リゾケアを導入すると、従来の移植栽培で必要だった育苗関連の設備投資や資材費が大幅に削減できます。移植栽培では10aあたり重さ80~100kgの苗箱が必要ですが、リゾケアであればわずか3.8~4.5kgのコーティング種子の播種で済みます。
参考)https://www.risocare.jp/20240527
30ha規模の経営で試算すると、育苗資材費(育苗箱、培土、ハウス資材)が慣行栽培の145万円から67万円へと約78万円も削減されます。育苗箱への播種作業には14人程度の人員が必要で、苗箱の洗浄作業も含めると相当な労力とコストがかかりますが、リゾケアではこれらの作業が完全に不要となります。
参考)https://www.yanmar.com/media/news/2024/11/07055842/2d4318c150fb63e8c3a8236dd0bc3039.pdf
さらに、育苗ハウスの増設にかかる初期投資コスト(約800枚分で125万円程度)も必要なくなるため、規模拡大を検討している生産者にとって大きなメリットとなります。特に高齢化が進む産地や体力に自信のない作業員が多い経営体では、重労働からの解放と経費削減の両面で有力な選択肢です。
リゾケアの種子コストは、従来の鉄コーティングと比較して高めに設定されています。岩手県の試験データによると、10aあたりの種子コーティング費用は鉄コーティングが約6,336円に対し、リゾケアは約12,000円となっています。
参考)https://www.pref.iwate.jp/agri/_res/projects/project_agri/_page_/002/011/446/r06shidou_02.pdf
鳥取県の資料では、乾籾1kgあたりのコーティング委託費用が鉄コーティング(鉄+いもち病、初期害虫の2剤)で約2,000円、リゾケアで約4,000円と報告されています。宮城県のデータでは、リゾケアXLの販売価格は約3,000円/kg(資材費+加工費)に種子代が加算されます。
参考)https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1385204/R6_komedukuri_work_sheet.pdf
しかし、10aあたりの総生産費で比較すると、移植栽培が100,530円に対してリゾケア直播は98,235円となり、約2,300円のコスト削減効果が認められています。種子コスト自体は高いものの、育苗にかかる約3時間/10aの労働時間が不要となるため、労働費の削減効果が大きく、10ha規模で年間約23万円の経費削減が実現できます。
茨城県の試験では、ドローン直播(リゾケア)で10ha増やすことで約200万円の所得向上が見込めるという試算結果も出ています。種子コストは高めですが、作業効率化と規模拡大による経済効果を総合的に評価することが重要です。
岩手県農業研究センター:リゾケアXLと鉄コーティングの詳細なコスト比較データ
リゾケアによる直播栽培は、移植栽培と比較して大幅な作業時間の削減を実現します。農林水産省のデータによると、直播栽培は移植栽培と比較して労働時間で約2割、生産費(費用合計)で約1割の削減効果があります。
参考)https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/g_key_tech/keyout/pdf/01.pdf
群馬県の試験では、乗用播種機を使用した場合、育苗時間と移植時間で合計9時間/10a程度の省力化が確認されています。大分県の調査では、不耕起乾田直播栽培の全作業時間は10a当たり7.2時間と、移植栽培に比較して35%の省力効果があり、1日あたりの家族労働報酬は38%増加するとされています。
参考)https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/658596.pdf
30ha規模の密苗栽培と比較した試算では、育苗作業時間が195時間から65時間へと約3分の1に削減されます。リゾケアは届いた種子をそのまま播くだけなので、コーティング機材への投資やコーティング技術の習得も不要で、未経験者でも取り組みやすい点が大きな特徴です。
参考)https://www.risocare.jp
水管理についても、従来の直播技術より細やかな管理を必要としないため、水管理に割かれていた作業時間を減らすことができます。春先の作業時間を大幅に短縮するとともに、苗運びなどの重労働からも解放されるため、中山間地の効率化や高齢化による労働力不足の対策として貢献しています。
参考)https://agrijournal.jp/renewableenergy/51879/
リゾケアを用いた直播栽培と移植栽培の収量を比較すると、栃木県の試験では鉄コーティングが713kg/10aに対して、リゾケアでは740kg/10aと十分な収量が確保できています。両方式とも出穂期は同日で、生育に大きな差は見られませんでした。
参考)https://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/gizyutu/documents/20230706204100.pdf
岩手県の4年間(R3-R6)の試験データでは、リゾケアXLは良好な苗立ち率と安定した収量を記録しています。佐賀県の事例では、初年度40a(ひとめぼれ)での苗立ち率が約80%と良好で、10年前に挑戦した直播の苗立ち率50%と比較して大幅に改善されました。
一般的に直播水稲の生育期間は移植稲より約2週間短いため、生育期間の全乾物生産量がやや小さくなる傾向があります。また、分げつの発生が旺盛で過繁茂になりやすいという特性もあり、生育診断指標より穂数が大幅に上回ると一部倒伏が発生する場合もあります。
参考)https://www.tohoku-hightech.jp/file/seminar/r4_220613_2.pdf
しかし、リゾケアXLは酸素供給剤オクソスDSによる安定した苗立ちと、殺虫・殺菌成分の配合により、初期生育が安定しやすいという特徴があります。適切な栽培管理を行えば移植栽培と遜色ない収量と品質が得られるため、実際にリゾケアXLで栽培した米がコンテストで優良賞を受賞した事例も報告されています。
参考)https://www.risocare.jp/20241031
栃木県:直播栽培導入による収量比較の詳細データと栽培技術
リゾケアと鉄コーティングの最も大きな違いは、種子の処理方法と苗立ち安定性にあります。リゾケアは予めコーティング処理が完了した状態で届くため、自家コーティング作業が不要です。一方、鉄コーティングは生産者自身がコーティング作業を行う必要があり、農業機械費2,290円、作業労賃283円/0.27hrなどのコストが発生します。
参考)https://www.zennoh.or.jp/about/future/productionpromotion/costs/pdf/costs_2-16.pdf
リゾケアの最大の特徴は、酸素供給剤オクソスDSのコーティングにより、湛水状態でも安定した出芽・苗立ちが期待できる点です。従来の鉄コーティングでは鳥害や苗立ちの不安定性が課題となっていましたが、リゾケアは高い苗立ち率を確保できます。
参考)生産コスト削減リゾケアXLの湛水直播栽培 営農指導課
水管理の面でも違いがあり、リゾケアは水を張りっぱなしでも発芽してくるため、移植水稲とほぼ同じ水管理が可能です。出芽後に芽干し(3~7日間の落水)を行えば、それ以外の水管理は移植とほぼ同じで済みます。
参考)https://www.zennoh.or.jp/tc/einou/topics/nsc/pdf/nsc_202312.pdf
対応播種方式については、リゾケアは土中播種、表面播種の両方に対応可能という柔軟性があります。ドローンによる散播や背負式動力散粒機での播種にも適しており、作業の選択肢が広がります。種子コストは鉄コーティングの約2倍ですが、作業の簡便性と苗立ちの安定性を重視する生産者にとって、初めて直播に挑戦する際の心理的ハードルを大きく下げる製品となっています。
参考)「直播」という選択肢 メーカーに直接聞いてみた|say
JA全農:リゾケアの技術特性と活用方法の詳細資料