酸素濃縮器(PSA方式)の中核は「空気から窒素を取り除き、酸素を相対的に濃くする」ことです。空気は主に窒素が多く酸素は約2割程度ですが、PSA(Pressure Swing Adsorption:圧力スイング吸着)では“圧力を上げると窒素をよく吸着する材料”を使い、窒素だけを捕まえて酸素を通します。
仕組みの全体像は、かなり工業的で、考え方としては「ろ過」より「選択吸着の繰り返し」に近いです。基本は次のサイクルです。
✅ PSA方式の基本サイクル(イメージ)
・① 空気を取り込む:フィルターを通して外気を吸い込みます。
・② 圧縮(加圧):コンプレッサーで空気を加圧し、吸着しやすい条件を作ります。
・③ 吸着:ゼオライト(分子ふるい)を詰めた塔(シリンダー)に加圧空気を通し、窒素を主に吸着させます(酸素は通過側に出やすい)。
・④ 生成・平滑化:酸素側のガスを取り出し、タンク等で脈動をならして供給を安定させます。
・⑤ 減圧・再生:吸着塔の圧力を下げて、捕まえていた窒素を放出(脱着)し、吸着剤を再生します。
・⑥ 交互運転:塔を2本(2塔式)用意し、「一方が吸着している間にもう一方は再生」を交互に行うことで連続供給します。
この“2塔式で交互に加圧・減圧を回す”説明は、医療分野の解説でも工業装置の説明でも共通して登場します。例えば在宅酸素装置の解説でも、ゼオライトで窒素を吸着し、加圧・減圧の繰り返しで継続的に酸素を濃縮する流れが説明されています。参考:酸素濃縮器の仕組み
また、PSAの原理自体は、吸着塔に混合ガスを入れて「加圧(吸着)→減圧(脱着)」を繰り返すという一般原理として整理されています。参考:PSAとは
「なぜ窒素だけを吸着できるのか?」が、仕組み理解の最重要ポイントです。結論から言うと、ゼオライト(沸石)が“窒素を選択的に吸着しやすい”性質を持つためです。PSA方式では、ゼオライトを内張り(または充填)したシリンダーに加圧空気を送り、窒素を吸着させて酸素を取り出します。参考:酸素濃縮の方法(PSA方式)
現場感のある説明に置き換えると、ゼオライトは「窒素を引き寄せて抱え込むスポンジ」に近く、しかも加圧すると抱え込みが強くなります。圧力を上げた状態では窒素が吸着剤側に取られ、相対的に酸素が多いガスが出口側に出てくる、という流れです。
ここで誤解されやすい点があります。
⚠️「分子サイズの差で“ふるい分け”しているだけ」ではない
ゼオライトが“分子ふるい”と呼ばれることから、酸素分子と窒素分子の大きさの差だけで分離しているように感じますが、実務的には「吸着親和性(吸着しやすさ)の差」が重要になります。材料・条件によって支配的な要因が変わるため、“サイズだけ”で片付けると設計の肝を落とします。
さらに、吸着剤は永久に窒素を抱え込むわけではなく、減圧すると放出します。この“再生”があるから、ボンベを交換せずに連続供給できます。
意外と見落とされがちなポイントとして、吸着剤の状態(特に水分)が性能に影響しやすい点があります。PSA系の吸着材は湿気の影響を受け、吸着塔内で水分の付着が進む現象を扱った研究もあります(小型酸素濃縮機のゼオライト充填層における水分付着の議論が含まれます)。論文例:小型酸素濃縮機のゼオライト充てん層に関する研究(J-STAGE PDF)
農業現場で使う場合も、ハウス内の高湿度やミスト環境は“吸着剤やフィルターにとって厳しい条件”になり得ます。仕組みを理解していると、単なる故障ではなく「湿度・粉じん・通気の問題かもしれない」と切り分けができます。
酸素濃縮器の性能を見るとき、現場で重要なのは「酸素濃度(何%か)」と「流量(L/分やm3/h)」です。医療用途の情報では、酸素濃縮器は窒素を吸着して酸素濃度90%以上の空気を作り、最大7L/分まで供給できる、といった説明が見られます。参考:環境再生保全機構:酸素機器の種類
一方、工業用途では「酸素濃度90~95%」「設備能力 2,500m3/h(nor.)」のようにスケールが大きくなり、用途として炉の酸素吹込、排水処理の酸素ばっ気、発酵工業、魚介類養殖などが挙げられます。参考:住友精化:PSA酸素ガス発生装置
農業従事者が混乱しがちな点を、先に整理します。
📝 仕様の読み方(実務向け)
・「濃度90%」は“純酸素”ではなく、窒素+アルゴンなどが残る混合ガスです(工業装置の例では酸素93%時に窒素+アルゴン7%といった組成例が示されています)。参考:住友精化:PSA酸素ガス発生装置
・「最大流量」は、濃度や背圧条件で変わることがあります(高流量にすると濃度が落ちやすい機種設計もあるため、運転点の確認が必要です)。
・供給が脈動しやすいので、タンクや流量制御で“安定化”している構成が多いです(PSA装置の説明で酸素貯蔵タンクが安定供給のために使われる旨が一般に示されています)。参考:PSA酸素発生装置の動作原理(概要)
