みぞ掘り機(溝掘機)は、トラクタに取付けて暗渠や籾殻排水溝などの「溝掘り」に使う作業機で、用途外の作業に使わないことが明確に示されています。
暗渠や排水溝は、ほ場の余剰水を“どこへ逃がすか”が本質で、溝そのものよりも「排水路へつながっているか」「出口が詰まりにくいか」で効果が決まります。
意外に見落としがちなのが、溝が交差する地点で泥が寄って水路が塞がる点で、交差部は都度かき出して通水断面を確保するのが手戻り防止になります。
参考:溝切機(溝掘り機)の役割、溝切り手順、交差部の泥かき出しなど(水管理の考え方の参考)
https://www.agri-ya.jp/column/2023/12/26/what-is-a-groove-cutting-machine/
トラクタ装着型の溝掘機では、作業速度0.3~1.0km/h、PTO回転数540rpmで使用する、といった具体条件が取扱説明書に示されています。
作業深さは、排土板を上下させて調整する方式があり、深浅ハンドル1回転で5mm調整できるなど、数値で“少しずつ詰める”前提の設計です。
あまり知られていない実務のコツは、「土の吐き出し(排土)と飛ばしは作業速度に大きく関係する」ため、回転数だけを固定して速度を上げ下げしても結果が激変する点で、最初の数本は“設定出し”の時間として割り切るほうが結局速いことです。
溝掘機には「標準3点リンク直装(JIS1形、JIS2形)」で設計され、他規格では取付できない、という前提があります。
3点リンクはロワーリンク2本+トップリンク1本の合計3点で作業機を支持し、油圧で昇降するトラクタ後部の代表的機構です。
現場での失敗パターンは「付くは付くが、上がり量・下がり量が不足して作業姿勢が出ない」ケースで、取説にあるリフトロッド穴位置調整のような“リンク側の調整”が必要になることがあります。
参考:3点リンクの仕組み・JIS規格の概説(規格理解の参考)
https://www.engineer314.com/senmon/3p_link.html
長く使うには、ボルト・ナットのゆるみ点検、ジョイントのグリース、ミッションケースのオイル量点検などを「作業前点検」として実施することが求めらています。
新品は使用開始から2時間後に増締めが必要、というように“初期なじみで緩む前提”の指示があり、初年度にトラブルが集中する理由がここにあります。
また、ミッションケースのギヤオイル#90は1回目30時間、以降250時間で交換という目安が示されており、溝掘りは低速高負荷になりやすいので、時間管理での保守が結果的に安上がりになりやすいです。
溝掘機の深浅調整には、10mあたり深浅ハンドルを4回転回すと2/1000勾配の溝ができる、という“勾配づくりの数値ヒント”が取説に載っており、単なる深さ調整を超えて「排水の流れを設計する」発想に直結します。
また、ほ場全体の排水を速く・均一にしたい場合、2m間隔でサブソイラー(弾丸暗渠)を施工する例が示され、みぞ掘り機単体ではなく“暗渠ネットワーク”として考えると効果が伸びます。
弾丸暗渠は2~5m間隔で入れることで排水性を面で底上げしやすく、出口を水路につなぐ必要がある点も含め、みぞ掘り機の「明渠(出口・集水)」と組ませると再現性が上がります。
参考:弾丸暗渠の考え方、2~5m間隔、施工手順、出口を水路につなぐ注意(併用設計の参考)
https://no-chi.com/dangan-ankyo/
取付け・取外しや調整、巻き付いた草の除去などは、PTO変速レバーを「中立」にしてエンジンを停止し、キーを抜いて作業者が携帯し、回転部停止を確認してから行うよう繰り返し強調されています。
移動(前進・後進)のときもPTO変速レバーを中立にする注意が明記されており、溝掘り作業は低速ゆえに“つい動かしながら触る”事故が起きやすい領域なので、停止手順を固定化するのが現実的です。
加えて、重い作業機装着時は前輪分担荷重が全重の25%以上になるようバランスウェイトを付ける指示があり、作業効率以前に「操舵が効かない」危険を先に潰す必要があります。