塗るタイミング」と「下処理」が効果を最大化させる鍵となります。多くの農業従事者やガーデナーが日常的に使用していますが、実は間違った使い方をして効果を半減させているケースも少なくありません。ここでは、植物の生理学的な視点に基づいた、最も効果的な手順を解説します。


1. 切り口の完全な平滑化(重要)
剪定バサミで枝を切った直後の切り口は、肉眼では平らに見えても、微細な凹凸や樹皮の剥がれが生じています。これが病原菌の温床となります。


  • 剪定ナイフでの仕上げ: 剪定バサミで切った後、非常によく切れる剪定ナイフ(またはカッター)で切り口の縁(形成層周辺)を滑らかに削ぎ直してください。「バリ」が残っていると、そこからカルス(修復組織)が巻き込みにくくなり、癒合が遅れます。
  • 形成層の露出: 樹皮と木部の間にある緑色のライン(形成層)が綺麗に露出していることを確認します。ここが細胞分裂の起点となり、傷口を塞ぐ新しい組織が作られます。

2. 塗布のタイミングと厚さ
トップジンMペーストは剪定直後に塗布することで、病原菌の侵入を防ぎます。 時間が空くと、空気中の雑菌が切り口に付着してしまうため、「切ったらすぐ塗る」が鉄則です。
参考)【公式】トップジンMペースト-剪定時の切り口ゆ合促進に

  • 厚塗りしすぎない: チューブから直接出した後、盛り上げるように分厚く塗る必要はありません。均一な膜ができれば十分です。厚すぎると乾燥に時間がかかり、かえって雨で流亡するリスクが高まります。
  • 刷毛(ハケ)の代用テクニック: 専用の刷毛を用意するのも良いですが、ペーストは粘度があり、使用後に洗うのが手間になります。現場でよく使われる裏技として、「牛乳パックを短冊状に切ったもの」を使い捨てのヘラとして利用する方法があります。適度なコシがあり、使用後はそのまま捨てられるため衛生的で効率的です。

3. 乾燥時間の確保
塗布後は、表面が乾燥して耐雨性を持つ被膜が形成されるまで待つ必要があります。通常は1〜2時間程度で表面が乾きますが、完全に硬化するには半日程度かかります。夕方の作業で夜露に濡れる可能性がある場合や、降雨直前の作業は避けるべきです。


トップジンMペースト200gで防ぐ果樹の腐らん病と殺菌成分の仕組み

トップジンMペースト200gが他の癒合剤と決定的に異なる点は、「殺菌剤(農薬)」が含まれているという点です。単なる物理的な保護(絆創膏のような役割)だけでなく、積極的に病原菌を叩く機能を持っています。特に果樹栽培において天敵となる「腐らん病」対策には欠かせない存在です。


有効成分「チオファネートメチル」の働き
本製品には、有効成分としてチオファネートメチルが3.0%含まれています。この成分は、植物体や菌体内に入るとMBC(カルベンダジム)という物質に変化します。


対象となる主な病気と適用樹木
特に以下の病気に対して、農薬登録があり高い効果が認められています。


  • りんごの腐らん病: 枝幹に発生し、樹皮が腐敗してアルコール臭を放つ致命的な病気です。
  • なしの胴枯病: 枝や幹が枯れ込み、果実の品質低下や枯死を招きます。
  • さくらのてんぐ巣病: 枝が異常に密生して花が咲かなくなる病気で、切り口からの感染を防ぐことが重要です。

治療的アプローチ(外科手術)
予防だけでなく、発病してしまった部分の治療にも使われます。病患部を見つけたら、健全部を含めて大きめに削り取り、その傷跡にトップジンMペーストを塗り込みます。 この「削り取って塗る」という外科的な処置において、殺菌成分が含まれていることが非常に重要になります。単なる癒合剤では、残存した菌が内部で再繁殖する恐れがあるためです。


参考)おすすめ癒合剤を独自調査で厳選!剪定した木を守れる癒合剤の使…

トップジンMペースト200gと他の癒合剤の成分比較と使い分け

ホームセンターや農薬店には「トップジンMペースト」以外にも、「カルスメイト」や「バッチレート」などの癒合剤が並んでおり、どれを選べばよいか迷うことがあります。これらは似て非なるものであり、「殺菌剤の有無」で明確に使い分ける必要があります。以下の比較表を参考にしてください。


特徴 トップジンMペースト カルスメイト カットパスター
主成分 酢酸ビニル樹脂 + 殺菌剤 酢酸ビニル樹脂 + 木質粉 ろう(ワックス) + 殺菌剤
有効成分 チオファネートメチル なし チオファネートメチル等
役割 殺菌 + 保護 + 癒合促進 保護 + 癒合促進 殺菌 + 保護
質感 橙色のペースト(乾くと膜状) 茶色のペースト(固まると木肌に近い) 粘土状(手で練って貼る)
用途 果樹、病気リスクの高い木、重要な剪定 観葉植物、盆栽、病気に強い庭木 盆栽、松柏類(審美性重視)
メリット 病気の感染を化学的に防ぐ 価格が安い、目立ちにくい 傷口が深くても埋めやすい
デメリット オレンジ色が目立つ、衣服につくと落ちない 殺菌効果はない 手間がかかる、高価

具体的な使い分けの基準

  1. 果樹・桜・病気に弱い木の場合:

