水準器水平器違いと種類選び方精度比較

農作業やビニールハウス設置に欠かせない水準器と水平器。似ているようで違うこの2つの測定工具は、どのように使い分ければよいのでしょうか?

水準器と水平器の違い

水準器と水平器の主な違い
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名称の違い

呼び方が異なるだけで基本的に同じ測定工具を指すことが多い

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測定範囲

水準器は狭い範囲の簡易測定、水平器は広範囲の精密測定に適する

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使用現場

水平器は建築・配管・測量などプロの現場で、水準器はDIYや簡易チェックで活躍

水準器と水平器は、どちらも水平や傾きを測定する道具として使用されますが、厳密には機能面で違いがあります。両者とも「レベル」や「レベルゲージ」とも呼ばれ、基本的な原理は同じです。水準器は狭い範囲での水平を簡易的に確認する際によく使われるのに対し、水平器は建築や配管、土木や測量などの現場で精密に高低差を確認する際に使用されることが多いです。

 

参考)水平器の使い方を種類別に紹介!水準器との違いや選び方も解説

実際の現場では、この2つの道具は明確に区別されずに使われることもあります。一般的に水平器は水平面の測定に特化した器具を指し、気泡管を使って水平状態を確認します。一方、水準器はより広義の測定器具を指し、水平だけでなく垂直や任意の角度も測定できる多機能なものも含まれる場合があります。農業分野では、ビニールハウスの建設や農地の整地作業において、これらの測定工具が重要な役割を果たしています。

 

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水準器の基本構造と仕組み

 

水準器の最も一般的なタイプは気泡管式で、ガラス管の中に液体(アルコールやエーテルなど)と気泡が封入されています。このガラス管は「太鼓型」と呼ばれる球面に仕上げられており、測定基準線と平行に配置されています。気泡が水平度に応じて管内を移動し、気泡が中心の標線に来たときに水平を示す仕組みです。

 

参考)気泡管とは?|水平器の知識水平器・水準器・レベルのエビス

気泡管には複数の標線(基準線)が入っており、最も内側の標線の間の中央に気泡があれば、その面は水平または鉛直に対して平行であることになります。標線の本数には4本線や6本線があり、6本線タイプでは内側から2本目の標線に気泡が達したときに1/100勾配(1分勾配)を示すなど、勾配測定にも活用できます。この気泡管方式は電源が不要で耐久性が高く、価格も手頃なため、DIY初心者からプロまで幅広く愛用されています。

 

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水平器の種類と特徴比較

水平器には主に以下の種類があります。まず最も一般的なのが気泡管式水平器で、平型と角型の2つのタイプに分かれます。平型水平器は底面を測定物に密着させて使用するのに対し、角型水平器では底面、上面、両側面すべてを測定面として使用できます。一般的な気泡管水平器は水平と垂直の2本、または水平・垂直・45度の3本の気泡管を備えたものが多く、土木工事向けには30度・45度・60度の気泡管も備えた5本タイプも市販されています。

 

参考)https://jp.misumi-ec.com/pr/featured_kw/level/index.html

デジタル水平器は、LCD画面に角度が数値表示されるタイプで、狭い場所でも測定でき、どんな角度も正確に測定できる利点があります。レーザー水平器(レーザーレベル)は、レーザーポイントを内蔵し、数十メートル離れた場所の水平出しが可能です。建築現場では時短で水平を測りたい場合にレーザー墨出し器が推奨されており、従来の水平器よりも正確性や迅速さで有利な場面が多くなっています。農業分野では、ビニールハウス建設時に吊り下げ式やマグネット付きタイプ、広範囲測定にはレーザー式が使われます。

 

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水平器の精度規格と選び方基準

水平器の精度はJIS規格により「A級」と「B級」に区分されており、A級の方が高精度です。A級の水平器は精度が高いため、検査機関での測定など厳密な正確性が求められる作業にも対応可能ですが、10万円以上する高額なものが多く、一般的な作業や家庭でのDIYであればB級で十分です。土木やDIYなど一般的な使用用途であれば、B級やそれ以下の水平器で問題ありません。

 

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水平器の「感度」もJIS規格によって一種(0.02mm/m)、二種(0.05mm/m)、三種(0.1mm/m)に分けられており、一種の0.02とは水平器から1メートル先で0.02ミリメートルの高低差があれば気泡が反応することを意味します。用途別の選び方としては、精密機械の据付や検査には一種(0.02mm/m)のA級、工場の設備設置や調整には二種(0.05mm/m)のA級またはB級、建築・DIY・棚設置などには三種(0.1mm/m)のB級でも十分対応できます。

 

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農業現場における水準器活用法

農業分野では、水準器がビニールハウスの建設や農地整地において重要な役割を果たしています。ビニールハウスを建設する際、水平が取れていないと雨水が適切に流れなかったり、構造的な歪みが生じたりする問題が発生します。水平器と水糸だけで水平を出す方法は、新規就農者や専用機材を借りにくい環境でも実践できる実用的な技術です。

 

実際の作業では、まず基準点に水平器を置いて水平を確認し、そこから水糸を張って広範囲の水平基準線を作ります。吊り下げ式水平器は水糸の水平確認に適しており、マグネット付きタイプはパイプの水平・垂直確認に便利です。広範囲の測定や高精度が求められる場合はレーザー式が効率的で、プール育苗の床を作る際にも電子水もり管が活用されています。

 

参考)ビニールハウスDIY 水平の取り方と道具の紹介

農業機械の据付や農地の測量にも水準器は欠かせません。農林水産省の土壌分析法でも、土壌硬度を測定する円錐貫入計のロッドが垂直であるかを確認するために水準器が使用されており、農業現場での測定精度の重要性が示されています。傾斜地での栽培管理や排水計画を立てる際にも、正確な傾斜測定が作物の生育に直接影響するため、適切な水準器の使用が求められます。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/ibaraki01-4.pdf

水準器のメンテナンスと保管方法

水準器を長持ちさせるには、適切なメンテナンスと保管が不可欠です。使用後は必ずホコリや汚れ、水分を布で拭き取り、防錆油を薄く塗布することが推奨されています。特に測定面は精度に直接影響するため、防錆処理を施して大切に保護する必要があります。

 

参考)新潟精機ブログ|【基礎知識】測定工具の長持ち保管術|新潟精機…

保管時には直射日光や温度差の激しい場所を避け、水平または垂直に立てて保管するのが基本です。気温や湿度の変化により材質の伸び縮みが発生し、精度が狂う原因となるため、温度管理された場所での保管が理想的です。水準器が狂う最も大きな原因は落下による衝撃であり、取り扱いには細腻な注意が必要です。精密水準器の場合は振動を避けて慎重に扱い、定期的にゼロ点の確認と調整を行うことで、測定精度を維持できます。

 

参考)水準器の特徴と使い方 【通販モノタロウ】

気泡管の構造と標線の読み方について詳しく解説されているエビスの公式サイト
水準器の特徴と使い方の基礎知識が学べるモノタロウの測定工具講座

 

 


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