甘藷堀取り機の収穫作業と調整

甘藷堀取り機を導入すると、収穫のスピードだけでなく、傷・ロス・作業者負担まで変わります。コンベア式の特徴、調整の要点、故障予防、現場で差が出る工夫まで整理し、あなたの圃場に合う運用を作りませんか?

甘藷堀取り機の収穫作業と調整

甘藷堀取り機の収穫作業と調整
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作業効率

掘り上げ→振い分け→露出までを機械で流し、手掘りの腰・時間負担を減らします。

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調整が品質

深さ・刃角度・コンベア条件で「傷」「掘り残し」「土落ち」が大きく変わります。

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故障予防

ベルト張り・ナイフ交換・安全停止を守ると、収穫期の停止リスクを下げられます。

甘藷堀取り機のコンベア式の特徴と収穫作業

甘藷堀取り機は、掘り上げた芋をコンベアで持ち上げながら土を落とし、芋をよく露出させる流れを作れるのが強みです。ニプロのコンベア式掘取機(D/Bシリーズ)でも「土の振い分けがよく、イモがよく露出する」ことが特徴として示されています。
現場での「掘り取り→拾い上げ」を分業しやすくなるため、作業者の動線が整理され、収穫のピークで詰まりにくくなります(拾い手が追いつかない場合は“露出しすぎ”が逆に散乱を招くので、次の“調整”が重要です)。
収穫作業の基本イメージは、(1)機械で掘って畝上に出す→(2)人が拾う、の二段構えです。ここでポイントになるのが「芋が見える状態まで露出させるが、飛ばしすぎない」というバランスで、コンベア傾斜角度の変更ができる機種は、この調整幅が効いてきます。


参考)D/Bシリーズ|製品情報|ニプロ 松山株式会社

また、購入検討時は新品だけでなく中古流通も多く、型式・状態・付属の有無で総コストが大きく変わります(後述の相場パートで触れます)。


参考)芋掘り機の買取相場をメーカー別に解説|査定前にするべきこと …

甘藷堀取り機のPTOと作業深さの調整

トラクター装着型の甘藷堀取り機は、PTOで駆動する構造が多く、装着・点検の安全手順が作業品質以前の前提になります。ニプロの取扱説明書では、装着時に「駐車ブレーキ」「PTO変速レバーを中立」「エンジン停止」などの安全手順が明記されています。
この手順を省くと、PTOの誤作動や巻き込まれ事故につながり、収穫期の“止められない焦り”が最も危険です。
作業深さは「深すぎる=抵抗増で掘り乱れ・燃料増」「浅すぎる=掘り残し・芋切れ」を招きます。コンベア式でも、ベルトやテンションローラ等の調整項目が取説にあり、例えばVベルトが伸びた場合の張り調整が示されています。


参考)https://www.niplo.co.jp/file2021/manual/man14542028910.pdf

歩行型(振動掘取機)の説明書でも、掘取深さを前輪高さで決め、2~3m試掘して微調整する流れが具体的に書かれています。


参考)https://mametora.co.jp/wp-content/uploads/2024/06/BPU63BPU63KBPU73BPU1.pdf

調整の実務ポイント(失敗が少ない順序)をまとめます。


    1. まず圃場条件を確認:湿りすぎは土が団子化し振い分けが落ちるため、可能なら半日~1日待つ判断も「機械の性能」です。​
    1. 試掘は短く:2~3mで掘り残し・傷・土落ちを見て直す(長く掘るほど修正が大変)。​
    1. ベルト・駆動の滑り確認:Vベルトの伸びはスリップ要因なので張りを点検する。​

甘藷堀取り機のメンテナンスとベルト故障

収穫期に多い停止要因は、駆動系(ベルト)と刃物系(ナイフ)のトラブルです。やまびこ系の取扱資料では、ベルト調整は「エンジンを切り、稼働部分が停止している事を確認してから」行うと書かれており、止めずに触るのは厳禁です。
同資料では、ナイフが折損した場合に「振動が出て非常に危険」で「必ずナイフを交換」する旨も示されています。
また、メーカー取説にはVベルトの具体的な張り調整(テンションローラで調整し、押して10mm程度のたわみ、等)が書かれており、張りすぎ・緩すぎの両方が不具合の原因になります。