    迷わず「トップジンMペースト」を選んでください。サクラやリンゴなど、切り口から菌が入りやすく、一度感染すると致命傷になる樹木には、殺菌成分が必須です。

    参考)トップジンMペーストとカルスメイトの使い分け

  2. 観葉植物・ゴムの木・健康な庭木の場合:

    室内で育てる観葉植物や、強健な庭木の小枝を切る程度であれば、殺菌剤を含まない「カルスメイト」で十分です。色が茶色で目立たないため、美観を損ねません。


  3. 盆栽・松の場合:

    盆栽の世界では、傷口を物理的に厚く覆ってカルス(肉巻き)を綺麗に作るために、粘土状の「カットパスター」などが好まれます。


注意点: トップジンMペーストの鮮やかなオレンジ色は、「塗った場所が一目でわかる」という管理者向けのメリットですが、庭木としての美観を気にする施主様がいる場合は注意が必要です。その場合、数ヶ月経って色が退色するのを待つか、目立たない裏側に限定して使用するなどの配慮が求められます。

トップジンMペースト200gの意外なデメリットと耐性菌リスクへの対策

トップジンMペースト200gは万能に見えますが、専門的な視点から見るといくつかのデメリットやリスクが存在します。これらを理解し、適切に管理することがプロの技術です。


1. ベンズイミダゾール系耐性菌のリスク
トップジンMの有効成分であるチオファネートメチルは、「ベンズイミダゾール系」という薬剤グループに属します。この系統の薬剤は、非常に効果が高い反面、「耐性菌(薬剤が効かない菌)」が発生しやすいことで知られています。これを防ぐためには、同じ系統の薬剤ばかりを連続して使用しないことが重要です。

参考)https://www.greenjapan.co.jp/topjinm_s.htm

  • ローテーション防除の推奨: もし果樹園全体で、スプレー剤として「トップジンM水和剤」や「ベンレート水和剤」を頻繁に散布している場合、切り口のケアにもトップジンMペーストを使い続けると、選抜圧がかかり、耐性菌が増える可能性があります。
  • 対策: 地域の防除暦(カレンダー)を確認し、もしベンズイミダゾール系の使用回数が制限に達している場合は、銅剤など異なる作用機序を持つ塗布剤への切り替えや、単なる被覆資材(殺菌剤なし)との併用を検討する高度な判断も必要になります。

2. 衣服への付着と除去の難しさ
現場でよくあるトラブルが、作業服への付着です。トップジンMペーストは「耐雨性」が高められているため、一度繊維に入り込んで乾くと、洗濯しても極めて落ちにくいという特性があります。鮮やかなオレンジ色のシミが残ってしまいます。


  • 対策: 汚れても良い服で作業するのは当然ですが、高い位置の枝を塗る際は、液だれが顔や袖に落ちてこないよう、立ち位置を工夫する必要があります。また、皮膚に付いた場合も石鹸で念入りに洗う必要があります。眼に入った場合は直ちに水洗いし、医師の手当てを受けてください。

3. 冬季の粘度変化
寒冷地での剪定作業(特に冬場のリンゴ剪定など)では、気温低下によりペーストの粘度が高くなり、チューブから出しにくくなることがあります。無理に絞り出そうとするとチューブが破裂することがあるため、作業前に懐に入れて人肌で温めておくなどの工夫が役立ちます。


トップジンMペースト200gの適切な保管方法と使用期限の目安

トップジンMペースト200gを購入したものの、一度に使い切れずに余らせてしまうことはよくあります。翌シーズンも効果的に使用するための保管テクニックを紹介します。


分離と固化を防ぐ
長期間放置すると、成分が分離して水分が蒸発し、チューブ内で固まってしまうことがあります。


  • キャップの清掃: 使用後は、キャップのネジ山やチューブの口元に付着したペーストを完全に拭き取ってください。ここにペーストが残っていると、隙間ができて空気が入り、中身全体が硬化する原因になります。チューブ入りは手軽ですが、密閉が不十分だと次回使えなくなります。

    参考)https://www.wabararose.com/products/paste_100g

  • 冷暗所での保管: 直射日光が当たる場所や高温になる車内には放置しないでください。成分の分解が進む可能性があります。食品庫のような冷暗所が最適ですが、誤飲を防ぐため食品とは明確に区別し、小児の手の届かない場所に鍵をかけて保管するのが原則です。

使用期限と状態の確認
農薬には有効期限(最終有効年月)が記載されています。期限を過ぎたものは、法的に販売できなくなるだけでなく、効力が低下していたり、物理的な性状が変化(分離・固化)していたりする可能性があります。


  • 使う前のチェック: 久しぶりに使う場合は、少し絞り出してみて、分離していないか、色が変色していないか確認してください。極端に水っぽくなっていたり、カチカチで塗れない場合は、無理に使わず新しいものを購入しましょう。劣化した薬剤を使用しても、十分な被膜ができず、期待する殺菌効果が得られないばかりか、大事な樹木を危険に晒すことになります。

環境への配慮と廃棄
使い切った後の空容器は、そのまま一般ゴミとして捨てず、地域の廃棄物処理基準に従って処理してください。また、河川や湖沼、養魚池などに薬剤が飛散・流入しないよう注意が必要です。器具を洗った排水も、直接水路に流さないよう配慮しましょう。


以上のポイントを押さえ、トップジンMペースト200gを正しく使用することで、大切な樹木を病気から守り、長く健全な状態を保つことができます。剪定は「切って終わり」ではなく、「癒合して完了」する作業であることを意識しましょう。




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