生乳の衛生管理では、温度管理の不備があると微生物が増殖しやすく、安全性や品質に重大な影響が出ます。だからこそ、搾乳から乳業工場で殺菌されるまで「一貫した温度管理」が重要になります。
日本のバルククーラー・タンク等の冷却規格は米国の3A規格に準拠し、「初回投入時:1時間以内に10℃以下、さらに1時間以内に4.4℃以下に冷却」とされています。
現場の目安としては、貯乳中は一般的に5℃以下で管理され、クーラーステーション(CS)でも同等の温度管理が求められる、という整理が実務上わかりやすいです。
ただし「5℃以下なら安心」と言い切れない点が落とし穴です。低温でも増殖し得る細菌の例としてBacillus属が挙げられており、温度だけでなく「時間」もセットで管理する必要があります。
参考)https://www.dairy.co.jp/news/syunyutejyun_manual.pdf
そのため、CSでは受入から出荷まで原則2日(48時間)以内に速やかに出荷する考え方が示されています。
温度管理のコツは、次の3点を“仕組み化”することです。
・🌡️「どこで測るか」を固定:タンク表示温度だけでなく、必要に応じて実測(校正済み温度計)も組み合わせる。※温度計は年1回の校正が推奨されています。
・⏱️「いつ測るか」を固定:朝・搾乳後・集乳前など、日報の時間欄を固定すると抜けが減ります。
・📉「逸脱時の手順」を固定:温度が基準を外れたら再測定、伝票確認、他検査結果と合わせて受入可否を複数人で判断、という流れを事前に決めます。
受け入れた生乳は、洗浄済のタンクに速やかに貯乳し、微生物を増殖させない温度管理を徹底する必要があります。
タンク内で保管する場合、保管中の温度(一般的な基準:5℃以下)を確認・記録することが求められます。
重要なのは「温度の数字」だけでなく、「その温度で何時間置いたか」です。低温でも増殖する細菌があるため、原則として2日(48時間)以内の速やかな出荷が必要だとされています。
ここを守るには、現場でありがちな“詰まりポイント”を先回りして潰すのが効果的です。
・🚚 集乳遅延が出やすい日:連休、荒天、道路事情などで「いつもの回収」がズレると、48時間の余裕が一気に減ります。
・🧊 冷却能力が落ちやすい日:夏の外気温上昇や、凝縮器周りの埃詰まりで冷却が追いつかないと、温度逸脱と時間超過が同時に起きます(温度確認・維持管理は日常点検項目として例示)。
・🧾 記録が追いつかない日:忙しいと「温度は見たが書いてない」が起きます。温度日報のフォーマット化(作業前・作業後・時間欄)で漏れを減らします。
また、受入時・出荷時の検査(乳温、色沢・組織、風味、細菌数、抗菌性物質など)を行い、異常のないものだけを受け入れ、必要に応じて出荷時にも確認する運用が示されています。
「冷却できているのに品質が落ちた」ケースは、温度以外(洗浄剤混入、異物、風味異常など)も絡むため、時間・温度・洗浄・検査を“1セットの管理”として扱うのが現実的です。
CSでは、貯乳タンクやラインの洗浄消毒に主にCIP(Cleaning In Place)洗浄システムを用いる、とされています。
運用上は、作業手順書を作成し、原則48時間以内に必ず1回は、タンクやラインが空になった段階で速やかに洗浄・消毒を行うこと、さらに洗浄・消毒後に洗浄液の残存がないことを確認することが必要です。
現場で効くポイントは「頻度」と「酸洗浄の位置づけ」です。手引書の作業手順例では、アルカリ洗浄は毎回(毎日)、酸洗浄は3~5日に1度という考え方が示されています。
同じ作業手順例では、アルカリ洗剤・酸性洗剤の濃度は1%、洗浄前に洗剤温度を65℃にしておく、という具体的条件も例示されています。
ここでの“意外な落とし穴”は、CIPを回しているのに汚れが落ちないパターンです。原因は、洗浄液の温度・濃度・流速・時間が設計どおりになっていない、またはノズル噴霧状態が悪い、というケースが現場では起きがちです(CIP装置の点検項目として、濃度・温度・流速(圧力)・時間、ノズル噴霧状態の確認が例示)。
