みかん選果機メーカー比較と選び方のポイント

みかんの生産効率を高める選果機について、主要メーカーの特徴や最新の光センサー・AI技術、導入費用と補助金制度を解説します。農家の皆様に最適な選果機選びをサポートしますが、どのメーカーを選べばよいでしょうか?

みかん選果機メーカーの選び方

みかん選果機メーカー選びのポイント
🔍
選別技術の種類

重量選別、光センサー、AI選別など最新技術の対応状況を確認

💰
導入費用とコスト

初期投資だけでなく、保守費用や消耗品コストも含めた総額で判断

🛠️
メンテナンス性

故障時の対応やアフターサービス体制の充実度を重視

みかん選果機の選定において、メーカー選びは生産性と品質管理に直結する重要な決断です。国内には三井金属計測機工、シブヤ精機、重松工業、佐藤農機鋳造など複数のメーカーが存在し、それぞれ独自の技術と特徴を持っています。選果機は大きく分けて重量選別タイプ、サイズ選別タイプ、光センサータイプ、AI選別タイプの4種類に分類され、目的に応じた選択が求められます。

 

参考)全国の選果機メーカーリスト|選果機おすすめナビ

みかん選果機メーカーの主要企業と特徴

 

国内の主要メーカーには、愛媛県を拠点とする三井金属計測機工があり、同社のSMART-SORTERシリーズは供給口に入れるだけで熟度や内部障害まで高度の選別が可能です。シブヤ精機株式会社は澁谷工業グループの一員として、みかん選果・選別システムからデコポン、人参まで幅広い品目に対応した選別システムを提供しています。

 

参考)選果・選別システム|澁谷工業株式会社

重松工業株式会社は、選別ドラムの直径が390φと大きく、玉抜けが良く選別能力が高いのが特徴です。カバーやボルトを取り外すことなくドラム交換が可能で、メンテナンス性に優れています。佐藤農機鋳造株式会社は、みかん・柑橘類に関する選果機、洗浄機、運搬機など周辺機器を含めた総合的なラインナップを揃えています。

 

参考)みかん選別機

海外メーカーでは、オランダのGREEFAが注目されます。果物全体をチェックするため、ゴム板のような素材のローラー上で回転させて上方のカメラで計測し、1レーンあたり8個/秒の選別が可能です。

みかん選果機の光センサー技術と内部品質検査

光センサー選果機は、近赤外線を果実に照射し、透過してきた光をセンサーで検出することで糖度や酸度などの内部品質を非破壊で測定します。測定の手順としては、事前に1品種につき200~1000個のサンプルを流して光の波長データを取得し、実際に果実を切断して糖度・酸度を測定した実測値と照合します。

 

参考)光センサー選果の仕組み

透過光式センサーでは、熟した果実ほど糖度が高くなるため透過光が弱くなる性質を利用します。透過光の強度が弱ければ糖度が高く(熟している)、強ければ糖度が低い(未熟)と判断できます。この技術により、人の目では判別が困難な果実の品質を客観的かつ高精度に評価することが可能になります。

 

参考)果物の旬を逃さない!光センサー選果機の仕組みやメリットを解説…

光センサーによる非破壊選果では、果実一個毎に糖度等の判定を行いそのデータを示すことで、市場関係者及び消費者に対する品質保証が可能となります。愛媛県八幡浜市の株式会社SEIKAでは、三井金属計測機工製の小型光センサー選果機を導入し、ふるさと納税サイトで高評価を得ている事例があります。

 

参考)絶品の柑橘、高評価の要は小型選果機の「光センサー」。ふるさと…

光センサー選果の仕組み - のま果樹園(具体的な測定プロセスと設備の詳細解説)

みかん選果機のAI選別システムと最新動向

JAみっかび(三ヶ日町農業協同組合)は2021年に本格的なAI選果機を導入し、柑橘選果場としてはAI活用の先駆的事例となりました。このシステムでは、カメラ6台で最大1秒間に8個を処理し、生キズ、腐敗のある果実、外観格外のものを自動的に除外します。

 

参考)自動でミカンを選別!AI選果場は三ヶ日みかんの縁の下の力持ち…

AI選果機の学習には2018年から3年間かけて数万枚の写真データが使用されました。浮き皮、病害虫のチャノキイロアザミウマ、黒点病、生傷などのみかんの写真を大量にAIに学習させることで、高精度な選別が実現しています。

 