現場感としては「土が噛む」「石が噛む」ような条件でコンベア周りに負担が出やすく、取説でも石の噛み込み時の再調整に触れています。

予防保全としてやることは、派手ではないですが効果が大きいです。


  • 🧼 作業後清掃:土の固着は翌日のテンション変化・異音の原因になりやすい。​
  • 🔧 ベルト点検:伸び・亀裂・芯ズレを早めに見つけて張りを調整する。​
  • 🗡️ ナイフ点検:摩耗・欠けを放置しない(折損は危険で交換が必要)。

    参考)https://yamabiko.g.kuroco-img.app/v=1729232878/files/topics/5431_ext_1_0.pdf

甘藷堀取り機の価格と中古相場

甘藷堀取り機は新品価格が幅広い一方、中古市場も活発です。買取相場の解説記事では、ニプロの芋掘り機は5万~15万円程度が目安で、高い場合は20万円以上のケースもあるとされています。
同記事では、上田農機についても歩行型で3万~5万円程度、トラクター型で5万~10万円程度という目安が挙げられています。
ただし「相場」だけで買うと失敗します。中古は、摩耗部品(ベルト・ナイフ)や欠品(カバー・ガード・ジョイント類)で、導入直後に追加費用が出やすいからです。取説でも安全カバーや調整機構が前提で書かれているため、欠品機は“整備して使える状態”に戻すまでがコストになります。

チェック観点は次の通りです。


  • 💰 価格だけでなく“停止リスク”を見る:収穫期に止まると、人件費・段取り損が価格差を超えます。​
  • 🔩 消耗部の入手性:メーカー取説が公開されている型式は、調整・整備の再現性が高い。​
  • 🧾 付属の確認:PTO周りの装着部品が揃っているか(安全手順を満たせるか)。​

甘藷堀取り機の独自視点:収穫ロスの見える化

検索上位の解説は「機種」「調整」「作業手順」「相場」が中心になりがちですが、現場で効くのは“ロスの形”を定量で掴むことです。掘取機は「掘り残し」「切断」「皮むけ」「打撲」「拾い漏れ」を別々に発生させるため、全部を一括で“収穫が下手”と扱うと対策がぼやけます。
試掘を2~3mで行う手順が推奨されているのは、短距離でロスの種類を観察して調整に戻れるからで、これはロスの見える化と相性が良いです。
おすすめの簡易手法は「10株だけ監査」です(意味のない文字数増やしではなく、実際に改善しやすい手順)。


    1. 収穫開始前に10株だけ掘る(機械+拾い)。​
    1. ロスを分類して数える:切れ芋、傷、掘り残し、拾い漏れ。​
    1. 対応する調整を1つだけ変える:深さ、刃角度、コンベア条件、速度のどれか。​
    1. 再度10株で比較し、改善したら全体に展開する。​

意外と見落とされるのが「人の拾い方」によるロスです。コンベア式で芋がよく露出するほど、拾い手の視線・立ち位置・回収容器の置き方が収穫量に直結し、機械調整だけで詰めきれない差が出ます。

機械側の調整・安全・メンテが整っているほど、人の作業設計(配置・休憩・容器動線)で上積みできる余地が増える、というのが“甘藷堀取り機を入れた後に効く改善”です。

取付・安全(PTO中立、エンジン停止など)の根拠。
ニプロ「掘取機」取扱説明書(装着時の安全手順、Vベルト張り調整の目安)
深さ調整と試掘(2~3mで調整)の根拠。
マメトラ振動掘取機の取扱資料(前輪で深さ調整、2~3m作業して確認する手順)
ナイフ・ベルト点検の安全(停止確認、折損時は交換)の根拠。
やまびこ系資料(ナイフ交換・研磨、ベルト調整、停止確認の注意)