さらに、CIP洗浄が行われない箇所の分解洗浄・消毒や、ライン破損の確認・修復も重要だと明記されています。
洗浄の実務を安定させるためのチェックリスト例です(入れ子なし)。
・🧪 洗浄剤の管理:洗浄剤・殺菌剤の混入を防ぐため、リスト化、数量把握、容器の明確表示などを行う。
・🚿 残水・残液対策:CIP後、流量計・プレートクーラー・ライン等に溜まっている水を抜く手順が示されています。
・🧽 目視できる洗浄:月1回は手洗浄を行い、洗浄状態を確認する例が示されています。
参考リンク(クーラーステーションでの温度基準・CIP洗浄頻度・洗浄条件例・点検項目・記録様式の根拠)
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000598388.pdf
ミルククーラー(牛乳冷却機)のトラブルは、突然の故障よりも「じわじわ性能が落ちる」タイプが危険です。冷却がギリギリの状態で運転され、ある日外気温や乳量が増えたタイミングで温度逸脱が表面化します(冷却装置の温度確認や維持管理は日常点検項目として例示)。
手引書では、主要機器の点検内容と点検頻度の例として、プレート式冷却装置について「冷却温度の点検(毎日)」「プレート面の損傷、ピンホール、変形の点検(月1回)」「ガスケット、フレームのパッキン類の損傷点検(月1回)」「液漏れ点検(毎日)」などが示されています。
貯乳タンクについても、冷却温度の点検(毎日)や、撹拌機構の点検、パッキン類の損傷点検、通気フィルターの汚れ点検などが例示されています。
また、測定機器(乳成分測定器や温度計等)は正しい数値を示すよう定期的な校正が必要で、校正記録の保存・保管が必要だとされています。
温度が“表示上は正常”でも、温度計がズレていたら意味がありません。ここを軽視すると、後から原因究明が難しくなり、現場の納得感も下がります。
現場向けに、故障の前兆として押さえておきたいサインをまとめます。
・⚠️ 冷却時間が伸びた:同じ乳量なのに設定温度到達が遅い(凝縮器汚れ、冷媒、負荷増など)。
・⚠️ 液漏れ・にじみ:ガスケット、パッキン、ジョイント部は月1回点検例が示されています。
・⚠️ 洗浄ムラ:CIPノズルの噴霧状態が悪いと、見えない場所に汚れが残る(点検項目として噴霧状態確認が例示)。
温度と洗浄ができていても、「風味」で引っかかることがあります。手引書では、風味異常について、生乳の温度を低く保ち病原細菌を増殖させないことに加え、「生乳に物理的な衝撃を与えないことで脂肪分解酵素による影響を抑えることが重要」と説明されています。
ここは検索上位でも温度やCIPほど前面に出にくい一方、現場の“納得感のある改善”につながりやすい論点です。
具体的には、次のような「衝撃源」を減らす発想が役立ちます。
・🥛 高低差のある投入:配管の落差が大きい、タンクへの落下距離が長いと、局所的に泡立ち・衝撃が出やすい。※設備変更が難しければ、流量の急変(バルブ急開閉)を避ける。
・🔁 攪拌の“やりすぎ/不足”:攪拌は代表サンプル採取のために必要ですが、運用が雑だと品質評価のブレも増えます(ローリー乳は代表サンプルとなるよう攪拌して採取することが示される)。
・🚚 震動の多い保管:サンプル保管では、直射日光回避・振動の少ない場所に置くことが必要とされていますが、同じ発想はタンク周りの運用にも応用できます。
この「衝撃管理」は、設備投資をしなくても“手順と教育”で改善しやすいのが強みです。経験者の口伝ではなく手順書を作り、同じ作業が再現される方法で教育する必要がある、とされている点も実務上の後押しになります。

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