酸化マグネシウムは便秘治療に広く使われる非刺激性の便秘薬ですが、いくつかの副作用が報告されています。最も一般的な副作用は、服用量が多すぎた場合に起こる下痢や軟便です。これは便を柔らかくする効果が強く出すぎたことによるもので、服用量を調整することで改善できます。
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しかし、頻度は稀ながら最も注意すべき副作用が「高マグネシウム血症」です。特に腎臓の機能が低下している方や高齢者が長期間・大量に服用すると、体内のマグネシウム濃度が異常に高くなることがあります。この症状が進行すると、呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止に至る可能性もあり、重篤な転帰をたどる例も報告されています。
参考)便秘薬の酸化マグネシウムの副作用 長期投与で不整脈、心停止も…
また、腹痛や腹部膨満感などの消化器症状が現れることもあります。これらの症状が継続する場合は、医師や薬剤師に相談することが重要です。
参考)酸化マグネシウムの効果・副作用を医師が解説【便秘薬】 - オ…
高マグネシウム血症の初期症状を見逃さないことが、重篤化を防ぐ鍵となります。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公表している初期症状には、吐き気、嘔吐、立ちくらみ、めまいなどがあります。
参考)便秘薬「酸化マグネシウム」に副作用が 適正使用を呼びかけ 症…
さらに脈が遅くなる、皮膚が赤くなる、力が入りにくくなる、体がだるい、傾眠(眠気でぼんやりする、うとうとする)といった症状も注意すべきサインです。これらの症状がみられた場合には、すぐに服用を中止し、医療機関を受診する必要があります。
参考)酸化マグネシウム?それとも漢方? 便秘薬の種類と選び方
血液検査では、血中マグネシウム濃度が4.9mg/dL以上になると、悪心・嘔吐、起立性低血圧、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、傾眠、全身倦怠感、無気力、腱反射の減弱などの症状が現れます。早期発見のためには、長期投与している患者や高齢者では定期的な血清マグネシウム濃度の測定が推奨されています。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000214495.pdf
PMDAが公開する酸化マグネシウム製剤の適正使用に関する公式資料
高齢者や腎機能が低下している方は、酸化マグネシウムの使用に特に注意が必要です。便秘症の患者では、腎機能が正常な場合や通常用量以下の投与であっても、重篤な転帰をたどる例が報告されているためです。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000235889.pdf
腎臓の機能が低下していると、体内からマグネシウムが排出されにくくなり、高マグネシウム血症のリスクが高まります。このため、腎障害のある方は酸化マグネシウムの使用が禁忌とされている場合もあります。また、高齢者では腎機能が加齢に伴い低下している可能性があるため、慎重な投与が求められます。
参考)http://www.doyaku.or.jp/guidance/data/H21-3.pdf
実際の臨床データでも、腎機能正常であっても経口摂取不良な場合や、酸化マグネシウム内服下でも高度便秘が持続する場合は、血清マグネシウムを測定し必要に応じて休薬を検討すべきとされています。農作業などで体を動かす機会が多い農業従事者であっても、加齢による腎機能の変化には注意が必要です。
酸化マグネシウムを効果的かつ安全に使用するためには、適切な服用方法を守ることが重要です。便秘症の場合、1日1回就寝前に水またはぬるま湯と一緒に飲むと、翌朝のお通じが期待できます。
参考)酸化マグネシウム(マグミットⓇ錠)の飲み方の注意点や、いつ飲…
酸化マグネシウムが効果を発揮するまでには個人差がありますが、服用から8~10時間程度(早い方では1~2時間)かかります。便意は起床時や朝食時に腸管がよく動いて起こりやすいため、就寝前の服用が効果的とされています。多めの水(コップ1~2杯)で服用すると、より効果的です。
参考)Q&A | 酸化マグネシウムE便秘薬|健栄製薬
初回は最小量から始め、便通の具合や状態をみながら用法用量の範囲内で服用量を調整することが推奨されています。これにより、下痢などの副作用を防ぎながら適切な効果を得ることができます。漫然とした処方を避け、必要最小限にとどめることも重要です。
参考)便秘にコミット、マグミット。
酸化マグネシウムは、吸着作用や制酸作用を有しているため、同時服用によって他の薬剤の吸収や排泄に影響を与える場合があります。併用禁忌ではありませんが、飲み合わせに注意が必要な薬剤が多数存在します。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/120/2/120_2_223/_pdf/-char/ja
特に注意が必要なのは、一部のテトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌剤、ビスホスホン酸塩系骨代謝改善剤などです。これらの薬剤は酸化マグネシウムと一緒に服用すると、強く結びつきすぎて体に吸収されにくくなり、効果が減ってしまいます。基本的には1~2時間あけて服用することが推奨されています。
参考)酸化マグネシウム(マグミットⓇ錠)には飲み合わせてはいけない…
その他、抗ウイルス剤、一部のセフェム系抗生物質、抗リウマチ薬、鉄剤、リセドロン酸、ジゴキシン、ジギタリス製剤なども相互作用の可能性があります。医師の治療を受けている方や他の薬を服用中の方は、必ず医師や薬剤師に相談してください。
参考)便秘で酸化マグネシウム(マグミット)を出されたけど大丈夫?副…
酸化マグネシウムの飲み合わせに関する詳細情報
酸化マグネシウムだけに頼らず、生活習慣の改善も便秘解消には重要です。規則正しい生活を心がけ、ストレスを適切に管理することが大切です。
参考)酸化マグネシウムの効果とは?効果を高める方法から注意点まで解…
水分摂取を増やすことも効果的です。こまめに水をとることで、腸内で酸化マグネシウムが効果的に働きやすくなります。また、食物繊維を多く含む食品を摂ることも推奨されます。食物繊維は腸内環境を整えるだけでなく、便の量を増やし、便通を良くする効果があります。
参考)酸化マグネシウムが便秘に用いられる理由と安全性を解説 &#8…
適度な運動も便秘解消に役立ちます。体を動かすことで腸の動きを活発にさせることにつながります。特に腹筋を使う運動やウォーキングなどが効果的です。農作業は適度な運動になりますが、運動不足を感じる場合は意識的に体を動かすことが大切です。
その他の便秘解消法として、以下のポイントも押さえておきましょう。