再生の成否は、最初の「材料の質」で8割決まります。市販のルッコラでも、根が付いている個体や、スポンジ付き(水耕出荷)の株は再生に入りやすいです。根元が白くきれいで、ぬめりや変色が少ない株を選びます。特にスポンジ付きは、そのまま保持・固定までできるので作業が短縮できます。根付き個体が手に入るなら、迷わずそれを優先します。再生栽培として、食べた後の根を水耕で育て直せる旨も明記されています。
切り方は「残す場所」を間違えると再生が止まります。ルッコラは、切った茎の断面から新芽が出るのではなく、株の茎と茎の間から新芽が出て伸びる性質があるため、根元から一定長(目安として数cm)を残しつつ、株の中心付近にある小さな新芽は切り落とさないのが鉄則です。根元から3cmほど残すカットと、新芽を守る注意点が具体的に説明されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/7804b0de0fa31045a20687810ec3e358fc926870
現場の小技として、カット断面が多いほど雑菌が入りやすくなります。刃物は清潔にし、切り口をつぶさずにスパッと切ると、水の濁りが出にくいです(見た目の話ではなく、腐敗の起点を減らす意識)。また、収穫・調製後にすぐ水へ入れず、数分だけ切り口を落ち着かせてからセットすると、初期の「ぬめり」が出にくいケースがあります。ここは環境差が大きいので、同じロットで試して自分の条件に合う手順を固定してください。
再生を安定させるなら、ペットボトルの「固定」と「水位」の2点に集中します。ペットボトルを7〜8cm付近でカットして上下を使い、上部を逆さにして株を支え、下部に水(または薄い培養液)を入れる方式は、家庭でも作りやすく管理が単純です。再生(リボベジ)でも同様に、ペットボトルを加工して株元を保持し、水位は根元が水に浸かる程度に調整する手順が紹介されています。
スポンジは「押さえるための部材」で、ぎゅうぎゅうに挟むと根やクラウンを傷めます。ペットボトルから落ちる場合のみ、切れ目を入れたスポンジで軽く支える程度にし、通気と排水(=乾湿の波)を邪魔しない構造にします。スポンジの選定では、キッチンスポンジ可・メラニンスポンジ不可、柔らかめ推奨という注意があり、材質ミスを避けられます。
水替えは「毎日」に寄せるほど安全側ですが、労力が現場では課題になります。最低ラインとして、再生(リボベジ)は3日に1度は水替え、濁ったら交換という運用が具体的に提示されています。
ここで意外と効くのが、容器の洗い方です。水替え時にボトル内壁のぬめりを軽く落とすだけで、次の濁りの立ち上がりが遅れ、根腐れの事故率が下がります。「水を替える」だけでなく「容器を汚さない」ことが、再生回数を増やす現場要素です。
再生は肥料なしでも動きますが、収穫回数や葉量を狙うなら、途中から培養液(肥料を溶かした水)へ移行した方が伸びます。実際に、リボベジは肥料がなくても育つが、肥料を入れると成長が促進され数回収穫が可能になる、と説明されています。
重要なのは「水耕栽培用の肥料」を使うことです。一般肥料と違い、水耕用は組成が想定されており、根が直接吸う前提で設計されています。水耕栽培では土から栄養を取れないため液体肥料が必要という基本、さらに必ず水耕栽培用肥料を使用すべき旨が記載されています。
濃度はラベルに従うのが前提ですが、苗が小さい・根が弱っている段階ではさらに薄める運用が安全です。濃すぎる培養液は「効きすぎ」よりも先に、根の先端を傷めて吸水が落ち、結果として再生が止まることがあります。
水替え頻度も収量に直結します。培養液は3日ごと交換が目安として提示されており、再生運用でも3日に1度の交換が推奨されています。
一方で、作業者が複数いる現場では「交換日がずれる」こと自体が事故要因になります。カレンダー運用(例:月・木で固定)にすると、濁りや臭いの早期発見が習慣化し、結果的にロスが減ります。
根腐れは、水位・温度・汚れの3点セットで起きます。再生(リボベジ)でも、水位を間違えると根元が腐って再生できないことがある、と注意されています。
対策の基本は、水位を「根元が浸かる程度」に固定し、根が伸びてきたら“常時どっぷり”を避けて乾湿差を作ることです。種からの水耕でも、根が伸びたら水量を減らし根の半分程度が浸かるようにする、と段階的な水位調整が述べられています。
藻は「光が当たる養液」で爆速で増えます。ペットボトルは透明なので特に不利で、遮光しないと再生より先に水質が崩れます。光が当たると藻が発生しやすいので、アルミホイルやカバーで遮光する、という対策が明確に紹介されています。
遮光は藻対策だけでなく、根域の環境を安定させる意味もあります。根は暗い方が落ち着き、日中の水温上昇も抑えられます。夏場に水が濁りやすい点も触れられているので、高温期は特に遮光+水替え短縮を優先してください。
根腐れの早期サインは、葉色より先に「水の匂い」と「ぬめり」に出ます。腐敗臭がしたら、株を救うより先に、培養液全量交換と容器洗浄へ切り替えます。再生はスピード勝負なので、悩む時間が一番の損失になります。
再生を「できた・できない」で終わらせず、出荷品質(食味と葉質)まで作ると、現場で再現性が上がります。ルッコラは置き場所で葉の硬さや辛味が変わり、収穫近くになってから半日陰にすると、やわらかく辛味の少ないルッコラになる、という具体的な管理の方向性があります。
つまり、再生で葉数が出てきた段階から「どの味を狙うか」を決め、光を調整するのが合理的です。光量を上げれば葉色が濃く味も濃くなり、半日陰に寄せればサラダ向けの食べやすさが出ます。
収穫の設計もポイントです。株元から5cmほど残して収穫すると再生してまた収穫を楽しめる、とされており、切り戻し位置が再生回数に直結します。
ここで意外に見落とされがちなのが「一度に取りすぎない」ことです。外葉を残す・中心を残すといった発想は土耕でも水耕でも同じで、再生株に“光合成する葉”が残るほど、次の立ち上がりが速くなります。
最後に、再生は万能ではありません。同じ株で回数を重ねるほど、根域の微生物相と水質が不安定になり、葉が小さくなったり風味が落ちたりします。採算ラインを決め(例:2回収穫で更新、など)、更新は種まき個体と組み合わせると、手間と品質が両立しやすいです。
水耕肥料の考え方と水耕栽培の管理ポイント(温度・置き場所・水替え頻度)の参考。
ハイポネックス「ルッコラの育て方(水耕栽培)」
ペットボトルとスポンジでの手順、再生(リボベジ)の水位・遮光・水替えの具体手順の参考。
農家web「ペットボトルとスポンジで育てる ルッコラの水耕栽培」