ここで、農業用途に引きつけた「濃度と流量」の考え方を置きます。
・ばっ気や養殖、発酵は「溶存酸素(DO)を上げたい」「酸化反応を促したい」など目的が明確な一方、必要なのは“純度の上限”より“酸素の総供給量(酸素分圧×流量×運転時間)”であるケースが多いです。
・そのため、「濃度を少し妥協して流量を増やす」「タイマー運転で酸素投入のピークを作る」など、目的に合わせた運用設計が効きます(ただし安全面の管理は必須です)。
PSA方式の酸素濃縮器は「電力があれば、原料は空気なので継続的に酸素を作れる」という強みがあります。一方で、圧縮機とバルブ制御で成り立つため、停電すると止まるのが構造的な弱点です。実際、在宅酸素療法の公的解説でも、酸素濃縮器は停電時に停止し、停電に備えて酸素ボンベの設置が必要になる、といった長所・短所が整理されています。参考:環境再生保全機構:酸素機器の種類
農業現場での“停電”は、医療より発生頻度が高い場合があります。台風・落雷・電源盤トラブル、ハウスのブレーカー遮断などが現実に起きます。酸素濃縮器を「重要設備の一部」にするなら、停電対策は仕組み上の必須事項です。
🔧 現場での停電対策(例)
・酸素を止められない用途(養殖の高密度運用、発酵の重要工程など)は、UPSや発電機だけでなく“バックアップ酸素(ボンベ等)”を考える。
・装置の消費電力は流量が大きいタイプほど負担が増えやすい点が指摘されています(高流量供給型ほど電気代負担が大きい)。参考:環境再生保全機構:酸素機器の種類
・粉じんの多い環境では吸気フィルターの目詰まりが起点で、圧縮機負荷増大→停止という事故が起きやすいので、フィルター管理を“設備保全”として扱う。
なお、酸素は支燃性(燃焼を助ける性質)が強く、火気・油脂類・可燃物の扱いは医療でも工業でも注意事項の中心です。農業ではビニール、乾燥ワラ、燃料、溶剤、消毒用アルコールなど“燃えやすいもの”が近くにあるため、設置場所は特に慎重に決めるべきです。
検索上位は医療(在宅酸素)寄りの説明が多い一方、農業従事者にとっての盲点は「酸素濃縮器は“酸素が欲しい工程”にそのまま刺さるが、刺さり方は工程ごとに違う」という点です。工業向けPSA酸素発生装置の用途には、発酵工業や魚介類養殖、排水処理設備の酸素ばっ気などが明記されており、農業・一次産業と相性が良いことが示唆されています。参考:住友精化:PSA酸素ガス発生装置
ここからは、現場の運用に直結する“独自視点”として、酸素濃縮器の「仕組み」から逆算した使い分けを提案します。
🌱 独自視点:工程別に「酸素の入れ方」を変える
・発酵(例:好気発酵、培養):酸素は“微生物の代謝速度”を押し上げますが、過剰だと泡立ちや温度上昇、香気の変化など副作用も起きます。PSAは連続供給が得意なので、まずは少量で連続投入し、DOや泡、温度を見ながら段階調整するのが安全です。
・養殖・循環水:酸素は“瞬間的に足りない時間帯”が問題になりがちです(夜間、給餌後、急な水温変化など)。PSAは立ち上がりが比較的速い装置もあり、連続運転だけでなく「ピーク時に上げる」運用が現実的です(工業PSAは起動後速やかに酸素が得られる特長が示されています)。参考:住友精化:PSA酸素ガス発生装置
・ばっ気(排水・液肥・貯留槽):酸素そのものより“気泡の作り方”が効率を支配します。PSAで酸素濃度を上げても、粗い気泡で一気に抜ければ溶けません。微細気泡ディフューザー、混合の攪拌、接触時間(滞留時間)をセットで考えると、同じ流量でも効果が変わります。
🧠 もう一つの意外なポイント:湿度と粉じんは「性能」ではなく「仕組み」に刺さる
PSAは“吸着→再生”の繰り返しで成立しており、吸着材が水分や汚れで本来の選択性を出せないと、濃度低下や効率低下が起きます。ゼオライト充填層への水分付着を扱う研究があることからも、湿度が設計・運用上の論点になり得ることが分かります。論文例:小型酸素濃縮機のゼオライト充てん層に関する研究(J-STAGE PDF)
このため、農業で導入するなら「装置スペック比較」だけでなく、次のような“設置環境スペック”も合わせて決めるのが実務的です。
・吸気をハウス内ではなく、比較的乾燥した場所から取れるか
・粉じん(堆肥、飼料、土ぼこり)の発生源から距離を取れるか
・停電時のバックアップ(ボンベ、発電機、UPS)をどこまで確保するか
・酸素ラインに逆止弁・流量計を入れて、運転状態が目視できるか
参考:公的解説(酸素濃縮器の長所短所、酸素濃度90%以上、最大流量などの基礎)
環境再生保全機構:酸素機器の種類
参考:工業用PSA酸素発生装置(酸素濃度90~95%、用途に発酵工業・魚介類養殖・酸素ばっ気等が明記)
住友精化:PSA酸素ガス発生装置

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