参考)みかんの家庭選果時間を50%削減する、JAみっかびのAI選果…

導入効果として、青島温州みかんの家庭選果時間が導入前の135分から69分へと約49%削減され、農家の労働時間が約40%削減されました。繁忙期における家庭選果の負担が減り、農家の方々の負担軽減に成功しています。

ただし、最新のAI選果装置が48種類に自動選別できる一方で、装置への投入前の手作業による選別に最大5時間を要するケースもあり、生産者によっては負担が増えたという指摘もあります。

 

参考)「最新AI」で負担増えた?ミカンの自動選別前に最大5時間「手…

自動でミカンを選別!AI選果場は三ヶ日みかんの縁の下の力持ち(AI導入の実際の効果と運用実態)

みかん選果機の導入費用と補助金制度

選果機の価格は型番やパーツの組合せ、配送エリアなどによって大きく異なります。小規模なものでも数十万円台から、高性能なものは数百万円台まで幅広く、光センサーやAIシステムを搭載した高度な機種ほど高額になります。中古やオークションでは10万円以下から10万円台のものが多く出品されていますが、故障リスクや課題解決能力の面で注意が必要です。

 

参考)選果機の価格はどのくらい?

農業機械導入のための補助金制度として、経営発展支援事業では新規就農後の経営発展に必要な農業機械・施設の導入に対し最大1,000万円まで補助されます。農地利用効率化等支援交付金では、法人・個人問わず上限1,500万円で、購入の場合は3/10以内、リース導入の場合は定額の補助率となります。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/keiei/sien/attach/pdf/index-5.pdf

先進的農業経営確立支援タイプでは、個人は上限1,000万円、法人は上限1,500万円の補助が受けられ、人、農地プランの中心経営体が対象となります。ものづくり補助金では、中小企業や小規模事業者を対象に上限1,000万円(条件により最大3,000万円)まで、設備投資費用として機械装置やシステム構築が補助対象となります。

 

参考)選果機購入のための補助金制度はある?

補助金を活用するには、事業計画書などの必要書類を作成・提出し、口頭審査を受けたうえで採択される必要があります。多少導入コストがかかっても、自分が必要としている機能をもった選果機であれば、課題解決のメリットがあります。

選果機購入のための補助金制度はある?(各種補助金の詳細な対象条件と申請方法)

みかん選果機の独自視点:選果機メンテナンスとランニングコスト管理

選果機の機構やシステムがシンプルなものは、故障やメンテナンスが少なく、人件費や電気などの稼働経費が少ないため、選果利用料を削減できます。トマトや桃などの傷みやすい青果物を扱う選果機では、ラインが直角排果でシンプルなため故障も少なく保守点検も簡単という特徴があります。

 

参考)選果機紹介|株式会社 魚沼アグリ(公式ホームページ)

オフシーズンの間にメンテナンスを実施することで、選果シーズンの突然の故障を防ぐことができます。定期的な保守点検により農業機械の長期利用も可能となり、光センサー選果機と連動したマッピングシステムの導入では、データに基づいた計画的な保守管理が実現します。

 

現代の選果機は省エネ性にも優れており、従来型に比べて大幅に消費電力を削減できます。これはランニングコストを抑えることに直結し、長期的に見て大きな経済効果が期待できます。コストパフォーマンスを分析する際は、初期投資だけでなく、運用コストや消耗品のコストも加味して総額コストを検討することが重要です。

 

参考)みかん選果機の最新機能と選び方

みかん選果機では、ブラシがワンタッチで交換可能なものもあり、ソフトブラシを使用することで果実表面の汚れを除去しながら傷をつけにくい設計になっています。重松工業のみかん選別機では、面倒なカバーやボルト等を取り外すこと無く選別ドラムの交換ができるため、作業効率とメンテナンス性が両立されています。

 

参考)http://www.aptech.kais.kyoto-u.ac.jp/dl/date/kakou_no7.pdf

保守管理の観点からは、以下のポイントに注意が必要です。

  • 定期的な清掃とブラシ交換による選別精度の維持
  • 光センサー部分の校正と定期点検による測定精度の確保
  • 消耗部品の在庫確保とメーカーのサポート体制の確認
  • シーズンオフの総合点検による次シーズンへの備え
  • 故障履歴の記録と予防保全の実施

長期的な視点で選果機を選ぶ際は、メーカーのアフターサービス体制、部品の供給体制、技術サポートの充実度を確認することが、安定した選果作業の継続に不可欠です。

 

参考)イタマーズ万能選果機 – 日本協同企画株式会社